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Newsletter of FCG Group.

FCG ニュースレター 東南アジア・インド・オーストラリア(2021年6月)

Wednesday June 30th, 2021Southeast Asia, etc.

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フェアコンサルティンググループは、世界16カ国/地域・28のグローバル拠点を、提携ではなくフェアコンサルティングの直営拠点として展開しています。
弊社展開国の中から、東南アジア・インド・オーストラリア各国の情報を本ニュースレターに集約しております。現地の情報収集目的などに是非ご活用ください。

今月の掲載国は、以下のとおりです。(五十音順)

 

インド、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、マレーシア

 


インド

 

1. OSH Codeについて
インドでは、2020年9月までに4つのLabour Codeが成立し、29の労働法の統廃合が実施されました。本稿では、そのうち特に重要なThe Occupational Safety, Health and Working Conditions Code, 2020(OSH Code)の概要、統廃合対象、適用関係、登録について解説します。

 

1) OSH Codeの概要
The Occupational Safety, Health and Working Conditions Code, 2020(OSH Code)は、主に(a)使用者が果たすべき事業所の安全・衛生維持義務および(b)労働条件に関する事項を規律する法律です。
使用者の義務を加重し、また、これまでとは異なる制度枠組みを導入するなど、従来の労働法制と比較して変化が多いため、4つのLabour Codeの中で最も日系企業に及ぼす影響が大きいものと考えられます。
なお、OSH Codeは2021年6月現在、未施行の状況にあります。

 

2) 統廃合対象となる労働法令
OSH Codeは職場の労働条件に関連する13の労働法を統廃合する法律であり、具体的には以下の労働法令がOSH Codeに統合されることとなります。

【OSH Codeにより廃止される法律】
1. The Factories Act, 1948
2. The Mines Act, 1952
3. The Dock Workers (Safety, Health and Welfare) Act, 1986
4. The Building and Other Construction Workers’ (Regulation of Employment and Conditions of Service) Act, 1996
5. The Plantations Labour Act, 1951

6. The Contract Labour (Regulation and Abolition) Act, 1970
7. The Inter-State Migrant Workmen (Regulation of Employment and Conditions of Service) Act, 1979
8. The Working Journalists and other Newspaper Employees (Conditions of Service) and Miscellaneous Provisions Act, 1955
9. The Working Journalists (Fixation of Rates of Wages) Act, 1958
10. The Motor Transport Workers Act, 1961
11. The Sales Promotion Employees (Conditions of Service) Act, 1976
12. The Beedi and Cigar Workers (Conditions of Employment) Act, 1966
13. The Cine Workers and Cinema Theatre Workers (Regulation of Employment) Act, 1981
なお、州法であり、オフィスの労働条件を規律するShops and Establishment Act(店舗施設法)は廃止対象となっていません。OSH Codeはオフィスの労働条件についても規律すると解されるため、今後はオフィスの労働条件を規律する法律としてOSH Codeと店舗施設法が併存することとなります。しかし、その適用の優先関係などは現時点では不明瞭な部分があるため、この点については今後の政府等のアナウンスを待つ必要があります。

 

3) OSH Codeの適用対象
OSH Codeでは、多くの規制が施設(“establishment”)に適用されるという形で規定されていますが、同法のもとで施設とは「10名以上のワーカーが雇用される産業、取引、事業、製造または仕事が実施される場所」等と定義されます。日系企業においては、10名以上の従業員が雇用される事業所との関係で多くの規制が適用されます。この人数要件は、法人全体の従業員ではなく、事業所ごとに判断されます。事業所の従業員数が10名以上の場合、コンプライアンス水準が高くなるため、留意する必要があります。

 

4) 登録/Registration
OSH CodeのChapter IIは、施設の登録について規律します。具体的には、施設の使用者は、OSH Code施行後に設立されるに至った施設について、OSH Codeが適用される場合には、適用されるに至った時点から60日以内に同法の登録を実施しなければならないとされています(OSH Code 3条1項)。したがって、OSH Code施行前にすでに設立されている事業所については、特に登録は必要とされません。なお、同法の登録は、設立時点のみならず、施設の閉鎖の際にも求められています(同5項)。同法の登録等は、インターネットを通じて実施されることが前提とされています。

