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FCG アメリカ ニュースレター 第27回:知っておくべきアメリカの人事・労務 第9回

2021年04月26日アメリカ

27回:知っておくべきアメリカの人事・労務 第9

Job Description作成のポイント

 

アメリカでは、日々のCovid19感染者数が減少傾向にある中、16歳以上を対象としたワクチン接種も開始され、今後、コロナ禍の収束および経済活動の本格的な再開が期待されています。企業が経済活動を本格的に再開する際、従業員の新規採用も検討する必要があると思いますが、従業員を新規雇用するに際して、まず会社が準備しておかなければならないのが “Job Description”(職務記述書)です。

日本では、「一般職」、「総合職」など入社後の業務内容や役割がはっきりしない形で求人募集が行われることがありますが、アメリカでは、必要な役割を果たせる適切な人材を見つけるため、募集する職種、業務内容、責任の範囲などをJob Description に細かく記載します。今回は、Job Description を作成するための7つのポイントを紹介したいと思います。

 

1.職種・役職名は一般的に使用されている用語を使用する。

求人募集の見出しともなる職種・役職名ですが、社内で使用している用語を使用するのではなく、一般的に使用されている用語を使用します。例えば、社内でカスタマーサービスのスタッフのことを「パートナー・エンゲージメント・スペシャリスト」と呼んでいるからといって、そのままJob Descriptionに記載しても、求職者にとっては何の職種を指しているのか分かりにくいため、応募対象から除外する可能性があります。役職名も「アシスタント」「マネージャー」というような一般的な役職名を記載しましょう。

 

2. 簡潔で魅力的なサマリーを冒頭に入れる。

1~4行ほどの短い文章で、その職種の主要な業務内容や、会社および社会にとっていかに重要かなどの概要を簡潔に記載します。「クリエイティブな役割を担うチームに加わってくれる仲間」、「高成長中の会社のさらなる飛躍に貢献する」などといったポジティブな言葉遣いや文章を取り入れることで、候補者にとって良い第一印象を与えることができます。

 

3. 業務内容は詳細かつ正確に記載する。

日々の業務内容を、箇条書きでリストアップします。各業務に携わる頻度や時間をなるべく詳細に記載することで、候補者はそのポジションでの一日の様子が想像しやすくなります。「頻繁に」、「たまに」などのあいまいな表現は避けたほうが良いでしょう。

また、人事部で保管されている部署ごと、職種ごとの業務内容リストは、古い情報になってしまっているかもしれません。Job Description と実際の業務内容があまりにかけ離れていると、入社後にトラブルの原因になりかねないため、既存の従業員の協力を得るなどして、正確な業務内容リストを作成するようにします。

 

4. 必要な能力、資格、経験は具体的に記載する。

必要な学歴、職歴、経験や資格もなるべく詳細に記述します。経験年数〇〇年以上、××が出来るレベル、というように、求められる熟練度を具体的に記載することで、候補者は期待される能力についてより正確に理解することができます。もし業務を遂行する上で、重い物を持ち上げるなどの身体的な能力が求められる場合は、差別的、排他的な表現を使用しないよう十分注意する必要があります。求められる特性についても、リーダーシップ、チームワーク、柔軟性、コミュニケーション能力などのシンプルなキーワードを使い、明確に伝えます。

 

5. 給与の目安を記載する。

面接を行った後に、候補者の期待する給与と会社が提示する給与が大きくずれていることが判明する、という事態は避けたいものです。経験や能力によって給与額が変動することはもちろんありますが、可能な限り、給与の大まかな目安や範囲をJob Description に記載します。

 

6. 差別的な言葉遣いに注意する。

アメリカでは職場および採用活動における人種、性別、国籍、年齢などによる差別は禁止されています。Job Description の中で、「He」、 「She」などの性別を特定する代名詞や、「日本人」 、「アメリカ人」などの国籍を指定するような言葉を使わないよう注意しましょう。

求人サイトZipRecruiterの調査によると、Job Description 内で性別を特定する代名詞を使わない企業のほうが、より多くの候補者を集めることができ、より早く欠員を埋めることができているとされています。

 

7. 会社の文化、福利厚生、特典を紹介する。

候補者が入社を決めるにあたって、最終的に「自分はこの会社にあっているだろうか?」、「この会社で働くことを楽しめるだろうか?」という点が最も重要なポイントとなります。Job Description 内で会社の文化や雰囲気を紹介することで、好印象を与えられるよう工夫しましょう。また、ジムの会員特典、フレックスタイム、在宅勤務、社内での定例イベントやパーティーなど魅力的な福利厚生、特典、特権を記載することも効果的です。

 

Job Descriptionは、採用時に、企業と求職者の期待値を合わせ、より良い人材を採用するために重要な役割を果たしますが、入社後も人事考課の際に、求められた業務をきちんとこなしているかを判断するために使用されたり、社内で問題発生時に責任の所在を明確にするために使用されたりすることもあります。Job Descriptionを単なる募集要項としてではなく、重要な人事書類として位置づけ、詳細かつ分かりやすいJob Description の作成を心掛けましょう。

 

 

By 上野 裕美

Fair Consulting USA Inc.

Los Angeles Office

 

お問い合わせ

Fair Consulting USA Inc.

21250 Hawthorne Blvd, Suite 500, Unit #48, Torrance, CA 90503

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◇涌井 正晴

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【PDF版】FCUS News letter vol. 27 Job Description