FCGグループのニュースレターをお届けします。
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2021年03月29日東南アジア 他
フェアコンサルティンググループは、世界15カ国/地域・27のグローバル拠点を、提携ではなくフェアコンサルティングの直営拠点として展開しています。
弊社展開国の中から、東南アジア・インド・オーストラリア各国の情報を本ニュースレターに集約しております。現地の情報収集目的などに是非ご活用ください。
今月の掲載国は、以下のとおりです。(五十音順)
インド、オーストラリア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア
インド
1. インド労働法改革 (2)
前稿では、主に労働法改革の概要について解説しましたが、本稿では労働法改革に当たって駐在員が留意すべきポイントについて解説します。
【ポイント1:何が変わって、何が変わらないのか確認する】
本労働法改革は、29の法律が(1)THE OCCUPATIONAL SAFETY, HEALTH AND WORKING CONDITIONS CODE, 2020 (OSH CODE)、(2) THE INDUSTRIAL RELATIONS CODE, 2020 、(3) THE CODE ON SOCIAL SECURITY, 2020 、(4) THE CODE ON WAGE, 2019という4つのLABOUR CODEに統合するという非常に広範なものであり、日系企業が直面する労務問題は、ほぼ全てこの4つのLABOUR CODEで規律されると言っても差し支えありません。
しかし、統合によってその内容が変わる部分もあれば、変わらない分野もあります。駐在員としては変わる部分がどこなのか、変わるとして性急に対応する必要があるのかという点を理解する必要があります。
【ポイント2:OSH CODEの安全・衛生維持義務】
新たな4つのLABOUR CODEのうち、もっとも留意すべき法律が従前の規律と比較して改正部分が多く、また、使用者の新たな責任を導入しているOSH CODEとなります。その中でも留意が必要なのが、OSH CODEによって新たに導入された使用者の安全・衛生維持義務となります。
OSH CODEでは例えば以下のような安全・衛生維持義務が導入されています。
(I)従業員に費用負担のない毎年の健康診断の実施
(II)中央政府が別途通達により規定する職場に関する安全・衛生基準の遵守
(III)中央政府が別途規定する福祉設備の提供、維持 ((A)男性・女性別トイレ(B) 従業員の数が100名以上の施設について食堂(C)就業時間中に利用可能な適当なファーストエイドボックスなど)
なお、安全・衛生維持義務の内容は規則によって規定される部分があるものの、2021年3月時点では規則は未施行であるため、規則の制定をまってその義務の内容を確認する必要があります。
【ポイント3:請負労働の改正】
請負労働者に関して規律していたTHE CONTRACT LABOUR (REGULATION AND ABOLITION) ACT,1970はOSH CODEに統合され、同法による規律を受けることとなりましたが、請負労働に関する分野は変更が多いため、請負労働者を利用している会社は同法の変更点に注意を払う必要があります。特に重要なのが、請負労働者をコア・アクティビティに従事させることが、一定の例外を除き、原則として禁止されることとなった点です。
インドネシア
申し訳ございませんが、3月号は、休載させて頂きます。
オーストラリア
1. 新型コロナウイルス最新情報
オーストラリアでの日々の感染者数は直近(3月21日現在)で4人となっています。内訳は、ニューサウスウェールズ州2人、クイーンズランド州2人となっています。
オーストラリアでは2月21日より新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されていますが、3月22日よりフェーズ1b対象者へのワクチン接種が開始されています。各フェーズの主な分類は以下の通りです。
●フェーズ1a
検疫・出入国管理職員、最前線医療従事者
高齢者・身障者介護職員、高齢者・身障者介護施設入居者
●フェーズ1b
70歳以上の人
上記以外の医療従事者
既往症を有する人(身障者を含む)
危険度の高い重要業務(国防、警察、消防、災害対策、食肉処理等)に従事する人 など
●フェーズ2a
50歳以上の人
その他の重要・高リスク業務従事者 など
●フェーズ2b
上記以外の成人
これまでのフェーズの対象者で未接種の人
●フェーズ3
未成年者(推奨される場合)
・オーストラリア保健省のウェブサイト上にあるVaccine Eligibility Checker(https://covid-vaccine.healthdirect.gov.au/eligibility)から、自分の接種時期の目安を確認することも可能です。
※ 上記は3月22日現在の情報に基づいて記載しておりますが、最新情報はオーストラリア保健省等のウェブサイト等にてご確認ください。
2. 中小企業に適用される法人税率(軽減税率)
オーストラリアの標準的な法人税率は30%ですが、一定の要件を充たす中小企業においては軽減税率が適用可能となっています。適用条件及び適用税率の概要は以下の通りです。
① 適用条件
・ 法人が「base rate entity」である場合に軽減税率が適用可能
・ 「base rate entity」は以下(1)及び(2)両方の要件を充たす法人
(1) 売上(注1)が50百万ドル未満(注2)
(2) 課税所得に占める受動的所得(passive income)(注3)の割合が80%以下
