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2024年02月02日中華圏
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中国の会社法5年ぶりに改正
2023年12月29日、全国人民代表大会は中国の会社法を改正しました。前回の改正は2018年10月26日であり、これまでに3回の改正草案(1回目:2021年12月24日、2回目:2022年12月30日、3回目:2023年9月1日)を経ており、今回4回目で改正となりました。今回の改正は会社法制定以降、5回目、5年ぶりの改正となります。新しい会社法は2024年7月1日から施行となります。今回の主な改正内容は以下のとおりです。
1.登録資本金の払込期限を会社登記完了から5年以内に設定
登録資本金の払込期限は、前回改正(2013年12月28日)前までは、投資会社の場合5年以内、それ以外の場合2年以内となっていましたが、前回改正時に払込期限についての記載は削除されました。よって、今回の改正により、払込期限が再設定されることになります。また、既に登記済みの会社については、出資期限が5年を超えた場合、段階的に調整しなければいけないとし、出資期限や出資額が実態と乖離し、明らかに異常である場合には当局から早期出資または出資期限の変更等を命じられる可能性がありますので注意が必要です。
2.董事会の人数上限を削除、一定規模以上の会社は従業員代表を董事にする義務を追加
董事会を設置する場合、構成する董事の人数は3名以上13名以内としていましたが、今回の改正により人数上限が撤廃となります。また国有関連企業の場合、会社の従業員代表を董事にする必要がありましたが、今回の改正により、国有関連企業であるか否かに関係なく、従業員数300名以上の場合、会社の従業員代表を董事にする必要があります。
3.執行董事の記載削除
小規模の会社は、董事会を設置しない場合、執行董事を1名設置する必要がありましたが、今回の改正により、董事1名の設置へ変更となりました。また、他の条文からも執行董事の名称は全て削除されています。
4.監事会および監事を設置しないことが可能
小規模の会社は、監事会を設置しない場合でも、監事を設置する必要がありましたが、今回の改正により、全株主の一致同意があれば、監事を設置する必要がなくなります。董事及び総経理等の高級管理職員は監事を兼務することができないため、会社の組織構造を簡素化することが可能となります。
5.欠損補填のために資本準備金の使用が可能、欠損補填のための減資が明記
これまで資本準備金を会社の欠損補填に使用することはできませんでしたが、今回の改正により、資本準備金以外の準備金を使用してもなお欠損金が残ってしまう場合は資本準備金による欠損補填が可能となりました。また、欠損を補填するための減資について、これまで会社法に記載はありませんでしたが、今回の改正により、明記されることになりました。
上記5つ以外にも、出資が出資期限どおりに払込されなかった場合の対応の新規記載(第52条)や、株主の持分譲渡制限の記載変更(第84条)、会社合併に係る株主会決議の新規記載(第219条)、減資の際の制限事項の新規記載(第224条)、撤退のための簡易清算手続きの新規記載(第240条)等、会社運営上影響を与える条文が多く追加・変更となっています。
これから新規新設される会社は新しい会社法に準拠するよう、登記が必要な会社情報を決定していくことが求められます。中国企業との合弁による新規設立をお考えの会社は、新しい会社法を基に合弁パートナーと協議・交渉を実施し、新しい会社法に合致した合弁契約書及び定款の文言設定が必要になります。また、既に登記済みで事業をされている会社についても定款の見直しを検討する必要性が生じる可能性がありますのでご注意ください。
<日本語参照訳に関するご利用のお願い>
上記の日本語参照訳は中国語を原文とした翻訳です。翻訳には正確を期しておりますが、日本語と中国語の内容に相違が生じる場合があります。日本語参照訳と中国語原文に相違がある場合、中国語原文を優先してご確認いただきますようお願いいたします。
香港
国安条例の意見公募を開始
1.国安条例の意見公募を開始
香港政府は2024年1月30日、香港基本法(憲法に相当)第23条に基づく「国家安全維持条例」の制定に向けた意見公募(パブリックコメント)を開始しました。政府保安局が発表した叩き台文書によると、同条例は1. 国家(中国)への反逆、2. 反乱と扇動、3. 国家機密の不正入手とスパイ行為、4. 国家の安全に危害を加える破壊などの活動、5. 域外からの干渉と国家の安全に危害を加える組織、を取り締まるものとなります。政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は同日の会見で、早期立法の必要性を改めて訴えました。
5つの取り締まり対象のうち「反乱と扇動」では、クーデターの扇動などだけでなく、中国中央の香港出先機関や香港の行政、立法、司法機関に対する憎悪や軽視、離反を煽ることや香港住民と本土住民との間の憎悪や敵意を煽ることも禁止するとしています。
また、「国家機密の不正入手とスパイ行為」は、国家機密の対象を7項目列挙し、これらの国家機密を不正に入手したり、不法に所持・保管したりすることを禁じるとしています。ただし、7項目には「国家または香港の経済・社会発展に関する秘密」「国家または香港の科学技術に関する秘密」などが含まれており、解釈によっては外資企業のビジネスを制約する可能性があることも懸念されます。
政府は国家安全維持条例について、域外でも一定の効力を持たせる方針です。意見公募は2月28日までとなっており、政府はその後、条例の最終案を取りまとめて立法会に提出する段取りとなっています。
台湾
【台韓租税協定、2024年から適用】
台湾と韓国が2021年11月に調印した台湾・韓国租税協定が、2023年12月28日に正式に発効となり、2024年1月1日から適用開始となっています。台韓租税協定は、2017年に適用となった日台租税協定に次いで、北東アジア諸国との間に締結された中では、二番目の租税条約です。日台租税協定と同様、配当、利子、使用料について、源泉地における税率が10%に引下げとなります。
【CO2削減基準に該当するセメントに、2024年から物品税の引下げ】
台湾財政部は2023年12月28日、炭素の排出削減の認定基準(減碳認定基準)に該当するセメントに対して課された物品税(貨物稅)の引下げを公表しました。配合水硬化セメント(水硬化混合水泥)とメーソンリーセメント(墁砌水泥)に対し、製造過程で一部の材料を産業副産物に置き換えた場合、徴収税額はその置き換えた比率によって、2024年1月1日に1トン当たり440台湾ドルから260、または220台湾ドルに引き下げられることになりました。
【2024年総統選挙、民進党・頼清徳氏が当選】
2024年1月13日に行われた台湾第16期の総統選挙の結果、与党・民進党の頼清徳氏が558万票強を獲得し、野党の候補者・国民党の侯友宜氏と台湾民衆党の柯文哲氏を破り、当選しました。これにより同一政党が3期連続で政権を担当することとなります。
一方、同日に開票された立法委員選挙で、国民党は立法院の53議席を獲得して、民進党の52議席を超えて第一党に躍進しましたが、過半数を確保できませんでした。また、台湾民衆党が8議席を、無所属が2議席を獲得しました。
【中国産靴に対する不当廉売関税、課税期間満了】
台湾財政部は、中華人民共和国産靴に対し不当廉売関税を課する期間が2024年1月16日をもって満了して、国内での課税申請も受けていなかったので、2024年1月17日からその不当廉売関税を課税しないことを公示しました。
【米下院、米台の二重課税の回避に関する法案を可決】
米国下院歳入委員会は2024年1月19日に、米台間の二重課税の回避に関する内容を盛り込んだ税制改正法案を可決しました。その後、上院により可決されたら、大統領が署名して米国内で発効します。
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