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FCG アメリカ ニュースレター 第11回:経済再開の最新状況

2020年07月22日アメリカ

第11回:経済再開の最新状況

 

4月後半から多くの州、郡、自治体で、新型コロナウィルスにより停止状態となっていた経済の再開に向けてのロードマップやガイドラインが発表され、完全な再開までのおおよそのスケジュールが設定されていた所もありました。しかし経済再開フェーズが進むにつれ、新型コロナウィルスの感染者数が増加し、7月に入り経済再開フェーズの後退措置をとる州が増えています。714日時点での民間会社による調査によると、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、フロリダ、ルイジアナ、ミシガン、ネバダ、ニューメキシコ、テキサスの9つの州において経済再開フェーズが後退し、一度は再開したビジネスが再び営業停止となっています。

 

アリゾナ州

アリゾナ州では3月に発令された外出禁止令が515日に解除されたことを受け、多くのビジネスが営業を再開しました。しかし6月上旬から感染者数が急増し始め、デューシー州知事は629日に新たな知事令を発令し、州内のバー、ジム、映画館、プールを再び営業停止とする指示を出しました。この知事令は即日有効となり、少なくとも30日間効力を持つことが発表されました。

 

カリフォルニア州 

6月中旬に全4フェーズある経済再開フェーズの第3フェーズに突入し、多くのビジネスの再開が許可されたカリフォルニア州でしたが、その後の感染拡大により、ニューソム州知事は713日付で、バーの営業、レストランでの店内飲食、美術館や動物園などの施設を州内全域において再度停止するよう指示を出しました。またカリフォルニア州の中でも感染者数の増加が著しいロサンゼルスやサンディエゴ、オレンジなどを含む30の郡に対しては、これらに加えてジムや美容院、教会、ショッピングモール、必要不可欠でないオフィス業なども再び営業停止とする指示を出しました。

 

コロラド州

コロラド州では426日に外出禁止令が解除され、全3レベルに分かれている経済再開計画の第2レベルに突入しました。この第2レベルの間に多くのビジネスが営業を再開しましたが、その後の感染者数の急増を受け、ジェラド州知事は7月1日付けで、バーとナイトクラブの営業を再度停止するよう指示を出しました。バーとナイトクラブは6月下旬に営業再開を許可されてから、わずか1週間余りで再び営業停止を余儀なくされました。

 

フロリダ州 

ロン・デサンティス州知事は、全4フェーズある経済再開フェーズのうち、54日以降、多くの郡が第2フェーズに入ることを発表しました。6月初旬には、新型コロナウィルスの感染者数が増え続けているにもかかわらず、第3フェーズへ突入し、州内のバーや大型娯楽施設の再開へと踏み切りました。しかし感染者数のさらなる増加を受け、626日付ですべてのバーの再度営業停止を指示しました。この時点で知事は、最終フェーズへの移行時期は不透明であるとしています。一方で、感染者数の急増にもかかわらず711日に営業を再開したディズニーワールドは、現在も引き続き営業を続けており、これには懸念の声も高まっています。フロリダ州では、712日に1日で過去最多の15,300人の感染者数を記録しています。

 

ルイジアナ州

ルイジアナ州は、65日より全4フェーズある経済再開フェーズの第2フェーズへ入り、多くのビジネスに対し、最大収容客数を50%以下とするという条件付きでの営業再開が許可されました。しかしその後の感染者の急増を受け、エドワーズ州知事は713日付で州内のバーを再び営業停止とする知事令を出しました。同時に、州内での公共の場でのマスクの着用も義務付けられました。知事は、第3フェーズへの移行は少なくとも7月下旬までは保留とする考えも示しています。

 

ミシガン州

ミシガン州では61日に外出禁止令が解除された後、州内を8つのエリアに分け、全6フェーズで構成される経済再開フェーズを地域別に進めてきました。この時点でウィットマー州知事は、74日の独立記念日までに、ほぼすべての業種が通常営業可能となる第5フェーズへ入ることを目標としていました。多くの地域で第4フェーズまで進んでいましたが、6月下旬に連続して感染者数の増加を記録したことにより、71日付で、再開を許可されていたレストランやバーの店内飲食を再び禁止する指示を出しました。同時に、第5フェーズへの移行は当面の間不可能だとの考えを発表しています。

 

ネバダ州 

ネバダ州は、529日より全4フェーズある経済再開フェーズの第2フェーズへ入り、バーやジム、スパなどをはじめとする多くの業種の再開が認められました。しかし新型コロナウィルスへの感染者が再び増加したことにより、シソラック州知事は710日付で州内の7つの郡に向けてバー、パブ、ワイナリー、蒸留所を再び営業停止とする指示を出しました。これに対して37の事業者は連名で、州を相手に訴訟を起こし再度の営業再開許可を求めています。訴訟の中で事業者たちは、80%超の事業者がバーの営業再開ガイドラインを遵守していたこと、および64日以降再開を許可されたカジノ、賭博場が引き続き営業を続けている事実を考慮すると、この営業停止措置は不当であることなどを主張しています。

 

ニューメキシコ州

5月16日以降、全4フェーズある経済再開フェーズの第2フェーズに突入し、グリシャム州知事は多くのビジネスの条件付き再開を許可しました。しかし6月下旬に州内の多くの地域で感染者数が増加したことにより、今後数週間、経済再開フェーズが進む可能性は無いと発表しました。その後713日付で、営業再開を許可していたレストランやバーでの店内飲食を再び禁止する指示を出しました。

 

テキサス州 

カリフォルニア州に次ぎ全米で2番目に人口の多いテキサス州では、430日に外出禁止令が解除された後、すぐに全4フェーズある経済再開フェーズのうち第2フェーズに突入し、バーは最大収容客数を25%、レストランを含むその他ほぼすべての業種は最大収容客数を50%に制限したうえで営業が認められました。そして第3フェーズに突入した63日以降、レストランは最大収容客数の75%、バーは50%を上限として営業できるように条件が緩和されましたが、5月下旬の3連休を境に感染者数が急増しはじめており、アボット州知事は626日から州内のバーを再び営業停止とし、レストランについては最大収容客数を再び50%まで減らして営業とするよう指示を出しました。

 

今後の見通し

経済再開フェーズの後退については、そもそも再開を急ぎすぎたのではないか、と同調する声もある一方で、再び仕事が失われることに対する不満の声も多く上がっています。アメリカ全体で新型コロナウィルスの感染者数が増加し続ける中、これからも、各地で経済再開についてのスケジュールやガイドラインが随時変更となることが予想され、州、郡、自治体から発信される情報には注視しておくことが重要です。

 

By 上野 裕美 

Fair Consulting USA Inc. 

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