Newsletter of FCG Group.
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Friday June 26th, 2020USA
第8回:Paycheck Protection Program Flexibility Act (PPPFA) /給与保護プログラム柔軟化法
2020年6月5日、トランプ大統領は中小企業向け給与保護プログラム (Paycheck Protection Program/PPP) の条件を大幅に緩和する法案、Paycheck Protection Program Flexibility Act (PPPFA)を成立させました。PPPFAの適用により、当初のPPPの条件では比較的厳しく定められていたローンの返済免除条件等が柔軟化し、返済免除額の最大化が期待できます。
PPPFA適用後の主な変更点は以下になりますが、別紙でも変更点をまとめていますので、ご参照ください。また、当初のPPPについては第1回、第4回ニュースレターで詳しくお伝えしておりますので、こちらもご参照ください。
返済免除の必要条件
当初のPPPの条件では、返済免除を受けるにはローンの75%は給与関連費用に使用する必要があり、またローンの成立日から8週間継続して社員の雇用を維持し給与を支払う必要がありました。PPPの成立当初から、州や連邦の自粛命令で事業再開の目途が立たない中、この条件を満たすことができず、PPPの融資を折角受けても返金しなければいけない企業がでており、問題になっていました。PPPFAにより、この条件は大きく緩和されました。
・給与関係に使用しなければいけないローンのパーセンテージが、75%から60%に変更
・残り40%について、認められるローンの使用目的に変更はなし
Covered Periodの延長
ローンの成立日から8週間の期間はCovered Periodと呼ばれ、返済免除が認められるローンの使用期間です。PPPFAにより、Covered Periodはローンの成立日から24週間、又は2020年12月31日のどちらか早い方に延長されました。6月5日以前にPPPの融資を受けた企業は、8週間又は24週間のどちらかをCovered Periodとして選べるようになりましたが、24週間を選んだ場合は、社員数や給与レベルを維持しなければいけない期間も24週間となりますので、注意が必要です。
返済免除の特別措置の延長
PPPでは、Covered Periodの間にフルタイム社員 (又はフルタイム同様の社員数/Fulltime Equivalent Employees) が減ったり、給与額が$100,000以上の社員の給与を25%以上減らした場合は、返済免除が減額されることになっていました。返済免除の減額についは特別措置が認められており、2020年2月15日~4月27日の間に起きたフルタイム社員の解雇と給与の減額については、6月30日までを猶予期間とし、それまでに元の人数と給与レベルに戻すことができれば減額を免れます。PPPFAにより、この特別措置の再雇用の期限が12月31日まで、大幅に延長されました。
特別措置の期限までに再雇用できない場合でも、以下のいずれかに該当する場合は返済免除の減額を回避することができます。
・2月15日時点で在籍していた従業員で一旦解雇した者 (又は同等の資格・経験者)に、書面で正式に雇用のオファーを行ったが雇用できなかったことを文書で誠実に証明する (書面のやり取りは全て記録する必要あり)
・2020年3月1日~12月31日の間に州や連邦機関から出された衛生基準や、社会的距離、社員や顧客の安全要件を遵守するため、2020年2月15日以前の事業レベルに戻ることができない事を書面で誠実に証明する。
ローンの内容
返済免除にならなかった場合、又は部分的返済免除を受け一部元利金の返済が求められる場合は、以下のローン内容になりました。
・ローン満期: 2年 → 5年
・返済開始までの猶予期間:6か月 → 返済免除額が確定するまで(注:借主がCovered Periodが終ってから10か月以内に返済免除の申請を行わなかった場合は、元利金の返済を始めなければいけない)。
Payroll Tax Deferralとの併用
PPPとPayroll Tax Deferralの併用は、返済免除が確定するまでの期間のみ認められていましたが、PPPFAにより返済免除後も併用が可能になりました。
新型コロナウィルス対策法 (CARES法)の目玉とも言えるPPPは、今年3月27日の成立から何度も変更や修正が加えられ、その都度振り回された中小企業や貸し手からは不満の声が上がっていました。一部メディアからは“まるで空を飛びながら飛行機を組み立てているようだ”と揶揄されてしまったPPPですが、PPPFAの導入により返済免除の条件が緩和され、より明確になりました。ただしローンの申請締め切りは6月30日から変更がありませんので、残りの期間、申請が急増する可能性が指摘されています。PPPの申請を考えている場合はこれが最後のチャンスとなりますので、専門家に相談しながら慎重かつ早急に検討することをお勧めします。
By 秋保 絵美子
Fair Consulting USA Inc.
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◇涌井 正晴
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