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【第71回】就業規則作成上の留意点(残業)

2018年02月15日インド

前稿では、勤務スケジュールに関する条項の解説を行いましたが、本稿ではこれに関連して残業(Overtime)に関する法規制と就業規則記載事項について解説します。残業に関する規定例は、以下のとおりです。

 

Overtime

It will be the responsibility of the Company to ensure that overtime is only performed when necessary and unavoidable. An employee would be required to work overtime in addition to the normal official hours of work when instructed to do so by the Company with reasonable notice, or when necessary for the proper performance of the employee’s duties. Overtime payment shall be payable by the Company to employees working overtime. In such scenario, the Company shall pay wages at twice the rate of normal wages as overtime payment.

 

現在、日本では残業にまつわる問題がホットトピックとなっていますが、インドにも勿論残業に関する法規制が存在します。ただし、オフィスと工場でその法規制が異なり、しかも州ごとにその内容に違いがある点で、日本と比較して管理が大変です。

例えば、日系企業が多くの拠点を有するハリヤナ州のオフィス勤務者に対する残業規制に関して法律は、原則として週48時間を超える労働は許されませんが、(A)例外的にexceptional pressureがある場合には、これを超える労働が許され、(B)その場合であっても1四半期あたりの残業時間が50時間を超えることは許されず、また、(C)使用者は労働者に対して残業1時間あたり通常賃金(normal wages)の2倍のレートの残業代を支払わなければならないと規定します。

これに対して、工場の場合、残業を行うために当局からの承認が必要な州もあり、例えばグジャラート州の工場勤務者に対する残業規制について法律は、(a)Chief Inspectorの承認なくして労働時間として19時間、週48時間、残業時間としての1四半期あたり50時間を超えて使用者が労働者を働かせることは許されず、(b)事前承認を得た場合であっても、労働時間として1日12時間、週60時間を超えることは許されず、また、残業時間として1四半期あたり75時間を超えて労働者を働かせることは許されないと規定します。残業代に関しては、(c) 使用者は労働者に対して残業1時間あたり通常賃金(normal wages)の2.0倍のレートの残業代を支払わなければならないと規定します。

なお、残業代算定の基礎となる通常賃金には、各種手当が原則として含まれますので、手当を考慮した上で残業代を算定しなければなりません。

日本では残業代請求のために労働者が訴訟を提起することがよくありますが、インドでは日本と比較すると残業代請求訴訟はそこまで一般的ではなく、また、当局の摘発もオフィスに関しては日本ほど厳格ではないと感じております。ただし、工場の違法残業に関して(特に上記(b)に違反する場合)はコンプライアンス違反を厳しく追及されるため、注意が必要です。