FCGグループの海外最新情報をお届けします。
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2019年10月31日香港
香港のCarry Lam行政長官は10月16日、就任以来3度目となる施政方針演説を行いました。逃亡犯条例に端を発する社会の混乱が収まらない中、政府は住宅問題こそが市民の不満の根源だと捉え、その解消に焦点を当てた内容となっています。主なポイントは以下の通りです。
【住宅分野】
・初めて住宅を購入する場合に限り、政府系のローンを利用した場合800万香港ドルまでの住宅につき最大90%の借り入れが可能に(従来は400万香港ドルまで)
・50億香港ドルを確保し、公営住宅への入居を待つ市民を対象としたTransitional Housingを今後3年間で1万戸供給
・工業ビルを公営住宅へ再開発する可能性を模索する
・初めて住宅を購入する中所得者を対象に、割安の価格で購入が可能なスターターホームの第2期分譲を開始
・1万2,000戸の公営分譲住宅を来年売り出し
【土地供給分野】
・公営住宅供給の加速に向けて、主に新界地区をターゲットとし、土地収用条例に基づいた民間所有地の取得を目指す
【産業分野】
・イノベーション促進のための基金に5億香港ドルを拠出
・テック人材を対象とした特別な入境計画に申請可能な企業の所在地を、香港サイエンスパークおよびサイバーポート外にも拡大
・中国本土での営業を行う香港企業への支援拡大
【福祉分野】
・幼稚園、小学校、セカンダリースクールの児童を対象に年間2,500香港ドルを支給
【都市開発分野】
・地下鉄延伸計画の早期実行を目指す
・月400香港ドルを超える交通費に対し、従来超過分の4分の1であった補助金の支給を超過分の3分の1に増額。また補助金の限度額も300香港ドルから400香港ドルに拡大
・民間住宅におけるEV充電設備の増設に20億香港ドルを拠出
住宅ローンの拡大や、民間所有地の収用は特に大きなインパクトがありそうです。デモ参加者が掲げる「5大訴求」から矛先をそらす目的だとの批判もありますが、演説後の住宅取引数は早速増加に転じ、一定の功を奏していると言えそうです。