Newsletter of FCG Group.
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Thursday June 4th, 2020USA
第6回:Payroll Tax Deferral/給与税の支払い延期
第1回及び第4回のニュースレターにて、中小企業向け救済ローン Paycheck Protection Program、通称PPP についてご紹介しました。また、第5回のニュースレターにて、企業向け税額控除プログラム Employee Retention Credit /従業員雇用維持クレジットについてご紹介しました。
これらの新型コロナウィルス対策法(CARES Act)に含まれる法人向け救済プログラムは、企業規模に上限があったり、“COVID-19により事業に大きな悪影響を受けたこと ”を証明することが必要条件にありました。しかし、直接的な影響は免れたとしても、これだけの被害が世界中で起きている状況を考えると、全く事業に影響がないという企業や個人事業主は少数でしょう。今回のトピックであるPayroll Tax Deferral (給与税の支払い延期)は、企業規模や運営状況に関わらず、ほぼ全ての企業が対象となるプログラムです。
Payroll Tax Deferralの概要
2020年3月27日~12月31日の期間に支払う必要のある給与税のうち、雇用者負担分のSocial Security Tax (6.2%)の支払いについて、その50%を2021年12月31日まで、残りの50%は2022年12月31日まで、ペナルティ無しで延期することができます。このプログラムは企業のキャッシュフローを助けることを主な目的としています。通常であれば、企業は原則、毎月等の指定された頻度と期日までに給与税を納付する必要があり、遅れた場合は2%~最大15%のペナルティが課せられますが、このプログラムにより、上記期限までに支払いを行う場合、ペナルティが課せられません。
プログラムの対象
企業と個人事業主が対象となっており、企業の規模や業種、運営状況などの制限はありません。なお、Railroad Worker (鉄道職員) の場合は、Social Security Taxの代わりにRailroad Retirement Tax Tier 1の雇用主負担分が、個人事業主の場合はSelf-employment taxのSocial Security Tax分の50%が、それぞれ支払い延期の対象となります。
申請方法
内国歳入庁(IRS)は、Form 941(四半期毎の連邦給与税申告書)が2020年の第2四半期分から改定される予定で、近日中に、支払いを延期したSocial Security Taxを反映させる方法を、雇用主に指示すると発表しました。なお、支払い延期を享受するための特別な選択や追加の申請書の提出などは一切必要ないとしています。
CARES Actの他プログラムとの併用
現時点では、PPPとの併用のみが、条件が付きで不可となっています。
PPPの融資を受けた企業は、返済免除が正式に認められるまでの期間はPayroll tax deferralが認められますが、返済免除が確定した時点で、その日より後のPayroll tax deferralは不可となります。
*なお、現時点ではまだ確定していませんが、この条件を排除する法案が提案され、下院は可決し、現在は上院で検討されています。
注意点
・対象となる給与税は、雇用者負担分のSocial Security Tax(6.2%)のみであり、その他の給与税の支払い義務は今まで通りとなります。
・給与税の納付やForm 941の提出を、給与処理会社や会計事務所に外注している場合でも、最終的な責任は支払い延期の指示を出した企業が負います。
CARES Actには様々なプログラムが含まれています。企業によっては複数のプログラムに該当することもあり、組み合わせて利用することも可能です。併用した場合の注意点を専門家と相談しながら、ベストな選択肢を見つけましょう。
By 秋保 絵美子
Fair Consulting USA Inc.
Los Angeles Office
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Fair Consulting USA Inc.
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◇涌井 正晴
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【PDF版】FCUS News letter vol. 6 Payroll Tax Deferral Final