(注1)ここでの売上金額は、日本の親会社などオーストラリア内外のグループ会社を含めた「aggregated turnover」で判定
(注2)2017-18課税年度については25百万ドル未満
(注3)配当収入、ロイヤリティ収入、賃貸収入、利子収入、有価証券売却益など
② 適用税率(base rate entity)
シンガポール
1. 2021年度予算案-国際化関連費用の二重控除拡充について
2021年2月16日にシンガポール2021年度予算案(Budget 2021)が公表されました。シンガポール政府の政策は大きく4つに区分されますが、その中の経済対策の一環として、国際化関連費用に係る二重控除の一層の拡充がなされました。
本制度は、”DTDi” と呼ばれ、Double Tax Deduction for Internationalisationの略です。企業の国際化を目的として、シンガポール企業が行う海外市場の拡大、海外投資の開発に係る損金算入が優遇されています。概要は以下の通りです。
【メリット】
・政府当局(※)の承認 必要:
リスト掲載の活動及び費用に関して、200%損金算入が認められる。
(Enterprise Singapore) https://www.enterprisesg.gov.sg/esghome/
・政府当局(※)の承認 不要:
一定の活動に係る一定の費用(適格費用)に関して、200%損金算入が認められる。
※ Enterprise Singapore (ESG) もしくはSingapore Tourism Boards (STB)
【一定の活動】
・ 海外事業開発のための出張・派遣
・ 海外投資調査のための出張・派遣
・ 海外見本市への参加
・ ESGまたはSTBにより承認された国内見本市への参加
・ ESGにより承認されたオンライン見本市への参加 *New
・ ESGにより承認された商品 サービスの認証取得 *New
・ 海外での広告宣伝活動 *New
・ 海外市場向けのパッケージデザインの活動 *New
・ 承認された国内の商業用出版物での広告 *New
上記のとおり、シンガポール政府はコロナ後も企業に対する国際化を積極的に推し進めており、渡航制限を踏まえたバーチャルへの投資にも優遇を与えています。シンガポールから周辺国を管理する企業にとっては大きなメリットになる制度のため、積極的な活用が望まれます。
タイ
1. 4月1日からのタイ入国時隔離期間の短縮について
CCSA(Centre for Covid-19 Situation Administration、タイ新型コロナウイルス状況管理センター)は2021年3月19日に、タイ入国制限の緩和に関するロードマップを公表しました。ロードマップは3段階に分かれており、4月-6月、7月-9月、10月以降の3フェーズを掛けて、ゾーニングの廃止、コロナウイルスワクチンの接種、隔離期間の廃止を目指すものになります。ロードマップにおいては10月1日以降の特定地域についての隔離の廃止が目指されていますが、今後の感染状況、ワクチンの接種状況に応じて修正されるものと考えられます。
隔離期間について、2021年4月1日以降9月30日まで、Covid-19陰性証明書を保持している者については、10日間に短縮されます(今までは14泊15日間)。
また、隔離期間中に必要とされるPCR検査については2回となります(今までは3回)。
タイにおいては、入国後の隔離期間はASQ(Alternative State Quarantine、政府代替検疫施設)として指定される民間のホテルにて隔離がなされており、当隔離措置については変更ありません。しかしながら、今まではホテルルームでの完全隔離がされていましたが、ロードマップによると、4月1日以降6月30日まで、隔離期間中のホテルのフィットネスルーム、プール、その他ホテル内の限られた施設の利用が許可されるとされています。
フィリピン
1. 2021年フィリピンの状況
隔離措置については以下の取り扱いが定められている。
・強化されたコミュニティ隔離措置 ECQ:Enhanced Community Quarantine
・修正を加えた強化されたコミュニティ隔離措置 MECQ:Modified Enhanced Community Quarantine
・一般的なコミュニティ隔離措置 GCQ:General Community Quarantine
・修正を加えた一般的なコミュニティ隔離措置 MGCQ:Modified General Community Quarantine
上から順番に厳しい措置となる。
2月27日フィリピン政府の発表により、3月もマニラ首都圏ではGCQが継続されることが発表された。経済への影響が甚大で、3月からは全国一斉にMGCQに移行すべきだとする提案が出されていたため、期待が大きかったこともあり大変残念である。しかし、足元では新型コロナウイルスの新規感染者数が増加しているのに加えて、変異種による感染も増加してきたことも重なり、ドゥテルテ大統領としてはワクチン接種が開始されるまで移動制限緩和はしないという方針を固めたようだ。
ワクチン接種においては、当初2月下旬から順次開始されるはずだったが、予定が遅れておりワクチン接種開始は3月にズレ込んでいる。ワクチンについては、2月28日に中国のシノバック・バイオテックが開発したワクチン60万回分が到着。今後アストラゼネカのワクチンも到着する予定だ。
そんな中でもフィリピンでは国内旅行については原則PCR検査の陰性証明が不要になる。これでフィリピンの国内旅行(移動)は比較的容易になりそうではある。ただし、自治体のルールには従う必要があるため、訪問先におけるルールをよく確認して頂いた上で移動を行って頂きたい。
外国人のフィリピンへの入国については、ビザ保有者に限定されている。別途後段にて現時点におけるルールを記したい。
