Newsletter of FCG Group.
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Thursday February 20th, 2020Singapore
Fair Consideration Frameworkの改正
シンガポールFAIR CONSIDERATION FRAMEWORK(FCF)というシンガポール人の雇用機会の公平を図る制度が存在します。一般に、シンガポールは使用者に有利な労働法制度が採用されているといいますが、差別的な採用に対するシンガポール政府の姿勢は厳しく、FCFに違反した場合、ビザの発行停止など、外資系企業にとって極めて深刻な処分が下されることがあり得ます。そして、2020年1月14日には、FCFの内容が使用者にとって従来と比較して厳しい内容に改正されました。本稿では、FCFの概要に触れた上、本年に実施された改正の内容について解説します。
1. FCF概要
シンガポール人材開発省(Ministry of Manpower/MOM)は、Tripartite Guidelines on Far Employment Practicesという第三者機関の作成したガイドラインの遵守を求めており、これに違反すると、ビザの発給停止といった処分が、MOMより下される場合があります。
当該ガイドラインでは、使用者に、年齢、性別、民族、宗教、国籍、言語、家族構成、障害、人種等に基づく採用を禁止するとともに、一定の例外を除き、外国籍の者を雇用する14日前にそのポジションについてMyCareersfuture.sgという国営の無料求人サイトにシンガポール国籍者(永住権取得者を含む)に対する求人広告を掲載する義務を定めております。
このように、シンガポールでは差別的雇用を禁止するとともに、外国人をシンガポールにおいて雇用する際にはそのポジションについてシンガポール人にも間口を開くことによって、シンガポール人の雇用機会の拡充が図られていました。
2. 本改正の概要
上記のシンガポール人の雇用機会の拡充は、その違反の罰則により担保されており、上記ガイドラインに違反した場合、これまでは最長6か月のビザの発給停止処分等が取られていました。ビザの発給という外資系企業がシンガポールで事業を行う上で生命線となる点に罰則を課すことで、FCF制度の実効性を確保していたわけですが、2020年1月14日に、MOMはまた、当該罰則を加重する改正を実施しました。
まず、これまで違反によりMOMが停止できるビザの発給停止期間が、最長6ヶ月から、最長24ヶ月、最短12ヶ月に変更されました。また、これまでは、新規ビザの発給が停止されるにとどまっていたところ、発給済みビザの更新不許可も含まれるようになりました。
さらに、雇用機会位の均等性確保に関する虚偽申告に関するMOMの訴追権限が認められるようになり、仮に同訴追により有罪を宣告された場合、長期2年の禁固若しくは最大2万シンガポールドルに罰金又はその併科が科されることになりました。
既に改正後のガイドライン違反を理由にビザの発給停止処分を受けた日系企業もあり、当局の強い取り締まり姿勢が見受けられます。今後は一層のFCF遵守が日系企業に求められ、自社がFCFをしっかりと守っているのか今一度確認することが推奨されます。
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日本国公認会計士 伊藤 潤哉 Junya Ito (C.P.A (JAPAN))
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日本国弁護士 遠藤 衛 Mamoru Endo
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