FCGグループの海外最新情報をお届けします。
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2017年03月01日インド
アメリカ大統領選挙ではトランプが優勢との CNNを聞きながら、500 ルピー札と 1,000 ルピー札が使えなく、ATM が使えないという混乱した中で今回は自己株取得に関する CBDT(Central Board of Direct Taxes)<直接税中央委員会>が公表した 2016 年 7月の Draft 及び 10 月に公表した Notification について解説致します。
そもそもインド共和国において自己株取得がトピックであったのは DDT(Dividend Distribution Tax)<配当分配税>という日本国には無い特殊な税制がインド共和国には存在するためでした。DDT は基本税率が 15% と高税率となっており、配当を行う会社に対して課税されます。この様な DDT を従来は如何に回避しながら、株主の投下資本の回収を行うかを考える際に一考されていたのが自己株取得でした。
しかしながら 2013 年 FinanceAct にて Income Tax Act, Section 115QA が挿入され、非上場株式の自己株取得に関する 20% の課税が決定されております。115QA では①自己株取得を会社法に基づき自己の株式を会社が買い取ることと定義され、②分配所得を会社によって支払われる、会社が過去に発行した株式の対価を減少させるための自己株式の対価と定義しております。
とは言うものの自己株取得は合併、会社分割等の様々な局面で利用されるため上記の定義だけでは分配所得を計算できないケースが発生したため 2016年 Finance Act にて 115QA の修正が公表され今回のNotification 等にて分配所得の更なる定義・計算方法を公表しました。
2.株式発行会社受取額の決定は Premium を含む、株式に関してどのような名目も含む、現実に受け取った金額
8.資産買収若しくは負債精算時に発行される株式等会社受取額は A ÷ B。A は①「商業銀行によって決定される資産負債の市場価額等」②「株式取得対価若しくは負債精算に基づく資本金額等」の①②どちらか低い価額。B は会社により発行される株式数
11. 優先株、社債、負債証書等の転換により発行される株式会社受取額は転換価額により会社が受け取る価額
上記のように明確になった部分もありますが、いまだ現物出資・株式交換等に関しましては公表されておりません。また現状、配当を行える日系企業数は少ないと思われますが、将来黒転し、株主の投下資本の回収に対応する局面になった際に自己株取得は考慮するべきオプションの一つして考えられる可能性がありますので、この論点は引き続き注視する必要があるかと思われます。