 


インドネシア

 

1. 経済法令(新規、改定)

《 コロナウイルス蔓延の影響に対する納税者の税制優遇措置に関する財務大臣規則 》

= 2021年2月1日発効 No.9 Year 2021 ← 延⾧となる予定の法令は未公布。近日公布予定。
1) 新型コロナウイルスによる国民生活への打撃や経済の停滞を受けて昨年実施した税制優遇策について、実施期限が昨年の12月末から当年の6月末まで延⾧された。これが12月末まで延⾧となる予定であるとSriMulyani財務大臣が発表しました。
2) PPh21(個人所得に対する源泉所得税)の政府負担PPh21の免除は、以下の要件を満たす個人において、2021年1月~6月の期間で与えられる。
・ 所属する会社が、別途規定される事業コードの会社(1189業種)である、あるいはKITE企業(輸出目的輸入便宜受益会社)である、もしくは保税エリアでの事業許可などを保有している。
・ 納税者番号を保有している。
・ 年間で総所得がIDR200,000,000を超えない。
政府負担により免除となった部分は従業員に還元する旨、規定されている。
3) PPh22(輸入時の前払法人税)の免除
当該免除は、以下の要件を満たす企業において、税務署にFree Certificateを提出した段階から2021年6月までの期間で与えられる。
・ 別途規定される事業コードの会社(前回の721から730業種に拡大)である、あるいはKITE企業である、もしくは保税エリアでの事業許可などを保有している。
4) PPh25(法人税の予納)の50%減額
当該減額措置は、以下の要件を満たす企業において、税務署にNotificationを出した段階から2021年6月までの期間で与えられる。
・ 別途規定される事業コードの会社(前回の1,013から1,018業種に拡大)である、あるいはKITE企業である、もしくは保税エリアでの事業許可などを保有している。
5) 付加価値税(VAT)の税務上のインセンティブ
過払いの付加価値税の還付制度を緩和。税務調査を省略できる還付申請額を通常の10億ルピアから50億ルピアに引き上げる。
6) 外形標準課税適用会社の免税
政府令 No.23 Year 2018により法人所得税の外形標準課税として売上の0.5%を納税している中小規模企業については、1月から6月の期間においてこれが政府負担となる。
7) 建設事業におけるFinalタックスにおけるインセンティブ
灌漑用水事業向けのプログラム(P3-TGAI)に係る建設事業における納税者はFinalタックスが政府負担となる。

 

2. 経済ニュース

【 政策金利 据え置き 】
インドネシア中央銀行は、16日・17日と2日間の月例理事会を行い、政策金利(7日物リバースレポ金利)を前月の3.5%から据え置くことを決定した。政策金利の据え置きは4カ月連続となる。据え置きの理由については、「経済回復をより強固なものとするために、インフレを低水準に保ち、ルピアの安定性を維持する必要がある」と説明。

 

【 国際競争力ランク 3ランク上昇 】
スイスの国際経営開発研究所が発表した2021年度の国際競争力ランキングにおいて、インドネシアは主要64カ国中37位だった。昨年より3ランク上昇。新型コロナウイルスの感染拡大の中、経済の回復状況などが評価された。今後の課題としては、教育・医療の改革、研究開発投資、民間の生産性向上などが挙げられている。なお、ASEAN他国は、シンガポール5位、マレーシア25位、タイ28位、フィリピン52位。

 

【 新車奢侈税の減免 延⾧】
インドネシア産業省は、3月から実施している新車購入時の奢侈税の減免措置について、当初の5月までから8月までに延⾧する方針を発表した。自動車産業の川上から川下までの裾野・経済影響の大きさから、減税維持の必要性を強調。減免措置は、一定の条件を満たした1500cc以下の二輪駆動車に対して、奢侈税を3~5月は免除、6~8月は50%減税、9~12月は25%減税としていたが、今回の延⾧方針により9月~12月は50%減税となる予定。
1500cc以上の車種についての方針は未定。

 


オーストラリア

 

