Newsletter of FCG Group.
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Wednesday January 13th, 2021USA
第22回: Paycheck Protection Program (PPP/給与保護プログラム) Round 3
新年明けましておめでとうございます。今年もFCGアメリカニュースレターでは、皆さまのお役に立てるような情報をご提供できるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
トランプ大統領は昨年末の12月27日に、新型コロナウイルス対策の追加支援法案the Consolidated Appropriations Act 2021 (以下“CAA 2021”)に署名しました。このCAA 2021により、国民1人あたり600ドルの現金給付や失業保険の追加給付などのほか、既存の新型コロナウイルス関連の法律の延長や変更が決定されました。今回はその中で、給与保護プログラムPaycheck Protection Program (以下 “PPP” )関連の主要な最新情報をお伝えします。
(1)PPP第3ラウンド
CAA 2021によりPPP の再開が決まりました。第3ラウンドとなる今回のPPPでは、同じ借り手が “Second Draw” として2回目のPPPを申請することが可能となりました。2020年4月に申請が始まったPPP第1ラウンドはわずか2週間で資金が尽きましたが、その後追加予算が投入されPPP第2ラウンドが開始、度重なる変更や期間の延長などを経て、8月に締め切られていました。これまでのPPP第1・第2ラウンドについては、過去のニュースレターをご参照ください。
今回新たに2,845億ドルが予算として投入されたPPP第3ラウンドは、これまでのPPP第1・第2ラウンドに比べて下記のような違いがあります。
PPP第3ラウンドの特徴
・対象となる組織の種類: 商工会議所や組合などの非営利団体や報道機関など、これまでのPPPでは申請が不可とされていた組織も、申請が可能となりました。
・Employee Retention Creditとの併用: これまでのPPPでは認められていなかった、 従業員雇用維持クレジットEmployee Retention Credit(以下 “ERC” )との併用が可能となりました。ただし、PPPローンの対象となっている給与コストをERCの対象として重複して含めることはできません。ERCのルールも、CAA 2021によって一部変更となっています。
・ローンの使途:新型コロナウイルス対策のため設置された仕切りや換気システムなどの設備費用や、給与処理サービス費用、ソフトウェア費用などを“Non-payroll expense”として、PPPローンの対象費用に含めることができるようになりました。ただし、ローンの使途の少なくとも60パーセントは給与コストが占める必要があります。
・ローンの金額:今回2回目のPPPを申請する場合は、2020年または2019年の平均月額給与コストの最大5倍、最大200万ドルのローンを受けることができます。初めてのPPP申請者の場合は、今までと同様1,000万ドルがローンの上限となります。ただし、宿泊および外食産業(NAICSコード72)は、該当する上限までであれば、平均月額給与コストの3.5倍のローンを受けられる場合があります。
・対象期間の柔軟性:借り手は、PPPのローンを受けたあと8〜24週間の間で、対象となる期間を自由に選択できます。
申請条件
・初めての申請者の場合、従業員500人以下の企業、非営利団体、退役軍人組織、部族によるビジネス組織、個人事業主、自営業者、および独立請負業者であること。
・2回目の申請者の場合、①従業員300人以下の企業、非営利団体、退役軍人組織、部族によるビジネス組織、個人事業主、自営業者、および独立請負業者であること、②2020年のいずれかの四半期が、2019年の同四半期の総収入比較した場合、25%以上の減少があること(どの四半期を比較に使っても良い)、③すでにPPPにてローンを受けた金額をすべて使い切った、または使い切る予定であること。すでにローンを受けたPPPの返済免除申請を行っていない場合も、上記の条件を満たせば2回目のPPPを申請することが可能です。
申請期間
申請の締め切りは2021年3月31日または割り当てられた予算がなくなるまで、とされています。申請を検討している場合、貸し手である銀行や金融機関にPPP第3ラウンドの申請をいつから受け付けを始めるか確認する必要があります。
(2)PPPローンの返済免除手続き簡素化
今回のCAA 2021では、PPPローンの返済免除手続きのさらなる簡素化も決定されました。ローン金額が150,000ドル以下である場合、Small Business Administration (SBA) が発行するわずか1枚のフォームを貸し手に提出するだけで、返済免除が受けられることが決まりました。この1ページのフォームに、企業はローンの免除に関連するいくつかの情報を記載し、保持されている従業員の数、および給与計算に費やされたローンの推定額を申告します。企業は、雇用記録は4年間、その他の記録は3年間、返済免除の証拠となる一連の書類を保管しておく必要がありますが、貸し手に提出する必要はありません。
(3)PPPローンの対象経費の税務上の取り扱いの変更
CAA 2021により、PPPローンの対象となった経費の税務上の取り扱いが変更となりました。内国歳入庁(IRS)は以前、Notice 2020-32にて、本来であれば控除の対象となる給与や家賃などの経費を返済免除となるPPPローンを使用して支払った場合、控除の対象にならないとしていましたが、今回Rev.Rul.2021-2により、控除の対象になると変更されました。この取り扱いは、PPP第1・第2ラウンドにも適応されます。
年末ぎりぎりの時期、そして政権交代前という何とも慌ただしい時期に駆け込みのような形で決定されたCAA 2021ですが、約2週間後の1月8日にようやく、運営元であるSBAと財務省がPPP再開を正式に発表しました。発表によると、今回のPPP第3ラウンドではまず1月11日より初めての申請者からの受け付けを始め、その後1月13日より2回目の申請者からの受け付けをするとされています。しかし、ローンの貸し手である銀行や金融機関においては、新たなガイドラインへの対応にしばらく時間を要することも考えられます。速やかに申請手続きを開始できるよう、SBAや取引先金融機関からのアップデートを注視しておくことが重要です。
By 上野 裕美
Fair Consulting USA Inc.
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