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Monday January 16th, 2017Hong Kong
香港における移転価格文書化制度アップデート
香港政府は2016年10月26日に、香港におけるBEPSへの対応に関する公開草案(以下「公開草案」という)を公表しました。
公開草案において、香港政府はOECDが2015年10月に公表したBEP最終報告書を受けて、香港は最低でも以下の4点について取り組んでいくことを公約しています。
Action 5:countering harmful tax practices (有害税制への対抗)
Action 6:preventing treaty abuse(租税条約の濫用防止)
Action 13:imposing CbC reporting requirement(移転価格文書化)
Action 14:improving cross border dispute resolution mechanism(相互協議の効果的実施)
このうち、Action 13(移転価格文書化)に関する公開草案では、これまで香港税務条例に具体的規定がなく、実務指針上のガイドラインのみであった移転価格税制に関する制度を、香港税務条例の条文として成文化することをうたっています。
公開草案では、OECDが推奨するマスターファイル、ローカルファイルおよび国別報告書からなる3層構造の文書化を採用しています。
公開草案は、移転価格文書は毎年英語又は中国語で作成され、少なくとも7年間保管すべきことを提案しています。
国別報告書の提出基準は OECD の推奨基準に従って、750 百万ユーロ(約 68 億香港ドル)で設定されることが提案されており、事業年度末から12ヶ月以内に提出することが求められます。
なお、過度にコンプライアンス負荷をかけることを避けるため、以下の3つの条件のうちいずれか2つを満たす納税者に対しては、マスターファイルとローカルファイルの作成を免除することをうたっています。
i) 総年間売上が100百万香港ドル以下
ii) 総資産が100 百万香港ドル以下
iii) 従業員が100 名以下
遵守が徹底されるよう、公開草案は、(i)合理的な申し立てなくマスターファイルおよびローカルファイルに関連する要求事項に遵守しない場合、(ii)合理的な申し立てなく国別報告書を提出しなかった場合のペナルティ条項を、香港税務条例の中で導入することを提案しています。対象となる企業は2018年中に情報を収集し、2019年度中に初回の国別報告書を提出することになります。