2. 外国人のフィリピンへの入国制限について
2月末時点における外国人の入国制限については以下の通り。
以下の要件を満たしている外国人は入国が認められる。
➢ 入国時に有効な査証(ビザ)を所持していること
➢ 政府が認可する宿泊施設にて、6泊以上の予約を確保していること
➢ 到着日から数えて、6日目にその施設でPCR検査を受けること
なお、入国する空港ではその日に受け入れ可能な人数が限定されているため、注意が必要である。
また、 SRRV(特別居住退職者査証)および9A(短期滞在査証)で入国する場合は、フィリピン政府関係省庁からの推薦に基づいて、フィリピン外務省が発行する「入国停止措置を免除する文書」を提示する必要がある。
※急遽3月22日~4月21日まで、外国人の一時入国停止措置が発令された(一部例外あり)。
3. 2月中に発表されている会計・税務等に関する主な内容
発行日:2月18日 | 発行元:BIR | 通達番号:RMC 23-2021 | 内容: BIRの2021年における優先プログラムの発表。
【例】
「税務調査の強化」
「課税ベースの拡大」
移転価格調査については特段触れられていない。
デジタル化に関する項目が多い。
「e-Filingシステムの開発」
「eアポイントメント」(BIR担当者との打ち合わせ予約のため)
「拡大源泉税率の合理化」
(特定の事業セクター、クラスで統一された税率の採用による税率のミスを防止)
フィリピンでは拡大源泉税の対象となる項目が複雑なため度々混乱が見られる。
ベトナム
1. 支店の会計・税務について
ベトナム法人が支店を設立する際、「独立支店」とするか「従属支店」とするかを任意に選択することができます。
独立支店と従属支店それぞれの会計・税務の扱いは以下のとおりです。
独立支店と従属支店の違いにより会計・税務の取扱が異なります。また、税務申告を実施する際には管轄税務局を事前に確認することも重要です。不明点がある場合は必要に応じて、専門家の意見を仰ぐことをお勧めします。
マレーシア
1. 2001年人的資源開発基金法の改正について
2001年 Pembangunan Sumber Manusia Berhad 法(以下、「2001年PSMB法」)に基づき、人的資源開発基金 (マレー語: Pembangunan Sumber Manusia Berhad、英語: Human Resources Development Fund)は、マレーシアの目標である高所得経済の達成のため、有能な国内労働力の開発という役割を担っています。 2001年PSMB法の一部を改正する法律、「Pembangunan Sumber Malaysia Berhad (Amendment of First Schedule) Order 2021」が公表され、2021年3月1日に施行されています。 従来は、特定の業種のみに加入義務がありましたが、改正後は基本的に全業種が対象となっています。
改正の内容は下記の通りです。
・ 10人以上のマレーシア人従業員を雇用する場合
-基本的に全ての業種の雇用主は人的資源開発基金への加入が必要になります。
-原則、施行日(3月1日)から30日間以内の加入が求められます。
– ただし、本改正により適用対象となる雇用主に対して、2021年3月1日~5月31日までの期間における人的資源開発税の徴収が免除されます。
・5人以上9人以下のマレーシア人従業員を雇用する場合、基本的に全ての業種の雇用主は人的資源開発基金への加入が任意となります。
・5人以上500, 000人以下のマレーシア人従業員を雇用するNGO (非政府組織)は、人的資源開発基金への加入が任意となります。
<人的資源開発の徴収額>
人的資源開発基金の登録事業者に対する特典として、「雇用主助成スキーム(Employer Grant Schemes)」と「戦略的イニシアチブスキーム(Strategic Initiatives Schemes)」の二つの制度を利用することができます。
<雇用主助成スキーム>
<戦略的イニシアチブスキーム>
現在の経済状況を踏まえて現行制度の見直しが行われています。改善された制度の詳細は近日中に発表される予定です。
改正内容の詳細については、下記をご参照ください。
「Pembangunan Sumber Malaysia Berhad (Amendment of First Schedule) Order 2021」
「Pembangunan Sumber Malaysia Berhad (Exemption of Levy) Order 2021」
<お問い合わせ>
FAIR CONSULTING SINGAPORE PTE.LTD.
8 Temasek Boulevard, #35-02A Suntec Tower Three, Singapore 038988
TEL:+65-6338-3180 | FAX:+65-6338-3187
WEB:https://www.faircongrp.com/
◼ 日本国公認会計士 伊藤 潤哉 / Junya Ito (C.P.A (JAPAN))
E-Mail:ju.ito@faircongrp.com
◼ 日本国弁護士 遠藤 衛 / Mamoru Endo
E-Mail:m.endo@faircongrp.com
株式会社フェアコンサルティング
〒104-0045 東京都中央区築地一丁目12-22コンワビル7階
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◼ グローバルRM 金井 暁子/ Akiko Kanai
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【PDF版】FCG東南アジア・インド・オーストラリア_202103