1. 新型コロナウイルス最新情報

オーストラリアでの日々の感染者数は直近(6月23日時点)で14人となっています。このうちニューサウスウェールズ州における市中感染が10人となっています。

ビクトリア州は3ヶ月ぶりに市中感染者が確認されたことを受け、変異株の感染拡大を抑制するため、5月27日23:59よりロックダウン(外出制限措置)を開始しましたが、6月10日23:59より25km圏内であれば外出が可能となり、6月17日23:59からは25km制限も解除されています(メルボルン都市圏の場合)。

一方で、シドニーでは東部郊外において集団感染(クラスター)が発生したことを受け、6月23日16:00より1週間、屋内でのマスク着用義務や集合人数制限などが適用されています。シドニー市及び周辺エリアの住人及び勤務者についてはシドニー都市区域(Metropolitan Sydney)から外への移動が原則禁止されています。

オーストラリアでは累計699万回のワクチン接種が完了しており、直近24時間での接種回数は13.8万回となっています(6月23日時点)。下図は累計接種回数の推移となっています。

 

FCGオーストラリアニュースレター202106①

 

2. 給与税(Payroll tax)2020-21年度

2020-21年度給与税(Payroll tax)の年次申告(Annual reconciliation)期限が近づいております。今回は、給与税の概要と2020-21年度における税率及び非課税限度額等について紹介します。

 

①給与税の概要

・給与税は、雇用主が従業員に対して支払う給与に課される州税で、各州/特別地域がそれぞれ異なる税率および非課税限度額を設定している

・給与税法上、「給与」は広義に定義されており、給料、ボーナス、手当、コミッション、特定のコントラクターへの支払い、年金拠出金、フリンジ・ベネフィット、特定の退職金および役員報酬等が含まれる

・課税期間は7月1日から6月30日

 

②各州/特別地域における税率、非課税限度額(閾値)及び申告期限

FCGオーストラリアニュースレター202106②

 

 

3. Superannuation(確定拠出年金)保証率の変更

雇用主は給与額に一定の保証率(Super guarantee percentage)を乗じた金額を支払う義務がありますが、この保証率が2021年7月1日より変更となります。今後の保証率の変更予定は下表の通りとなっており、来年度以降も段階的に料率が上昇する予定になっています。

 

2020年7月1日~2021年6月30日 :9.50%
2021年7月1日~2022年6月30日 :10.00%
2022年7月1日~2023年6月30日 :10.50%
2023年7月1日~2024年6月30日 :11.00%
2024年7月1日~2025年6月30日 :11.50%
2025年7月1日~                      : 12.00%

(出所:ATOウェブサイト)

 


シンガポール

 

1. Connect@Changi を利用したクロスボーダーM&Aの実行
シンガポール政府は短期滞在でのビジネス渡航者向けのサービスとしてConnect@Changiを推進しており、日本を含むほぼ全ての国からの渡航者を対象として、シンガポール到着後、同施設内におけるビジネス相手との会議を行うことを可能としています。(2021年6月22日時点において、シンガポール政府によるコロナ対応強化により、2021年7月末まで暫定的に利用停止となっていますが、2021年8月1日以降からは利用開始となる予定であり、既に同施設の予約は可能となっています。)

■ Connect@Changiウェブサイト https://connectatchangi.com/

 

このサービスを利用することで、日本企業がシンガポール企業と面談を行うことが可能となるだけでなく、例えばタイ企業と日本企業がシンガポールに集合し面談を行うことも可能となります。(なお、シンガポール国外からの渡航者の参加人数は2名までに制限されており、8月1日のサービス再開以降も継続する見込みです。)

クロスボーダーM&Aを実行する企業の中には、クロージングの条件の一つとしてオーナーとの直接の面談を設定するケースがありますが、COVID-19による渡航制限から面談を実行できず、売り手との交渉が破断となるケースが見られます。そのようなリスクへの対応策として、本サービスの利用により面談を実行し、クロージングまでをスムーズに進めることが可能となります。
なお、本サービスの利用は、コンパクトにまとめられており、下記の流れで進めることになります。

1) 事前予約
① 要件 (Eligibility) の確認
② Connect@Changi の予約
③ SafeTravel Pass の申請
④ 航空券の予約

