FCGグループのニュースレターをお届けします。
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2024年06月04日中華圏
北京・蘇州・上海・成都・広州・深圳
一部地域にて外債登記申請先が変更
国家外貨管理局上海市分局は2024年1月23日、<クロスボーダー貿易投資のハイレベル開放試行に関する通知(以下「本通知」)>を公布し、即日施行としました。マクロプルーデンスモデルにより中国国外から外債を利用し資金調達を行う場合、従来、外債を利用する企業の管轄区域の外貨管理局にて外債登記申請が必要でしたが、2022年1月頃から自由貿易試験区等の一部地域にて試行的に管轄区域内の銀行での外債登記の取扱いが開始となり、今般試行地域が更に拡大となりました。
経緯として、2022年1月、国家外貨管理局は上海市自由貿易試験区臨港新エリア、広東自由貿易試験区広州南沙新区エリアなどの地域にて<クロスボーダー貿易投資のハイレベル外貨管理改革試行実施細則に関する通知>を公布し、試行地域内の条件に合致する企業がマクロプルーデンスモデルにて外債を利用する際、管轄区域の銀行での外債登記の取扱いを可能としました。2023年12月、国家外貨管理局は<クロスボーダー貿易投資のハイレベル開放試行の拡大に関する通知>(匯発[2023]第30号)を公布し、試行地域を上海市、江蘇省、広東省(深圳市含む)、北京市、浙江省(寧波市含む)、海南省の各全域まで拡大することを発表しました。この発表を受け、国家外貨管理局上海市分局は2024年1月23日に実施細則として本通知を公布しておりますが、他地域の分局につきましても同時期に同様の通知を公布されています。
本通知及び他分局の関連通知に規定されています内容は以下のとおりです。
本通知では、試行地域内の条件に合致する企業は直接銀行にて外債登記申請することが『可能』と記載されていますが、国家外貨管理局上海市分局及び上海市内の銀行等へ確認したところ、条件に合致する場合、国家外貨管理局から、銀行へ直接申請するよう指示があるようです。よって、今後外債の利用を検討されている企業は、外債登記申請先が国家外貨管理局となるか銀行となるか事前に確認が必要となります。また、外債登記申請時の必要書類について記載されておりますが、申請企業や案件内容、申請先によって変動する可能性があるため、申請先へ改めて確認することをお勧めいたします。
香港
最低賃金の年次見直し制度導入
1.最低賃金の年次見直し制度導入
香港政府は2024年4月30日、法定最低賃金水準を検討する最低賃金委員会の提言を受け入れ、法定最低賃金の見直しについて新制度を導入することを決定しました。これまでは2年に1回、調査や意見聴取などを通じて改定額を検討していましたが、インフレ率と経済成長率を織り込んだ計算式を導入し、毎年見直しを行う方式に改めます。
計算式では、中低所得世帯を対象とする甲類消費者物価指数(甲類CPI、A類CPI)の上昇率と経済成長要素の和が、毎年の最低賃金の上げ幅となります。経済成長要素は、直近1年の実質域内総生産成長率から直近10年の平均成長率を引いた値を5分の1にして算出します。年によっては物価上昇率や成長率がマイナスとなることも想定されますが、最低賃金の引き下げは行わないこととしています。
新制度で最低賃金が定められるのは2026年5月1日からで、次回の2025年5月は従来の制度に基づき決定されます。
2.移民局の将軍澳への移転について
2024年6月11日から、香港移民局の新しい本部が新界にある将軍澳に移転します。これに伴い、現在稼働している観塘のオフィスは6月8日に閉鎖となります。観塘オフィスで香港IDを申請したもののまだ受け取っていない市民については、同じ建物内にある臨時オフィスで受け取ることができるようです。
現在の本部である湾仔のオフィスでは、当面の間、香港IDカードの申請・交換などの一部のサービスが継続されます。香港パスポートに関連するサービスは6月8日が最終日となり、香港パスポートの受け取りができるオフィスは6月11日に中環に設置されます。
3.二段階標準税率への改定及び課税優遇措置の施行
