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FCG アメリカ ニュースレター 第12回:CARES法(新型コロナウィルス対策法)の部分的期限切れと今後の動き

Monday August 3rd, 2020USA

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第12回:CARES法(新型コロナウィルス対策法)の部分的期限切れと今後の動き

 

今年3月末に2.2兆ドルという莫大な予算を持って成立したCARES法ですが、その目玉一つであった連邦失業保険の強化が731日で期限切れとなり、米国市民の間で不安の声が広がっています。再開に向けてようやく段階的に動き始めていた米国経済ですが、ビジネスの再開とともに感染者数の増加が続いており、特に被害が拡大している州では、やむなく再開のフェーズを戻すなどの対策が取られています。6月末の時点での失業率は11.7%でしたが、7月半ばからまた増加の一途をたどっています。CARES 法が成立した時点での予測をはるかに超える医療的・経済的な被害が起きている現在、追加の対策が必要なのは火を見るよりも明らかですが、その内容をめぐって議会では激しい論争が起きています。

 

連邦失業保険の強化と現在の背景

CARES法に含まれる法律の中で、市民の生活を支える上で非常に重要な役割を果たしていたのが、連邦政府による失業保険給付金の強化でした。通常であれば州政府により運営されている失業保険ですが、ビジネスの閉鎖による大量の失業者の生活を守るため、州政府から支給される通常の失業給付金に加え、一律週に$600の給付金を731日までの期限付きで補償し、支給対象も広げました。突然仕事が激減したり、予期せぬ失業者となってしまった労働者にとって、連邦失業保険の強化は今まで通りの生活を維持するための命綱であるとして、民主党が多数を占める下院は、来年1月までCARES法と同じ内容で継続すべきだと強く主張しています。

 

さらにタイミングの悪いことに、失業者や経済的不安を抱える市民を守る、CARES法の立ち退きモラトリアムがほぼ同時期に期限切れになりました。立ち退きモラトリアムは、コロナウィルスによる経済的被害を受けて家賃の支払いができなくなった賃貸人に対して、大家が立ち退き命令を出すことを724日まで禁止するものでした。合衆国国勢調査局が7月初めに行った調べによると、約43百万人が6月の家賃を全く、または一部しか払えなかったという結果になっています。州や市によっては独自の立ち退きモラトリアムを設けている場合もありますが、貸主による州を相手取った裁判も起きており、いつまで維持できるのか先が見えません。連邦失業保険の補助と立ち退きモラトリアムが同時に失効することで、ウィルスが未だ猛威を振るう中、さらに住居を失う市民が大量に発生することが懸念されています。

 

一方、共和党が多数を占める上院は、過剰な給付金の支払いが再就労の足かせになっているとして、このままの内容で継続することに反対しています。そもそも失業給付金が一律週$600になったのは、大量の失業者に迅速に給付金を届ける必要があり、処理作業を簡易化するためでしたが、当初よりその公正さには疑問の声が上がっていました。全米経済研究所が行った調査によると、失業保険の受給者の68%が失業前の賃金より多くの金額を受け取っており、内20%は失業前の賃金の2倍の金額を受け取っていると報告されています。これを受け上院は給付金を一律週$200に減らして9月まで継続、その後は州政府と連携し失業前の賃金の70%を補償する案を含めた、一連の法案(通称HEALS Act)を727日に発表しました。

 

今後の動き

HEALS Actは現時点ではまだ成立しておらず、現在上院と下院の代表が落としどころを見つけるべく、話し合いを続けています。決定の期限は、国会が一時休止に入る前の87日と見られていますが、万が一決まらない場合は、9月まで決定持ち越しとなってしまいます。今年は大統領選もあるため、市民も巻き込んで議論は白熱していますが、互いの協力無しにはこの緊急事態は乗り越えられない状況です。HEALS Actにはこの他にもPPPローンの追加案や、法人税の様々なクレジット、2度目となる市民への現金給付、学校再開への補助金など重要なトピックが多く含まれています。先が見えない状況が続きますが、日系企業の皆様のお役に少しでも立てるよう、弊社では今後もニュースレターを通して情報を発信して参ります。

 

 

By 秋保 絵美子

Fair Consulting USA Inc.

Los Angeles Office

 

お問い合わせ

Fair Consulting USA Inc.

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Tel: +1-310-792-7059

◇涌井 正晴

Email: ma.wakui@faircongrp.com

 


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