2) 出国前
⑤ PCRテスト (渡航元の国) の実施
⑥ SG Arrival Card の提出
⑦ フライト情報の提出、Covid-19旅行保険の検討

⑧ Trace Together App のダウンロード

3) シンガポール到着時
⑨ 入国審査官への書類提出
⑩ PCRテスト (シンガポール) の実施
⑪ 空港からConnect@Changi への移動

4) Connect@Changi到着後
⑫ 隔離部屋での待機
⑬ 定期診断の実施
⑭ Travel Cohortの提出、TraceTogether appの起動

5) シンガポール出国後
⑮ シンガポール出国後


タイ

申し訳ございませんが、6月号は休載させて頂きます。

 


フィリピン

 

1. 2021年フィリピンの状況

隔離措置については以下の取り扱いが定められている。

 

・強化されたコミュニティ隔離措置  ECQ:Enhanced Community Quarantine
・修正を加えた強化されたコミュニティ隔離措置  MECQ:Modified Enhanced Community Quarantine
・一般的なコミュニティ隔離措置  GCQ:General Community Quarantine
・修正を加えた一般的なコミュニティ隔離措置  MGCQ:Modified General Community Quarantine

 

上から順番に厳しい措置となる。

 

4月末まで延長されていた厳格な外出制限措置(MECQ)はマニラ首都圏においては5月14日まで延長された。その後、マニラ首都圏でのコロナウイルス新規感染者数が減少してきているとして515日より5月末まではGCQに緩和された。しかしながら、前回実施された2021年3月前半までのGCQとは異なり、相当な制限付きの緩和措置となった。例えば、飲食店においては店内飲食は認められるものの、座席数の20%までとされており、屋外の席での飲食は50%まで認めるという内容である。観光施設では屋外に限って感染対策を徹底した上で、収容人数30%を上限に営業が可能となった。宗教行事と葬儀については収容人数の10%まで認められることとなった。このように前回の反省を踏まえての措置なのかGCQに移行したとはいえ、収容率を大幅に制限するなど感染者を爆発的には増やさないようにする政府の慎重な姿勢がうかがえる。

4月末まで外国人の入国が停止されていたが、51日より入国制限が解除された。ただし、入国時に有効なビザを保有していることが条件となるので、ビザを保有していない方はフィリピン外務省の入国特別許可を入手の上、在フィリピン大使館にて短期滞在者ビザ(9Aビザ)の発給を受ける必要がある。もしフィリピンに入国する予定がある方は、早めにフィリピン外務省の特別許可を取得することをお勧めする。現在申請者が殺到しているにもかかわらず、フィリピン外務省の人員削減に伴い原則1日あたり100名を上限に事務処理を行っているため、申請から数ヶ月を要することにご留意頂きたい。

ワクチンの接種状況は少しずつではあるが広がりつつあるものの、まだ国民全体の2%程度にとどまっている。また、フィリピン人の中にはワクチンを打つことをためらっている方も多くなかなか思うようにはワクチン接種は進んでいない状況である。地域によっても接種の進捗状況は異なっているため、フィリピン全体で集団免疫を獲得するまでには相当な時間がかかると思われる。

フィリピンへの入国制限に伴い、フィリピン国内の経済状況、雇用情勢が大変厳しい中、フィリピン経済を立て直す起爆剤となり得る法案が上院で通過した。それが小売り取引自由化法だ。上院での法案は、外資による小売業が法人を設立する際の最低払込資本金を現行法の250万ドルから5,000万ペソに引き下げるというもの。下院法案では上院案よりもさらに規制緩和に踏み切った内容となっているため、今後上院および下院による両院合同委員会にて法案のすり合わせが行われる見通しだ。なお、小売り取引自由化法の改正案のほかにも、外国人専門職の就業制限の撤廃に向けた外国投資法の改正案や公共事業に対する外資の出資規制を緩和する公共サービス法の改正案は優先法案としてかかげられ、早期成立を目指している。いずれの法案も日系企業にとっては長年規制緩和が叫ばれていた内容なだけに日系企業によるフィリピン投資の呼び水となることを願ってやまない。

 

