海外税務Q&A
海外税務Q&A
香港の法人税率は16.5%です。(ただし、最初の200万HKDまでは8.25%)
香港内で事業活動を行うことで香港を源泉とする利益を得ている者が納税義務者となります。
香港では次の3つの要件を満たすものが課税所得とされます。
① 香港内で事業活動を行っていること
② 課税される所得は、香港内で行った事業活動から得た所得であること
③ その所得は、香港内で生じた又は香港からもたらされたものであること
※香港外で生じた所得及び、事業活動外から生じた資本性資産の売却益であるキャピタルゲインは課税対象にはなりません。
香港の法人税の計算期間が4月1日~翌年3月31日とされています。
※ただし、決算期を年1回に定め、その決算期に基づいて申告することが可能です。
設立初年度は、設立日から18か月以内です。2年目以降は、香港税務局(以下、IRD)の申告書発行日から1か月以内とされています。
各期限までに翌年度分の予定納税を行う必要があります。納税は2回に分けて行われ、一般的には翌年1月までに納税額の75%を、残りの25%を同年4月までに支払います。
損益計算書に税務上必要な加算及び減算を行って課税所得を算出します。
例えば収入については、オフショア所得、資本性資産売却所得(キャピタル・ゲイン)その他の非課税所得等を減算し、みなし営業収入を加算、支出も同様に、損金算入項目及び損金不算入項目の調整を行います。
税務上の繰越欠損金は、原則として永久に繰り延べることができます。
原則はありませんが、非居住者へ香港を所得源泉地とするロイヤルティを支払う場合などには、支払者は税額相当額の支払を源泉徴収して税務当局に納付する必要があります。
提出されたTax Returnのデータは、まずAFALシステムに入力されます。AFALシステムは事前に定められた基準を満たすTax Returnを選抜します。これらの自動化された評価の明確な割合は、監査のための追加基準と査定官の調査に基づいて選択されます。
OECDが推奨するマスターファイル、ローカルファイル、国別報告書の3層構造の文書化が要求されます。
ただし、一定の条件を満たす中小規模の企業については文書化が免除されます。
イ) 事業規模による免除要件
以下の3項目のうちいずれか2つを満たす企業は、マスターファイルとローカルファイル及び作成義務が免除
I. 総年間収入:400百万香港ドル以下
II. 総資産:300百万香港ドル以下
III. 従業員:100名以下
年間の連結グループ売上が750 百万ユーロ(約68億香港ドル)未満の企業は、国別報告書の作成が免除
または、以下のすべてを満たす場合にマスターファイルとローカルファイル及び作成義務が免除
I. 棚卸資産取引 (金融資産及び無形資産を除く) が220百万香港ドル以下
II. 金融資産取引が110百万香港ドル以下
III. 無形資産取引が110百万香港ドル以下
IV. その他の取引が44百万香港ドル以下
ロ) 関連者間取引金額に基づく免除要件
該当する事業年度における各カテゴリーの関連者間取引の金額(香港内取引を除く)がそれぞれ以下の基準値を下回る企業は、該当する取引に関してローカルファイルの作成が免除されます。
I. 有形資産の取引(金融資産及び無形資産を除く):220百万香港ドル以下
II. 金融資産の取引:110百万香港ドル以下
III. 無形資産の取引:110百万香港ドル以下
IV. その他の取引(サービス収入、ロイヤリティ収入等):44百万香港ドル以下
一定の要件を満たす場合、香港外のグループ会社に対する金融財務活動から生じる所得に対して、標準税率16.5%が半減され、8.25%の優遇税率が適用されます。
給与所得税額は以下のいずれか低い金額とされています。
① 人的控除以外の控除可能額及び認定慈善寄付金を控除後の純課税所得額の15%
② 人的控除及びその他の控除可能額、認定慈善寄付金を控除後の純課税所得額に対して、上記の累進税率を適用して算出した税額
雇用又は取締役などの役職に基づく経済的利益又は年金で、かつ香港を源泉とした所得を有する者
※被雇用者の香港における滞在が課税年度内(4月~翌年3月)において合計60日を超えない場合には、給与所得税は免除
