FCGグループのニュースレターをお届けします。
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2020年06月12日アメリカ
第7回:Reopen businesses/ビジネスの再開
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、3月中旬以降アメリカの多くの州や自治体で自宅待機令(Stay-At-Home Order)が発令され、依然多くの経済活動が制限されていますが、トランプ大統領が4月16日、経済再開のためのガイドラインを発表して以降、各地で経済活動再開の動きが活発化しています。自宅待機令の緩和、解除ならびに経済活動再開に向けての細かい条件は州や自治体レベルで定められていますが、現在では、50州すべての州において、制限されていた経済活動が何らかの形で緩和されています。今回は、ビジネスの再開を検討するにあたり、雇用主が留意すべき点について、ご紹介します。
政府とCDCのガイドライン
トランプ大統領と米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、通称「CDC」)が共同で発表した、”Opening Up America Again =アメリカを再び開放するためのガイドライン” では、業種にかかわらずすべての雇用主に対し継続して以下のような対応策をとることが推奨されています。
①連邦、州、各地方自治体の法令とガイドライン、および業界の慣行における最善策に基づき、下記事項に関する適切な社内法規を作成、実施する。
・ 社会的距離の維持および個人用保護具の提供
・ 体温測定
・ 衛生管理
・ 共用スペースや多数が利用する場所の使用方法と消毒
・ 従業員の出張
②従業員に新型コロナウィルスの症状がないか監視すること。症状のある者については、 医療提供者による許可を受けるまで事業所に出勤することを禁じる。
③陽性と診断された従業員の所在を追跡するための社内規則・手続を作成、実施する。
OSHAのガイドライン
米国労働安全衛生庁( Occupational Safety and Health Administration、通称「OSHA」)が発表したガイドラインでは、事業所の再開にあたり下記のような対策が推奨されています。
①感染への予防策と、感染発生時の対応策を定める。
雇用主は、従業員がいつ、どこで新型コロナウィルスに感染する恐れがあるか危険因子を考慮したうえで感染への予防策を定める。このとき、業務外での私生活や、年齢や健康状態などの個人的な要因も考慮することが重要である。また、感染が発生した場合の対応策を、連邦、州、各地方自治体の法令とガイドラインに沿って定める。
②基本的な感染対策を行う。
雇用主は、従業員の咳エチケットと頻繁な手指消毒を助長する。給湯室、会議室その他の交流場所など、共有スペースは一時的に使用を制限、または閉鎖することを検討する。また雇用主は、従業員に対し在宅勤務の継続や柔軟性のあるシフト編成を認めることにより、従業員同士の社会的距離(Social Distancing)を設け安全を確保するよう努める。
③感染者の識別、隔離の方針と手順を設定する。
雇用主は従業員に、自身の健康状態を自己チェックするよう推奨する。従業員または従業員の家族に新型コロナウィルス感染の可能性がある症状が認められた際に、その旨を雇用主に申告するための方針と手順を定める。また必要に応じて、当該従業員を隔離する際の方針と手順を定める。
④職場の柔軟性、安全対策について見直し、話し合う。
雇用主は、新型コロナウィルスに感染した可能性のある従業員またはその家族が感染した従業員に対し、自宅待機を勧める。その自宅待機期間が、懲罰的な休暇となることの無いよう、柔軟性のある休暇規則を設ける。新型コロナウィルスの感染拡大にともない、給与や有給休暇、職場の安全性について従業員の懸念が高まっていることを念頭に置き、適切なトレーニングやオリエンテーションを実施する。健康保険の提供元や、地域の保健機関と協力し、従業員が受けられる医療ケアについて正しい情報を提供する。
⑤職場環境の管理。
雇用主は、新型コロナウィルス感染の危険因子を取り除くため、空気清浄機や間仕切りを設置するなど、施設の整備を行う。ハンドソープや除菌スプレーなどの必要な備品を設置する。在宅勤務やシフト制を活用し、従業員同士の接触を最小化するよう努める。従業員に対して手袋、マスクなどの適切な個人用保護防具を提供する、または着用を義務付ける。
各地で日々状況が変化している中、雇用主は今回紹介したようなガイドラインを参考にしつつ、各事業所の状況に応じて最適なビジネスの再開計画を立てる必要があります。従業員や顧客、近隣の事業所や地域社会の健康に配慮した、合理的な判断が求められるといえるでしょう。また、ビジネス再開に際しての従業員の再配置や業務の移行等については、専門家からアドバイスを受けることや、場合によってはアウトソーシングを活用することも有効です。
By 上野 裕美
Fair Consulting USA Inc.
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◇涌井 正晴
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