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FCG集团的通讯

Singapore News Letter(2019年11月号)

11/26/19 Tuesday新加坡

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シンガポールM&Aと会計税務上の留意点

 

日系企業によるシンガポール企業のM&A に対する関心度は過去と比較して非常に高い水準にあり、日系上場企業ベースでの直近5年間のシンガポール企業M&A件数は増加し続けています。その理由の一つにシンガポールの会計・税務の品質や透明性の高さが挙げられます。具体的な内容と留意点について、以下解説します。(シンガポール企業がM&A先に選ばれる理由は「Singapore News Letter (AUGUST 2019) シンガポールM&A の現状と増加要因」を参照。)

 

1.会計監査による品質担保

シンガポールでは原則として会計監査が要求され、一般的な監査手続として主に下記の項目を含んでいることから、監査済決算書は一定程度の品質が担保されていると言えます。

・証憑突合

・銀行、取引に対する残高確認状

・棚卸資産の実査

・債権、固定資産、投融資の評価

・グループ間取引の確認

・簿外資産・負債、偶発事象、後発事象の確認

 

一方で、小規模会社(Small Company)は、監査が免除されています。小規模会社とは、以下の全ての要件を満たす会社を言います。

(1) 非公開会社(株主50人以下)であること。

(2) 以下のうち二つの条件を、直近2会計年度のいずれかで満たしていること。

     A:売上合計1,000万SGD(約8億円*)以下

     B:総資産合計1,000万SGD(約8億円)以下

     C:従業員50名以下

* 1SGD = 80円換算(以下、同様)

 

また、連結グループの一つである場合、以下の全ての要件を満たすとき監査が免除されます。

(1) 当該会社が小規模会社である。

(2) 連結ベース(国外の会社も含む)で小規模会社の定義(2)の定義を満たすこと。

 

監査の免除要件を満たす場合、外部のチェック機能が働かず、決算書の品質は当該企業の経理レベルや企業風土等に依拠することとなり、一般的に非監査のオーナー企業における決算書の品質はあまり高くないのが実情です。

 

以上の内容から、シンガポールのM&Aにおいては対象会社における監査の適用有無により、対象会社の経理レベルや得られる情報の精度が大きく異なることから、まずはその適用状況を確認することが重要です。

日系企業によるシンガポール企業のM&A10億円(約12.5MSGD)前後のディールが多いと言われており、EBITDA倍率を6~8倍程度と仮定すると対象会社のEBITDA1.52MSGDで、そのような企業の場合は監査が免除されるケースもあります。そのため、シンガポール企業のM&Aに際しては、まずは監査の適用有無を確認し、対象会社から得られる会計数値や経理レベルのイメージを掴んでおくことが重要です。

 

 

2.罰則とコンプライアンス意識による透明性

シンガポールは罰金王国と言われるように、罰則が非常に厳しい国の一つです。これは税金に関しても同様であり、例えば法人税に関して、申告誤り、過少申告等があった場合、以下のような罰則が定められています。

 

(脱税が意図的でない場合)

a. 過少額の最大200%の加算税

b. 最大5,000SGDの罰金(および/または)

c. 最大3年間の禁固

 

(脱税が意図的な場合)

a. 過少額の最大400%の加算税

b. 最大50,000SGDの罰金(および/または)

c. 最大7年間の禁固

 

上記のとおり、シンガポールでは非常に厳しい罰則が定められていることから、コンプライアンスを遵守する意識は他のアジア諸国に比べても高く、二重帳簿や三重帳簿といった問題に遭遇するケースも相対的に少ないと言えます。

 

このような背景から、シンガポールのM&Aに際しての税務リスクは他のアジア諸国に比べ低いと考えられますが、上記1.の会計監査が適用されていない企業等では、会計上の証憑自体が満足に保存されていないケースやオーナーの個人経費が会計データに混在するケース等も存在します。したがって、対象会社の置かれている状況を踏まえ、会計・税務上のリスクを適切に見極めていくことが重要になります。

 

<お問い合わせ先>

FAIR CONSULTING SINGAPORE PTE.LTD.
8 Temasek Boulevard, #35-02A Suntec Tower Three,Singapore 038988
TEL:+65 6338 3180 | FAX :+65 6338 3187
日本国公認会計士 伊藤 潤哉 Junya Ito (C.P.A (JAPAN))
E Mail:ju.ito@faircongrp.com

日本国弁護士 遠藤 衛  Mamoru Endo

E-Mail:m.endo@faircongrp.com