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11/07/18 Wednesday印度
第81 回では、インドにおけるオフィス勤務のWorkman に対する普通解雇の要件概要について解説しましたが、本稿では各普通解雇要件についてもう少し掘り下げて解説します。
第81 回でも解説した通り、産業紛争法(The Industrial Dispute Act, 1947) は、Workman に対する普通解雇の要件として、まず、1 年を超えて継続雇用されているWorkman に関しては、①1ヶ月前の予告通知またはこれに代わる1 ヶ月分の給与の支払い②勤続年数に15 日分の平均給与を掛けた補償金の解雇時の支払い③適当な政府機関に対する通知の送付という3 つの要件を要求しています( 産業紛争法25F 条)。
上記3要件は、いずれも手続き的な要件ですが、インド労働審判所は、比較的厳格に上記要件の判定を行っており、少しでもルールから外れた運用を行うと、普通解雇を無効と判断する傾向にあります。例えば、②勤続年数に15 日分の平均給与を掛けた補償金の解雇時の支払いに関しては、「解雇時」の支払いが求められており、実際に従業員が解雇され会社を退職した後になって補償金を支払ったとしても、②の要件を満たさないものとして普通解雇が無効になると判示した判例があります。また、③適当な政府機関に対する通知の送付という要件に関しては、インド国内の企業もそれほど遵守していないというのが実情であり、HR 担当者もこのような要件が必要であると認識していないケースも多々ありますが、インド労働審判所は③の通知を怠った普通解雇を無効な解雇として取り扱います。
このように、上記3要件が労働審判所より比較的厳格に判断されていることから、普通解雇を実施するにあたっては上記3要件を充足するよう慎重に検討する必要があります。
なお、②の解雇補償金は、給与月額× 15/26×勤続年数という算定式により算出可能です。給与月額は最後に受け取った給与を基準とし、各種手当がある場合これを含めなければなりません。また、6 か月を超えて勤務した年は1 勤続年数としてカウントされ、休日が土曜日及び日曜日の会社も、休日が日曜日のみの会社も、平均給与を算出するための分母は26 となります。