所得税の計算期間は、4月1日~翌年3月31日とされています。
IRDは毎年5月上旬、納税者に給与所得税申告書(Form BIR60)を直接郵送します。なお個人は、4月1日から翌年3月31日の1年間分の所得を翌年7月31日までにIRDへ通知する義務があり、何らかの事情でIRDから申告書が送付されない場合でも、納税者に義務がある点に注意が必要です。提出期限は、申告書に記載された発行日から1か月以内です。
給与所得税申告書の提出から約3か月後に、課税通知書が納税者本人に郵送されます。通常は2回に分割され、課税通知書に記載された期日までに、通知に記載された税額を納入する必要があります。翌年度分の予納税額も合算されていますので、併せて支払う必要があります。
香港に所有する土地建物の所有者は、その不動産の賃貸から得た収入に対して不動産所得税が課されます。
税率は15%ですが、賃貸収入額の20%の法定控除が認められるため、実効税率は12%です。
また、不動産所有者と賃借人の双方が固定資産税の納税義務を負いますが、どちらか一方のみが納税することも可能です。税率は、香港政府が毎年公表する推定賃貸価格に対し5%とされています。
印紙税は香港内の不動産の譲渡契約書やリース契約書、株式の譲渡契約書といった文書に課せられます。
従価税率となっており、例えば不動産売買契約書の場合は最高で売買価格の8.5%が課税されることになります。
蒸留酒、たばこ、燃料、自動車の4品目のみ香港外からの輸入時に物品税が課されます。
自家用車の税率は40 – 115%です。
マークシックス(宝くじ)は収益額の25%
サッカーくじは純利益額の50%
一回当たり一人120香港ドル
近年ベトナムの法人税の標準税率は引き下げられる傾向にあり、2014年1月1日からは22%、2016年1月1日からは20%となっています。
納税義務者は、課税所得を有する内国法人及び外国法人です。内国法人には、ベトナムの法令に基づき設立された企業、職業専門家の協会等で商品の販売やサービスの提供により課税所得を有する団体、及び、合作社法により組織された法人が含まれます。また、外国法人とは、外国の法律により設立されベトナム国内に恒久的施設を有する法人及びベトナム国内を源泉とする所得を有するその他の団体をいいます。
ベトナム内国法人については全世界所得、すなわち所得の源泉が国内か国外かを問わずその年度に得られた全ての所得が課税所得となります。外国法人については、ベトナム国内を源泉とする所得のみが課税所得となります。
法人税の納税に関しては、四半期ごとの予定納税が求められ、第4四半期分も予定納税が必要です。
1.現材の内容:年度末の確定申告書の提出期限は、課税年度終了後90日とされます。納税期限も左記申告期限と同様です。
2.修正案:年度末の確定申告書の提出期限は、課税年度終了後90日とされます。課税年度終了月の翌月30日までに納税合計額の80%以上の予定納税が必要です。
残額は課税年度終了後90日までに納税が必要です。
年度の納付税額は以下の算式により計算されます。
当年度納付税額=課税所得×税率-税額控除
原則的には暦年とされますが、課税年度を会計年度など暦年以外の期間とする場合には、課税当局から事前承認を得る必要があります。なお、会計年度については、課税当局による事前承認の下、各四半期末(3月末、6月末、9月末)を期末とすることのみ認められます。
課税所得は、総収入から控除可能費用(損金)を控除し、その他の課税収入を考慮して算定されます。
年度末の確定申告の際、課税所得計算のための会計上の利益からの調整項目を記載した別表の提出が求められます。
取得原価が3,000万 VND以上で、1年以上の使用が見込まれ、かつ、当該資産の使用により経済的便益がもたらされる資産を固定資産として計上することとされます。法定の減価償却の方法は、定額法、定率法、及び生産高比例であり、償却方法の適用に当たり所轄の税務署への事前の届出が必要です。耐用年数は通達に定められています。なお、残存価額は基本的にゼロとされます。
欠損金は、発生年度の翌年度から最大5年間繰り越すことができます。
ベトナムの投資優遇税制には、大きく分けて、優遇税率と減免税とがあります。
①優遇税率
