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第58回目  日本親会社等のPAN保有について

Tuesday November 1st, 2016India

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従来インド共和国から日本国等の海外居住法人 に 対 し て、Royalty、FTS(Fee for Technical Service)<技術上の役務に対する料金>となる役務提供サービスに関する対価を送金する場合、日本インド間等の租税条約とインド国内法とを比較し、有利となる源泉徴収税率を採用するのが原則です。Royalty、FTS に関しては日印租税条約12 条に規定があり平成 18 年からは源泉徴収税率は 10% となっております。一方インド国内法の源泉徴収税率に関する条文は多岐にわたっておりますが、特に論点となる条文は 206AA 条となります。今回は 206AA 条 7 項に関して 2016 年6 月 24 日付けで Notification が発表されておりますので、こちらの解説を行います。

 まず施行日は Notification 日付と同じく 2016年 6 月 24 日となっております。

 また現実の条文としましては、Income Tax Rules, 1962 に 37BC が「206AA 条下のより高い源泉徴収税率からの緩和」として挿入されます。

 内容としましては、利息支払、Royalty、FTS及び資本財譲渡における支払いを行う際に、日本国等の海外居住法人が PAN を保有していない場合であっても、一定の書類及び情報を支払者であるインド法人に対して提供している場合は206AA 条が適用されないとなっております。

 一定の書類及び情報とは
 ①会社名・メールアドレス・連絡先
 ②日本国等における住所
 ③日本国等の所轄税務署発行の居住者証明
 ④日本国等における納税者番号
 となっております。

 Royalty、FTS に 関 し て 当 該 Notification 発効日以前は、日本法人等が PAN を保有していない場合 206AA 条が適用されるため 20% の源泉徴収税率が適用となっておりましたが、上記の書類等を提供できる場合は PAN を保有していない場合であっても日印租税条約の 10% が適用可能となりました。

 留意点としましては、上記に加えて Non PE Certificate も実務上インド法人に提出する点は変更ありません。

 更にインド共和国に源泉所得がある日本国等の海外居住法人が、インド共和国税務当局に対して法人税申告書を Filing する義務がある点も変更ないと考えられます。すなわち、日印租税条約の税率を適用するために PAN 取得は不要となりましたが、法人税申告書を Filing するためには従前通り PAN 取得が必須と考えられます。