2024年5月22日に、立法会で2024年所得税(改正)(税制優遇措置及び二段階標準税率)法案が可決されました。2月に行われた政府財政予算案演説に基づく法案可決となり、主な内容は以下の通りです。
・2024/25年度から、給与所得税に二段階標準税率が導入されます。年間の課税所得500万香港ドルまでは税率15%、500万香港ドルを超える部分に16%の税率が適用されます。
・2023/24年度の給与所得税及び事業所得税について、3,000香港ドルを上限に免除されます。
・2024/25年度から、香港内の住宅ローン利子もしくは家賃について、納税者が新生児と6か月以上香港で居住するなど一定の条件を満たした場合、基礎控除額の10万香港ドルに加えて、最大2万香港ドルまでの追加控除が認められます。
台湾(台北・台中)
【源泉徴収制度の修正、閣議決定】
台湾財政部は5月2日に、所得税法に規定された源泉徴収制度の改正案を発表しました。同日の閣議決定の主な内容は以下の通りです:
・源泉徴収義務者の定義:改正前は、源泉徴収義務者は所得を支払う法人または機関などの組織の代表人でしたが、改正案では、組織自身に徴収義務が課されることになります。また、行政法人と信託の受託者の徴収義務も追加されることになります。
・非居住者への支払に係る源泉税の納期の延長:改正前は、非居住者に支払う際の源泉税の納税期限は、支払日から10日内でしたが、改正案では、この期限のうち、3日以上の連休を挟む場合は、期限が5日間延長されることとなります。
・罰則の改定:改正前は、源泉徴収義務に違反した場合の過料は単一の金額、またはその支払われた所得、もしくは徴収した源泉税の「固定比率」によって科されていたが、改正案では、税務機関がその違反の程度に基づき、定められた範囲で過料を決定できることになります。
【私立学校に対する寄付金に係る所得控除の修正、閣議決定】
台湾教育部は5月2日に、私立学校法における寄付金の所得控除について改正する法律案を発表しました。
個人、または法人が「財団法人私立学校興学基金」(財團法人私立學校興學基金會)を通じて、寄附金を支出する場合、学校を指定する・しないにかかわらず、その寄付金は全額で所得から控除可能となります。
【マスク着用命令、完全撤廃】
台湾衛生福利部は5月8日に、新型コロナウイルス感染対策のするマスク着用命令が5月19日をもって、完全に撤廃されることを発表しました。現時点で、台湾におけるコロナ禍の水際対策や隔離義務などの感染対策が全て撤廃されました。
【頼清徳氏、新たな総統に就任】
台湾の与党、民主進歩党の頼清徳氏は5月20日をもって、新たな総統に就任しました。当日の就任演説において、経済・産業推進策として、AIと航空宇宙産業を推進することに言及しました。また、同日に発足した新内閣の行政院長・卓栄泰氏は、詐欺防止強化や電力供給の安定化を継続することを強調しました。
【税関、海外ネット通販に関する詐欺・不良品の協力策の公表】
台湾財政部は5月27日に、海外ネット通販に生じた詐欺や不良品対策のため、税関の対応策を発表しました。主な内容は以下の通りです。
・詐欺への対応策:ネット通販の詐欺(輸入申告書にて記載された輸入品と、実際に引き渡された商品が不一致)にあった場合に、購入者は輸入許可を取得してから6月以内に、申込書と証明書類を用意し、輸入場所の税関に納付された関税の修正と還付を申請することが可能です。さらに、書類の簡素化、個人に対する半年間の低価格輸入品に対する6回の免税限度の計上免除、修正申告にかかる手数料の免除も対応策として公表されています。
・不良品への対応策:実際に引き渡されたのは不良品(輸入申告書にて記載された輸入品と、実際に引き渡された商品が一致しているが、品質や規格が商品サイトに掲載された内容と異なる)であった場合に、購入者は輸入許可を取得してから1月以内であれば、第三者の貨物の検査レポートなしで、申込書と証明書類を用意し、輸入場所の税関に弁償・交換用の貨物に対する関税の免税を申請することが可能です。
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