Newsletter of FCG Group.
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Monday October 1st, 2018China
「中華人民共和国個人所得税法」の改正について
2018年8月31日に行われた第13期全国人民代表大会常務委員会第5回会議にて「中華人民共和国個人所得税法」の改正案が可決されました。改正後の個人所得税法は2019年1月1日から施行されますが、これに先立ち、2018年10月1日より賃金給与所得に対する費用控除月額が変更されるとともに、新しい税率表が適用されます。今回は2018年10月1日以降に施行される個人所得税に関する新規定をご紹介します。なお、今後引続き多くの規定が改正されることが予想されます。
国家税務総局による「個人所得税改革の過渡期の政策を貫徹して実行することに関する通知」(税総函〔2018〕484号、2018年9月7日公布)
本通知に基づき、新税法の実施を下記の3段階に分けて考えます。
2018年9月30日以前:過渡期の政策予備段階
2018年10月1日から2018年12月31日まで:過渡期の政策実行・新税制の実施予備段階
2019年1月1日以降:新税制の全面実施段階
財政部・税務総局による「2018年第4四半期の個人所得税費用控除と税率の適用の問題に関する通知」(財税〔2018〕98号、2018年9月7日公布)
本通知に基づき、納税者が2018年10月1日以降に実際に得る賃金給与所得に対する費用控除額は統一して月額5,000元とし、下記の税率表を適用します。納税者が2018年9月30日以前に実際に得た賃金給与所得は改正前の税法の規定に従います。
改正後の「中華人民共和国個人所得税法」
(中華人民共和国主席令第9号、2018年8月31日公布、2019年1月1日施行)
今回は大幅に規定が改正されています。概要の一部を下記の通りご紹介します。
下記に2018年8月31日付けで公布の中華人民共和国主席令第9号及び改正後の中華人民共和国個人所得税法の日本語参照訳をご紹介します。
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中華人民共和国主席令 第9号
「全国人民代表大会常務委員会の<中華人民共和国個人所得税法>改正に関する決定」は既に中華人民共和国第13期全国人民代表大会常務委員会第5回会議にて2018年8月31日に可決し、ここに公布し、2019年1月1日から施行する。
中華人民共和国主席 習近平
2018年8月31日
中華人民共和国個人所得税法
(1980年9月10日第5期全国人民代表大会第3回会議にて可決(…途中省略…)2011年6月30日第11期全国人民代表大会常務委員会第21回会議「<中華人民共和国個人所得税法>改正に関する決定」に基づく第6回目の改正 2018年8月31日第13期全国人民代表大会常務委員会第5回会議「<中華人民共和国個人所得税法>改正に関する決定」に基づく第7回目の改正)
第1条 中国国内に住所を有す、または住所を有さないが1納税年度内に中国国内における居住が累計満183日となる個人は、居住者とする。居住者が中国国内及び国外から得る所得については、本法の規定に基づき個人所得税を納付する。
中国国内に住所を有さず居住もしない、または住所を有さず1納税年度内に中国国内における居住が累計183日に満たない個人は、非居住者とする。非居住者が中国国内から得る所得については、本法の規定に基づき個人所得税を納付する。
納税年度は、暦年1月1日から12月31日までとする。
第2条 次に掲げる各種の個人所得については、個人所得税を納付しなければならない。
(1) 賃金給与所得
(2) 役務報酬所得
(3) 原稿料所得
(4) 特許権使用料所得
(5) 経営所得
(6) 利息・配当・割増配当所得
(7) 財産賃貸所得
(8) 財産譲渡所得
(9) 一時所得
居住者が得る前項(1)から(4)までの所得(以下「総合所得」という)については、納税年度毎に合算して個人所得税を計算する。非居住者が得る前項(1)から(4)までの所得については、月次またはその都度種類別に個人所得税を計算する。納税者が得る前項(5)から(9)までの所得については、本法の規定に基づきそれぞれ個人所得税を計算する。
第3条 個人所得税の税率は次の通りとする。
(1) 総合所得については、3%から45%の超額累進税率を適用する(税率表は後ろに添付)。
(2) 経営所得については、5%から35%の超額累進税率を適用する(税率表は後ろに添付)。
(3) 利息・配当・割増配当所得、財産賃貸所得、財産譲渡所得、一時所得については、比例税率を適用し、税率は20%とする。
第4条 次に掲げる各種の個人所得については、個人所得税の徴収を免除する。
(1) 省レベルの人民政府、国務院の省と委員会、中国人民解放軍の軍レベル以上の機関、及び外国組織、国際組織が授与する科学、教育、技術、文化、衛生、体育、環境保護等の分野における奨励金
(2) 国債及び国家が発行する金融債券の利息
(3) 国家の統一規定に基づき支給する補助金、手当
(4) 福祉費、弔慰金、救済金
(5) 保険賠償金
