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10/01/18 Monday印度
前稿では、インドにおけるNon-workmanかつオフィス勤務の労働者の普通解雇(Retrenchment) について解説しましたが、本稿ではオフィス勤務のWorkman に対する普通解雇について解説します。
前稿でも解説した通り、(i) 管理・経営的立場にあるもの、(ii) 監督的役割を果たし、かつ、月10,000 ルピーを超える給与を受領しているもの、(iii) 専門職的立場にあるものを除き、労働者は幅広くWorkman に該当すると考えられます。
そして、普通解雇しようとするオフィス労働者がWorkman に該当する場合、店舗・施設法(Shops and Establishment Act) 及び産業紛争法(The Industrial Dispute Act, 1947) という二つの法律が適用されるため、店舗・施設法および産業紛争法の双方の規定を遵守しなければいけません。
まず、店舗・施設法は州法であり、州ごとに規定が異なりますが、一般的に1 ヶ月前の予告通知またはこれに代わる1ヶ月分の給与の支払いが普通解雇の要件として要求されています( 規定が州ごとに異なる可能性がありますので、オフィスが所在する州の店舗・施設法をご参照ください)。
そして、産業紛争法上、Workman を解雇する場合に以下の要件を充足する必要があるとされています。
(1) 1 年を超えて継続雇用されているWorkman に関しては、
① 1 ヶ月前の予告通知またはこれに代わる1ヶ月分の給与の支払い
②勤続年数に15 日分の平均給与を掛けた補償金の解雇時の支払い
③適当な政府機関に対する通知の送付
(2) 最後に雇用された者からの解雇( “Last come, first go” )
(3) 真正な(“bona fide” ) 解雇であること( 判例)
(4) 退職金支払義務がある場合には、退職金の支払い( 判例)
また、上記の法律上の要件の他、雇用契約書で規定されている条件についても遵守する必要があります。
普通解雇は法律が定める手続き要件さえ遵守していれば、原則として裁判上有効と判断されます。
そのため、通常、普通解雇は懲戒解雇よりも有効と判断される可能性が高く、まずは普通解雇が可能か検討することが推奨されます。そして、有効な普通解雇を確実に実施するためには、上記手続き要件の内容を正確に把握する必要があります。
次稿では、産業紛争法が求める要件について、もう少し掘り下げて解説します。