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FCG アメリカ ニュースレター 第25回:知っておくべきアメリカの人事・労務 第8回

Wednesday February 24th, 2021USA

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25回:知っておくべきアメリカの人事・労務 第8

Retirement Plan(退職金制度)

 

アメリカの会社が従業員に提供する福利厚生のうち、健康保険や有給休暇などと並んで一般的なのが401Kです。401Kは、会社に勤めている人が加入できる確定拠出型の企業年金で、課税前の給与から一定額を投資し運用していくことで、将来の資産形成をすることができます。401Kは、アメリカで最も一般的な退職金プランですが、個人事業主や独立請負人など会社に雇われていない人は、Individual Retirement AccountIRAという個人年金プランには加入できます。今回は、401KIRA及びRoth IRAの概要についてご説明します。

 

401K

会社は401Kの運営会社と契約し、従業員の401K口座の管理、運用を委託します。勤続1年以上であること、フルタイム従業員であることなど、一定の条件を満たす従業員のみに401Kへ加入する権利を与えることもできます。従業員は課税前の給与から自分の口座に積立金を積み立て、課税対象となる総所得を減らすことができます。転職や退職時には、新しい勤め先が提供する401Kや個人のIRA口座に資金を移動することが可能です。積立金や運用中の利回りに対しては課税されませんが、引き出す際には通常の収入と同じように課税されます。また、満59歳と6か月になる前に早期引き出しをする場合は、ペナルティが課せられます。

401Kの一番の特徴は、会社がマッチアップと呼ばれる方法で積み増しができるという点です。例えば、給与の3%までは会社が100%マッチアップし、年収50,000ドルの従業員が3%の1,500ドルを401Kに積み立てる場合、会社がその100%=1,500ドルを追加して401K口座に積み増すということになります。 これにより、401Kを魅力的な福利厚生にすることができ、従業員のモチベーション向上、リテンション等の効果が期待されます。2020年の民間会社の調査によると、従業員の給与の4.7%が、会社がマッチアップする上限の平均値でした。

さらに会社は、勤続年数によって会社がマッチアップした分の従業員持分割合を増やしていく“Vesting”と呼ばれる仕組みを使うこともできます。例えば、2年未満で退職するとマッチアップ分の100%を会社に返金、2年以上3年未満で退職するとマッチアップ分の20%は従業員分、80%は会社に返金、6年以上勤めるとマッチアップ分の100%が従業員分になるというように、勤続年数1年毎のスケジュールを設定することで、長期にわたる人材の確保に役立ちます。

 

IRARoth IRA

会社に所属しない個人でも、IRAまたはRoth IRAプランは使用できます。いずれのプランでも、年間積立額の上限は401Kより低く設定されています。

Traditional IRAとも呼ばれる従来のIRAは、401Kと同様に積立金や運用中の利回りに対しては課税されませんが、引き出した額は課税対象となり、早期引き出しのペナルティも401Kと同様に課せられます。本人または配偶者が401Kプランにも加入している場合は、所得に応じて年間控除上限が引き下げられたり、控除が認められなくなります。

一方Roth IRAでは、積立金は課税対象となりますが、引き出す際には課税されません。一定額以上の所得がある場合は、所得に応じて年間積立額の上限が引き下げられたり、積立自体が認められなくなります。またRoth IRAでは積立金を年齢に関係なくいつでも引き出すことができ、401KIRAで定められているような72歳になったら最低限の金額を引き出さなければいけないというルールもありません。

 

401KIRARoth IRAの比較

401K、IRA及びRoth IRAの概要、メリット及びデメリットを要約すると以下のようになります。

FCGアメリカニュースレター No25①

 

州における退職金プラン提供の義務化

カリフォルニア州では、従業員5人以上を雇用しているすべての雇用主は、従業員に退職金プランを提供することが義務付けられています。2022630日までに従業員に退職金プランを提供していない会社は、州が運営するRoth IRAプランであるCalSaversに自動的に加入することになります。従業員が50人以上の雇用主はこの期日が1年早い2021630日となり、従業員が100人以上の雇用主はすでに2020630日を期日とし、このルールが適用されています。

イリノイ州では、すでに2019年末を期日とし、設立から2年以上でかつ従業員25人以上を雇用しているすべての雇用主に対し、退職金プランの提供が義務付けられています。対象となる雇用主は、従業員に退職金プランを提供するか、州が運営するIllinois Secure Choiceと呼ばれるRoth IRAプランに加入します。

その他、オレゴン州・コネチカット州・ニュージャージー州・メリーランド州・マサチューセッツ州・ワシントン州も一定の条件を満たす雇用主に対し退職金プランの提供を義務付けまたは推奨しています。いずれの州でも、州が運営する退職金プランが用意されています。

 

アメリカでは401KIRA及びRoth IRAは、節税対策及び将来の資産形成のための非常に一般的な退職金プランとなります。日系企業としてこれらの制度をきちんと理解しておくことで、従業員のモチベーション向上やロイヤリティ向上などに寄与するより良い福利厚生制度の構築に役立ちます。いくつかの州で義務化の動きもある中、新たにプランの導入や現在加入しているプランの内容を見直す良い機会かもしれません。

 

By 上野 裕美

Fair Consulting USA Inc.

Los Angeles Office

 

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Tel: +1-310-792-7059

◇涌井 正晴

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【PDF版】FCUS News letter vol. 25 Retirement Plan Updated