2. BIR Form 1709および移転価格文書提出義務者の明確化について

4月27日にBIRより発行されたRMC No.54-2021のポイントは以下である。

 1) BIR Form 1709の提出者

法人所得税に関して税制上の優遇措置を享受している納税者のみが対象。

・税制上の優遇措置とは、法人税の免税(ITH)や5%総所得課税(GIT5%)を指す。

・PEZA ELSE(ロジスティクス業および倉庫業)は通常法人税率が適用されているため、その他の要件に当てはまらない限り、BIR Form 1709の提出は不要である。

2) 移転価格文書提出義務者

上述の(1)でBIR Form 1709の提出要件と、移転価格文書作成の重要性の基準値は関連している。BIR Form 1709の提出が必要である納税者で、かつ、移転価格文書作成の重要性の基準値を満たした場合に移転価格文書の作成が必須となる。つまり、納税者がBIR Form 1709を提出する必要がない場合は移転価格文書の作成も義務付けられない。しかし、BIRは関連者間取引を行う全ての企業に対して移転価格調査を行う権限を有すると述べている。これは税務調査が入った場合の立証責任は納税者側にあるということなので、提出義務がなくとも移転価格文書を準備しておくことが望ましいと考えられる。

 

3. 5月中に発表されている会計・税務等に関する主な内容

FCGフィリピンニュースレター202106①

 

 


ベトナム

 

1. 製品保証関連の会計・税務

 

1) 法人所得税の留意点
顧客へ販売した商品が不良品で、事前に合意された商品の品質基準に満たない場合、販売元の企業は顧客に返金等の補償を行うことがあります。2018年11月13日付でハノイ市税務当局から発行されたオフィシャルレター75439/CT-TTHTによると、締結された売買契約書上に不良品発生時の製品保証条項が明記されており、かつ、不良品発生に関する証憑類が十分に用意されている場合に、製品保証条項に基づいて発生した返金額は法人所得税法上の損金算入費用として認められます。
ただし、2021年4月28日付でベトナム税務総局から発行されたオフィシャルレター1287/TCT-CSによると、不良品に対する補償費用は企業の不備から発生したものとして、法人所得税法上の損金不算入費用とされます。
上記の2つのオフィシャルレターでは異なる見解が示されていますが、補償内容が当事者双方が合意する契約書に明確に記載されていれば、当該契約に従って発生する補償費用は法人所得税法上の損金とされると考えられます。製品保証に基づいて返金等が発生する場合、十分な証憑を整備した上で、法人所得税を申告する地方の税務当局に事前に確認する等の対策を取ることをお勧めします。

 

2)外国契約者税の留意点
顧客が外国法人で、商品を顧客に販売後に当該商品が不良品であることが分かった場合、売買契約書上の製品保証条項に基づいて、外国法人に対して支払われる補償金は外国契約者税の対象とされる可能性があります。この場合、補償金を支払うベトナムの企業に対して外国契約者税の申告納税義務が発生します。申告納税方法は2014年8月6日付で発行されたCircular No. 103/2014/TT-BTCのガイドラインに従うことになります。税率はみなしVAT 5%、みなしCIT 5%で、外国契約者税は以下のように算出します。

 

例:補償金額が USD 100,000の場合
①上記の金額が税込(VATおよびCITを含む)の場合
* VATの算出式
納付すべきVAT = VATの課税対象売上×みなしVAT率
= USD 100,000 × 5% = USD 5,000

* CITの算出式
納付すべきCIT = CIT課税売上×みなしCIT率
= (USD 100,000 – USD 5,000) × 5% = USD 4,750

 

②上記の金額が税抜(VATとCITを含まない)の場合
* CITの算出式

CIT課税売上 = (CITを含まない金額) ÷ (1- みなしCIT率)

=(USD 100,000) ÷ (1 – 5%) = USD 105,263

* VATの算出式

VAT課税売上 = (VATを含まない金額) ÷ (1- みなしVAT率)

=(USD 105,263) ÷ (1 – 5%) = USD 110,803

納付すべきVAT = USD 110,803 × 5% = USD 5,540

(注:紙面の都合上、小数点以下を四捨五入しました。)

 

製品保証に関連する会計・税務について不明点がある場合は必要に応じて、専門家の意見を仰ぐことをお勧めします。

 


マレーシア

 

