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【第68回】雇用契約書作成上の留意点④(解雇予告期間)

02/15/18 Thursday印度

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本稿では、雇用契約書における解雇予告期間に関する条項について解説します。なお、解雇は実務上特に問題になる条項であり、解説すべき事項が多岐にわたりますが、本稿では雇用契約書でどのようなことを規定すべきかという観点から、主に解雇予告期間を中心に解説します。雇用契約書に記載されるべき解雇に関する簡易な条項例として、例えば、以下のものが考えられます。

 

Termination without Cause

The Company after your confirmation in employment, acting in its sole discretion, may terminate your services by giving two month written notice or salary in lieu thereof and without assigning reasons therefore. Similarly you may resign from the service of the Company by giving one month`s notice in writing or paying an amount equivalent to your one month`s last drawn salary in lieu thereof.

 

インドでは、雇用契約書に、解雇を行うにあたって必要な予告期間かこれに代わる補償金について規定することが一般的です。勤め先からの給与は労働者にとってまさにライフラインであり、突然解雇により給与が支払われなくなってしまっては労働者の生活が立ち行かなくなってしまいます。そのような状況を避けるために、解雇予告期間が設けられることが通常であり、また、インド労働法はこのような予告期間を設けることを義務付けています。雇用契約書で規定される一般的な予告期間は1か月から3か月であり、一律に予告期間を設定するケースや、従業員の肩書きに従って予告期間を変えるケースが見受けられます。

解雇の予告期間について考える際に、特に注意を要するのが、実際に解雇する際にどの程度の予告期間が法律上要求されているかという点です。雇用契約書で予告期間を規定していたとしても、インドの労働法がこれを超える予告期間を要求する場合、インド労働法に従い予告期間を設けなければなりません。例えば、雇用契約書で1か月の解雇予告期間を規定している場合であっても、適用される労働法によって3か月の予告期間が必要であると規定されている場合、3か月の予告期間を置かなければ、当該解雇は違法とされます。ただし、インド労働法上どの程度の予告期間が求められているのか判断するのは必ずしも容易ではありません。というのも、従業員のカテゴリ(non-workman or workman)やその就業場所(オフィスor工場)、その拠点が所在する州によって、適用される労働関連法規が変わりうるため、どの労働関連法規が当該事案で適用されるか、判断が難しい場合があるからです。どの程度の予告期間が法律上要求されているのかという点は、慎重に検討される必要があります。

なお、non-workmanを解雇するにあたっては、原則として解雇の理由は必要とされませんが、州によっては、解雇に合理的な理由が必要とする州もあるため、解雇にあたってはこの点も注意が必要です。