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FCG アメリカ ニュースレター 第1回:Paycheck Protection Program (PPP)/給与保護プログラムの概要

Tuesday April 21st, 2020USA

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第1回:Paycheck Protection Program (PPP)/給与保護プログラムの概要

(中小企業向け債務免除可能ローンプログラム)

 

新型コロナウィルスが猛威を振るうアメリカで、米国GDPの約10%に当たる2.2兆ドルをかけたトランプ政権の新型コロナウィルス対策法 (CARES Act)、 その中でも特に注目を集めているのが、中小企業へ総額3,490億ドルの救済ローンを提供するPaycheck Protection Program、通称PPPと呼ばれる給与保護プラグラムです。一定の条件を満たせば返済不要のローンであるため、202043日に申請の受付が始まって以来、突然の災禍の中で苦境に立たされた中小企業からの申し込みが殺到しています。FCUS初となる今回のニュースレターでは、米国経済の屋台骨である中小企業の未来がかかったPPPの概要をお伝えします。

 

PPPの目的

COVID-19により影響を受けた中小企業に対し従業員の8週間分の給与とその他費用をカバーすることで、雇用と給与を維持し、事業の継続をサポートすることがPPPの目的です。

このプログラムはSmall Business Administration (SBA) という政府機関が運営していますが、SBAが直接融資を行うのではなく、SBA認定の金融機関にローンの申請を行います。

 

対象となる企業

・社員数が500人以下の企業、非営利団体 (501(c)(3) organization)、退役軍人の団体

・社員数が500人以上だが、SBAが規定する中小企業の条件を満たす企業 (最大有形純資産が$15M以下、かつ過去2年間の税引後平均純利益は$5M以下の企業)

・個人事業主、独立業務請負人、自営業者(米国での合法的な就労資格が必要)

・飲食業とホテル業(NAICSコード72に該当)限定で、フランチャイズされた各店舗が500人以下の場合 

 

中小企業対象の救済策ですが、個人事業主や独立業務請負人も対象に含まれます。特に打撃を受けている飲食・ホテル業については、各店舗の社員数が500人以下であれば店舗ごとにローンの申請が可能です。

 

応募条件

PPPの可決を迅速に行い早急に中小企業に資金を届けることを最優先としているため、通常であれば必要な担保や保証人は必要なく、連邦政府が融資保証をするとしています。 (ローンを受け取った後に詐欺行為が判明した場合は刑事告訴すると連邦政府は警告しています)。以下のすべての条件を満たす必要があります。

・4月3日から630日までに申し込みすること(個人事業主の場合は410日から受け付け開始)

・前述の対象となる企業に当てはまること

・2020年215日の時点で事業運営していた実績があること

・コロナウィルスの影響を受け、PPPローンが事業運営に必要であること、提出した書類に偽りがないこと、また受け取ったローンは後述の指定された使用目的の応募条件みに使うことを代表者が宣誓すること

 

ローンの指定された使用目的

給与保護プラグラムの名前の通り、最大の使用目的は給与とその関連費用です。ローンの総額の75%は給与関連費用に充てる必要があります。

・給与関連費用* (米国で勤務する社員分のみカバーされる)

・2月15日以前から存在する不動産ローンの利子の支払い

・2月15日以前にリース契約された家賃

・光熱費、通信費の支払い

*給与関連費用には、チップやコミッションを含む給与(上限給与額は$100,000) 、グループ医療保険料、有給休暇や病欠手当、退職年金、州や地方の雇用税などが含まれます。

 

ローンの内容

・過去12か月の給与処理総額月額平均の5倍まで(最大1千万ドル)

・満期2年、利子は1% (返済は6か月の猶予があるが、この間も利息は発生する)

・各企業につき一回限り

・指定された目的にのみ使用可能であり、一定条件を満たせば返済免除となる

 

返済免除となる条件

・ローンは前述のローンの指定された使用目的にのみ使用した

・ローンを受け取ってから8週間継続して社員の雇用を維持し給与を支払った

 

なお、以下の場合には返済免除が減額されるので注意が必要です。

・8週間の間にフルタイム社員の人数が減った場合

・給与額が$100,000以下の社員の給与を25%以上減らした場合

*再雇用: 215日から426日の間に起きたフルタイム社員の解雇と給与の減額については、630日まで猶予期間が認められており、それまでに元の人数と給与レベルに戻すことができれば減額を免れます。

 

施行後の問題点

最速ともいえるスピードで成立したこの法案ですが、当初から貸し手である銀行や金融機関、このプログラムを運営する政府機関であるSBAの間で情報が錯綜し不明瞭な部分が多かったため、以下のような混乱が生じています。

・ローンの申し込み受付開始から2週間足らずで3490億ドルの予算を使いきってしまい、現在はローンの受付を停止している。 (現時点で、政府が2,000~2,500億ドルの追加を検討中)

・受付開始当初は銀行と政府の間でも情報が正しく共有されておらず、財務や税務の専門部署がない中小企業は申請手続きの方法や必要書類などの情報を揃えるだけでも一苦労で、迅速に申請できなかった。

・SBAは認定を受けた金融機関であれば、過去の取引実績がなくても融資は可能とのことであるが、実際は今まで取引がなかったり、特に借入したことがない顧客の場合はローンが拒否されるケースが見られた。

 

 

<お問い合わせ>

Fair Consulting USA Inc.

21250 Hawthorne Blvd, Suite 500, Unit #48, Torrance, CA 90503

Tel: +1-310-792-7059

◇涌井 正晴

Email: ma.wakui@faircongrp.com

 

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【PDF版】FCUS News letter vol. 1 PPP Final