1. 新型コロナウイルス流行に対するマレーシア政府の経済対策
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けた会社が従業員の雇用を継続するため、マレーシア政府は2020年3月からWage Subsidy Programme(WSP、マレー語略ではPSU)と呼ばれる補助金プログラムを複数回にわたり実施してきました。
現在申請可能なプログラムは、WSP3.0となります。申請期日は6月30日でしたが、マレーシアのムヒディン・ヤシン首相が3月17日、継続的な財政支援としてPEMERKASA+を発表し、新たなWSP3.0プログラム の受給期間は7月31日となります。概要は以下のとおりとなります。

 

■補助金概要

【新規プログラム】PEMERKASA+におけるWSP 3.0
・ すべてのセクターが適用対象となる。
・ 過去に、WSP1.0/2.0の申請の有無にかかわらず、WSP3.0の要件を満たすことで、対象となる従業員一人当たりRM600/月が1か月間支給される。

 

2021年6月30日に期日を迎える3つのプログラム
① 2021年国家予算におけるWSP 3.0
・ 観光及び小売セクターに従事する会社のみ対象となる。(対象セクターとして、例えばホテル、航空、旅行代理店、卸・小売業と販売を行う商店、売店、市場が挙げられます)
・ 過去にWSP1.0/2.0の補助金を既に得ている場合でも、WSP3.0の要件を満たすことで、対象となる従業員一人当たりRM600/月が3か月間支給される。
・ 過去にWSP1.0/2.0を申請していない場合には、WSP3.0の要件を満たすことで、対象となる従業員一人当たりRM600/月の支給を6か月間受けられる。
② PERMAIにおけるWSP 3.0
・ 業種を問わず、MCO発令地域に所在する会社が対象になる。
・ 過去のWSP1.0/2.0の申請の有無にかかわらず、WSP3.0の要件を満たすことで、対象となる従業員一人当たりRM600/月が1か月間のみ支給される。
③ PEMERKASAにおけるWSP 3.0
・ 観光と小売セクターに従事する会社及び第二次行動制限令(MCO2.0)中に営業が許可されないその他の事業(スパやジム等)が適用対象となる。
・ 過去に、WSP1.0/2.0の申請の有無にかかわらず、WSP3.0の要件を満たすことで、対象となる従業員一人当たりRM600/月が3か月間支給される。

 

■受給要件

・ 対象の従業員
(i) 2021年1月1日より前にSOCSOに加入している方。
(ii) 月額給与(※)がRM4,000以下である方。
(iii) Penjana Kerjaya Hiring Incentive Programで雇用されていない方。
(iv) マレーシア国籍の方。
(※)現金で支給される各種手当も含む。
・ 会社に対する条件
(i) 2020年または2021年における月間期売上が行動制限令 (MCO) の開始前の前年比30%下がっている会社。
(ii) 会社は月額給与がRM4,000以下のすべての従業員の雇用を維持しなければならない。
(iii) 従業員と交渉を行った後であれば、就業時間または給与の減額を行うことが可能となる。
(iv) 2021年1月1日より前に設立、または地方自治体のライセンスを取得した会社。
(v) 法人税番号を取得していること。
(vi) 最大500人分での支給となる。

 

■申請方法

・ WSP 3.0は、https://prihatin.perkeso.gov.my/を通して申請する。
・ 既にWSP3.0の承認を得ている会社については、PEMERKASA+におけるWSP3.0は自動的に申請されるので別途申請の必要がない。受給期間中に従業員数等の申請情報に変更があった場合は登録情報を該当月の15日前に更新する必要がある。
・ 一方、WSP3.0の承認を得ずに、WSP1.0または/及びWSP2.0の承認を得ている、またはWSPの承認を得たことがない会社に対しては、PEMERKASA+におけるWSP3.0を受給するためには別途申請の必要がある。

 

【WSP3.0の概要】

FCG東南アジアニュースレター202106_MY①

 

¹必要不可欠な経済分野(Essential Economic Sector)としてMCO2.0中に運営可能なセクターは製造、建設、サービス、貿易・流通、プランテーション産業及び商品となります。

 


 

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【PDF版】FCG東南アジア・インド・オーストラリア_202106