(6) 軍人の転職金、復員料、退役金
(7) 国家の統一規定に基づき幹部、職員に支給する定住金、退職金、基本養老金または退職給与、離職給与、離職生活補助金
(8) 関連する法律の規定に基づき免税とすべき各国の駐在大使館・領事館の外交代表、領事及びその他の人員の所得
(9) 中国政府が参加する国際公約、締結する協議の中で免税と規定する所得
(10) 国務院が規定するその他の免税所得
前項(10)の免税規定については、国務院が全国人民代表大会常務委員会に届出る。
第5条 次に掲げる状況の1つに該当する場合、個人所得税を軽減して徴収でき、具体的な程度及び期限については、省、自治区、直轄市の人民政府が規定するとともに、同レベルの人民代表大会常務委員会に届出る。
(1) 身体障害者、独居老人、烈士家族の所得
(2) 自然災害により多大な損失となった場合
国務院はその他の減税状況を規定し、全国人民代表大会常務委員会に届出ることができる。
第6条 課税所得額の計算は次の通りとする。
(1) 居住者の総合所得については、納税年度毎の収入額から費用60,000元及び専門控除、専門付加控除と法により確定するその他の控除を減額した後の残額を課税所得額とする。
(2) 非居住者の賃金給与所得については、毎月の収入額から費用5,000元を減額した後の残額を課税所得額とする。役務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得については、その毎回の収入額を課税所得額とする。
(3) 経営所得については、納税年度毎の収入総額から、原価・費用・損失を減額した後の残額を課税所得額とする。
(4) 財産賃貸所得については、毎回の収入が4,000元を超えない場合、費用800元を減額する。4,000元以上の場合、費用20%を減額し、その残額を課税所得額とする。
(5) 財産譲渡所得については、財産譲渡の収入額から財産の原価と合理的な費用を減額した後の残額を課税所得額とする。
(6) 利息・配当・割増配当所得及び一時所得については、毎回の収入額を課税所得額とする。
役務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得は収入から費用20%を減額した後の残額を収入額とする。原稿料所得の収入額は70%に減額して計算する。
個人がその所得を教育・貧困援助・救済等の公益慈善事業に対して寄付し、寄付額が納税者が申告する課税所得額の30%を超えない部分については、その課税所得額から控除できる。国務院が公益慈善事業の寄付に対して全額税引前で控除すると規定する場合、その規定に従う。
本条第1項(1)が規定する専門控除には、居住者が国家が規定する範囲及び基準に基づき納付する基本養老保険、基本医療保険、失業保険等の社会保険料及び住宅積立金等が含まれる。専門付加控除には、子女教育費、継続教育費、重病医療費、住宅ローンの利息または住宅家賃、老人扶養費用等の支出が含まれるが、具体的な範囲、基準、実施手順は国務院が確定し、全国人民代表大会常務委員会に届出る。
第7条 居住者が中国国外から得る所得については、納付すべき税額から既に国外において納付した個人所得税の税額を控除できるが、控除額は当該納税者の国外所得に対して本法規定に基づき計算する納付すべき税額を超えてはならない。
第8条 次に掲げる状況の1つに該当する場合、税務機関は合理的な方法で納税調整を行う権利を有す。
(1) 個人とその関連者との取引が独立取引原則に合致せず本人またはその関連者の納付すべき税額が減少し、かつ正当な理由がない。
(2) 居住者が支配する、または居住者と内国法人が共同で支配する実際の税負担が顕著に軽い国家(地域)に設立した企業について、合理的な経営需要がなく、居住者に帰属すべき利益を分配しないまたは減少して分配する。
(3) 個人が実施するその他の合理的な商業目的を持たない手配により不当な税収利益を獲得する。
税務機関は前項の規定に基づき納税調整を行い、税額を追加徴収する必要がある場合、税額を追加徴収するとともに、法により利息を加算徴収するものとする。
第9条 個人所得税は所得者を納税者とし、所得を支給する機関・組織または個人を源泉徴収義務者とする。
納税者が中国公民身分番号を有する場合、中国公民身分番号を納税者識別番号とする。納税者が中国公民身分番号を有さない場合、税務機関が納税者識別番号を付与する。源泉徴収義務者が税額を源泉徴収するときは、納税者は源泉徴収義務者に納税者識別番号を提供しなければならない。
第10条 次に掲げる状況の1つに該当する場合、納税者は法により申告納税を行わなければならない。
(1) 総合所得を得て確定申告を実施する必要がある。
(2) 課税対象となる所得を得るが源泉徴収義務者がいない。
(3) 課税対象となる所得を得るが、源泉徴収義務者が源泉徴収していない。
(4) 国外所得を得る。
(5) 国外移住により中国戸籍を抹消する。
(6) 非居住者が中国国内で2ヶ所以上から賃金給与所得を得る。
(7) 国務院が規定する他の状況
源泉徴収義務者は国家の規定に基づき全員全額で源泉徴収申告を実施するとともに、納税者にその個人所得及び既に源泉徴収した税額等の情報を提供しなければならない。
