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【第73回】就業規則作成上の留意点(有給休暇)

02/15/18 Thursday印度

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前稿では、残業に関する条項の解説を行いましたが、本稿では休暇(Leave)に関する法規制と就業規則記載事項について解説します。

 インドにも法律上の休暇制度が存在していますが、日本と比較するとその種類は多く、Earned Leave / Annual Leave (有給休暇)Casual Leave (臨時休暇)Sick Leave (疾病休暇)Maternity Leave (産休休暇)などの様々な種類の休暇が法律上規定されています。

 Earned Leave(有給休暇)は日本の有給休暇に相当するものであり、他の休暇と異なり、法律上未消化の有給休暇を翌年に持ち越せることや、退職に際して未消化分の金銭による払い戻しが可能とされている点に、他の休暇にない特徴があります。他方、Casual LeaveSick Leaveは結婚式や葬式など予期せぬ事態の際に消化される休暇・体調不良の際に消化される休暇ですが、翌年への繰越や退職時の払い戻しは法律上の義務とはされていません(なお、Maternity Leaveについては次稿で解説します)

このようにインドでは様々な休暇制度が法定されていますが、就業規則を作成するにあたって、休暇の項目は検討事項の多いパートとなっています。そもそも法定の休暇の種類が多いことも一因となっていますが、休暇に関する州の法律の規定内容がまちまちであり(例えば、ハリヤナ州の場合は、Earned Leaveの繰越上限が30日とされていますが、これを40日とする州もありますし、Sick LeaveCasual Leaveをそもそも法定していない州もあります。)、導入したい休暇制度がその州の法規制に抵触しないかしっかりと確認する必要があります。特に複数の州に拠点を有する企業が一つの就業規則で会社を運営しようとする場合、休暇制度に関する各州の法規制の違いに関して一つの就業規則の中でどのように平仄を合わせるかといった点をしっかりと考慮する必要があります。

 また、法が規定する事項のほか、休暇取得のための申請手続き、中途入社従業員の休暇に関する取り扱い、残有給休暇の買取価格の算定方法、休暇取得拒否の可否とそのルール等、様々な事項を検討し、これを就業規則に反映する必要があります。

 日本と比較してインドでは、従業員が非常に積極的に休暇制度を利用して休暇を取得することもあり、休暇制度の運用が問題になることがしばしばありますので、就業規則の中で休暇にまつわるルールをしっかりと規定することが重要となります。