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FCCニュースレター Vol.41(2013年2月)

Friday February 1st, 2013Japan

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アベノミクス

 

“アベノミクス”、最近では大分耳慣れた用語になってきた感があります。ご存じのとおり、安倍首相が提唱する デフレと円高からの脱却、名目3パーセント以上の経済成長の達成などを掲げた経済政策の総称で「安倍」+「エ コノミクス」の造語です。主な内容としては、 ◆ 物価目標(インフレターゲット)を2パーセントに設定し、日銀法の改正も視野に入れて大胆な金融緩和を行 う。 ◆ 財務省、日本銀行、および民間が参加する外債ファンドを創設し、外債購入の方策を検討する。 ◆ 緊急経済対策を断行し、補正予算と新年度予算を合わせて切れ目なく経済政策を実行する。 ◆ 「日本経済再生・産業競争力強化法」(仮称)を制定し製造業の復活を目指す。 ◆ 日本の立地競争力低下による産業の海外流出を防ぐため、イノベーション基盤の強化や法人税の引き下げ などを行う。 ◆ メタンハイドレートやレアアース泥などの海洋資源の開発に集中投資する。 政権発足から2ヵ月足らずで大幅な円安と株高を実現させてきた「アベノミクス」ですが、大方の高評価の一方 で、厳しく警鐘を鳴らす意見もあります。 2月の月例経済報告では、景気の総合判断が「一部に弱さが残っているものの、下げ止まっている」とされ、前 月の「一部に下げ止まりの兆しも見られる」から一段の引き上げが行われました。他にも、個人消費や生産、企 業収益、業況判断などの分野で判断が引き上げられており、景気回復を印象づける内容となっています。 また、アベノミクスを受けて、物価が上昇すると予想する消費者が65.3%に増えており(内閣府1月調査)、個人 消費の需要増による実際の物価上昇につながることが考えられます。実際、今回の景気判断の上方修正の背 景として、「株でもうけた富裕層の消費が目立ち、百貨店では高級時計や貴金属が売れ行きを伸ばしている」と、 株価上昇の恩恵を受けた富裕層の旺盛な消費行動を指摘する報道もなされています。 一方、アベノミクスによる物価上昇が国民生活に打撃を与えかねないとの懸念もあります。即ち、「円安」による 燃料や原材料の輸入価格の上昇を通じて物価上昇が実現した場合は、日用品の値上がりが家計を圧迫する可 能性があります。既に、ガソリン価格や電気・ガス料金が値上げを進行中であり、小麦、海外旅行、トイレットペー パーやティッシュなどにも値上げの動きが出ているところです。 所得が増えるとの期待が高まらなければ、消費増→企業の収益増→賃金増→消費増という好循環は生まれま せんので、デフレ脱却のためには、こうした物価上昇の波が賃金の上昇にまでつながる必要があります。 また、海外では、自動車大手3社で組織するロビー団体の米自動車政策会議(AAPC)や韓国銀行総裁などの 声明からも明らかのように、アベノミクスによる大胆な金融緩和が円安誘導の効果をもたらし、世界の「通貨安競 争」に再び火を付けかねないとの警戒感が示されています。こうした中、米議会でバーナンキFRB議長は、安倍 政権と日銀が進めようとしている金融緩和について「為替相場を目的としたものではない」「デフレ脱却を目指す 試みを支持する」と表明したことは、市場でもアベノミクスに対する支持と受け取られており、先の安倍首相の訪 米の成果の一つと言えるかもしれません。いずれにせよ、今後は、デフレ脱却に向けて物価上昇をコントロール しなければなりませんし、財政赤字の問題も益々深刻化することになります。 レーガノミクスでも当時、財政赤字が拡大しましたが、景気回復に成功し、90年代のアメリカ財政は赤字から一 時黒字転換に至りました。アベノミクスでも、新しい日銀総裁が決まることです、アベノミクスのアクセルが踏み込 まれることになります。今後、ますます現政権による日本経済の舵取りの手腕が試されることになりそうです。