第11条 居住者が得る総合所得については、年次で個人所得税を計算する。源泉徴収義務者がいる場合、源泉徴収義務者が月次またはその都度税額を源泉徴収して予納する。確定申告の実施が必要な場合、所得を得た翌年の3月1日から6月30日までに確定申告を実施しなければならない。源泉徴収及び予納の弁法は国務院税務主管部門が制定する。
居住者が源泉徴収義務者に専門付加控除情報を提供する場合、源泉徴収義務者は月次で税額を源泉徴収して予納するときは規定に基づき控除しなければならず、拒否してはならない。
非居住者が得る賃金給与所得、役務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得については、源泉徴収義務者がいる場合、源泉徴収義務者が月次またはその都度税額を源泉徴収し、確定申告を実施しない。
第12条 納税者が得る経営所得については、年次で個人所得税を計算し、納税者が月または四半期の終了後15日内に税務機関へ納税申告書を提出するとともに、税額を予納する。所得を得た翌年の3月31日までに確定申告を実施する。
納税者が得る利息・配当・割増配当所得、財産賃貸所得、財産譲渡所得、一時所得については、月次またはその都度個人所得税を計算し、源泉徴収義務者がいる場合、源泉徴収義務者が月次またはその都度税額を源泉徴収する。
第13条 納税者が課税対象となる所得を得るが源泉徴収義務者がいない場合、所得を得た翌月の15日までに税務機関へ納税申告書を提出するとともに、税額を納付しなければならない。
納税者が課税対象となる所得を得て、源泉徴収義務者が源泉徴収していない場合、納税者は所得を得た翌年の6月30日までに税額を納付しなければならない。税務機関が納付期限を通知する場合、納税者は納付期限内に税額を納付しなければならない。
居住者が中国国外から所得を得る場合、所得を得た翌年の3月1日から6月30日までに申告納税しなければならない。
非居住者が中国国内で2ヶ所以上から賃金給与所得を得る場合、所得を得た翌月の15日までに申告納税しなければならない。
納税者が国外移住により中国戸籍を抹消する場合、中国戸籍を抹消する前に税額を清算しなければならない。
第14条 源泉徴収義務者が毎月または毎回源泉徴収する税額については、翌月の15日までに国庫に納入し、税務機関へ個人所得税源泉徴収申告書を提出しなければならない。納税者が確定申告を行い税金を還付するまたは源泉徴収義務者が納税者のために確定申告を行い税金を還付するときは、税務機関の審査後、国庫が管理する関連規定に基づき税金還付を実施する。
第15条 公安、人民銀行、金融監督管理等の関連部門は税務機関による納税者の身分、金融口座の情報の確認に協力するものとする。教育、衛生、医療保障、民政、人的資源社会保障、住宅城町建設、公安、人民銀行、金融監督管理等の関連部門は税務機関に納税者の子女教育費、継続教育費、重病医療費、住宅ローンの利息、住宅家賃、老人扶養費用等の専門付加控除情報を提供するものとする。
個人が不動産を譲渡する場合、税務機関は不動産登記等の関連情報に基づき納付すべき個人所得税を照合するものとし、登記機関は移転登記を実施するときに、当該不動産の譲渡と関係する個人所得税の納税証明書を験するものとする。個人の持分譲渡の登記変更を行う場合、市場主体登記機関は当該持分取引と関係する個人所得税の納税証明書を験するものとする。
関連部門は法により納税者、源泉徴収義務者の本法の遵守状況を信用情報システムに登録するとともに、連合激励または懲罰を実施する。
第16条 各種所得の計算については、人民元を単位とする。所得が人民元以外の通貨である場合、人民元の為替レートの中間値に基づき人民元に換算して税額を納付する。
第17条 源泉徴収義務者に対して源泉徴収する税額に基づいて、2%の手続料を支給する。
第18条 貯金の利息所得に対する個人所得税の徴収開始、徴収軽減、徴収停止及びその具体的な弁法については、国務院が規定し、全国人民代表大会常務委員会に届出る。
第19条 納税者、源泉徴収義務者、税務機関及びその従業員が本法に違反する場合、「中華人民共和国税収徴収管理法」及び関連する法律法規の規定に基づき法的責任を追究する。
第20条 個人所得税の徴収管理については、本法及び「中華人民共和国税収徴収管理法」の規定に基づき執行する。
第21条 国務院は本法に基づき実施条例を制定する。
第22条 本法は公布日から施行する。
(注釈1:本表が称する全年の課税所得額とは、本法第6条の規定に基づき、居住者が得る総合所得につき納税年度毎の収入額から費用60,000元及び専門控除・専門付加控除と法により確定するその他の控除を減額した後の残額を指す。
注釈2:非居住者が得る賃金給与所得、役務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得については、本表に基づき月度に換算した後に課税所得額を計算する。)
(注釈:本表が称する全年の課税所得額とは、本法第6条の規定に基づき、納税年度毎の収入総額から原価・費用・損失を減額した後の残額を指す。)
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