優遇対象となる事業内容や設立地域への投資に対し、その条件に応じて、10%、15%若しくは17%の優遇税率が、10年、15年若しくはその事業活動の全期間に適用されます。
②減免税
Circular78では、事業内容や設立地域の条件に応じて、以下のパターンが規定されます。
・2年間の免税後4年間50%減税
・4年間の免税後5年間50%減税
・4年間の免税後9年間50%減税
ベトナムの移転価格税制では、ベトナム法人がベトナム国内及びベトナム国外のグルーブ会社等関連者と取引する際に、取引価格(移転価格)が非関連者との取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、独立企業間価格に基づいて所得金額を算出し、あるべき所得に課税することによって、所得の国外移転を防止することを目的としています。移転価格にかかる最近の国際的な動向に合わせるべく、ベトナム財務省は移転価格に関し、従来の規定に替わる2017年2月4日に政令No.20/2017/ND-CPを、2017年4月28日に通達No.41/2017/TT-BTCを公布しました。
移転価格税制上、関連者間取引を行う法人は定められた様式を法人所得税の年次申告書に添付して、申告書提出期限までにその詳細な情報をベトナム税務当局へ報告する必要があります。
また、同様にこの法人は、法人所得税の確定申告時点までに取引価格の算定根拠を証明する書類を整備する必要があります。具体的には、以下のローカルファイル、マスターファイル、国別報告書の3つの書類を作成、準備する必要があります。
外国契約者税とは、外国法人又は個人(以下、外国契約者」)が、ベトナム国内の法人若しくは個人に対し、ベトナム国内でサービス等を提供し、対価の支払を受ける際に課せられる税金です。外国契約者のベトナムの居住ステータス(居住者か非居住者か)は問われません。また、外国契約者がベトナム国内に恒久的施設を有するか否かも問われません。
外国契約者税の課税対象となる取引は、以下のとおりです。
① ベトナム国内で提供されるサービス、又は物品の提供に伴いベトナム国内で提供されるサービス:商品の引き渡し地点がベトナム領土内である場合、据付・試験・保証・メンテナス・交換等の商品に付随するサービスがベトナム国内で提供される場合(無償サービスも含む)。DDP/DAT/DAPの貿易取引条件による、On-the-spot export/import(みなし輸出入)取引も課税対象とされます。
② 海外に支払われる利子、版権使用料・技術移転等のロイヤルティ、再保険・保険料、機械等のリース料、有価証券譲渡対価、デリバティブ取引対価
ベトナム国内で生産、売買及び消費される資産やサービスに対し、付加価値税(VAT)が課せられます。標準税率は10%とされますが、課税対象項目により、0%、5%及び10%の税率がそれぞれ適用されます。
日本本社からの出張でベトナムに滞在した場合も個人所得税の対象となります。
ベトナム子会社から給与の支給がない場合でも、非居住者を前提とした場合、
滞在初日から出国までの日数に応じた個人所得税を支払う必要がある点ご留意ください。
なお、短期滞在者については、日越租税条約の適用により条件を満たせば、ベトナムにおいて免税対象とすることが可能です。
但し、免税の申告がなければ個人所得税の支払い義務は免除されない点も注意が必要です。
以下の①~③の要件のうちいずれかを満たす場合、
ローカルファイル及びマスターファイル の作成義務は免除される(政令 20 号 11 条 2.a 項)。
①売上及び関連取引金額
関連者間取引が発生しているものの、当期の売上が500 億 VND 未満で、かつ当期に発生した関連者間取引の金額が 300 億 VND 未満の場合
②事前確認制度(APA=Advanced Price Agreement)
APAの年次レポートを提出している場合
③機能及びEBIT 率
対象会社の有する機能が単純で、かつ、無形資産の開発や使用することからの売上や費用が発生しない場合。さらに、売上が 2,000億VND未満で、EBIT (Earnings Before Interest,Taxes)/ 売上高率が各分野において次の条件を満たしている場合
販売業: 5% 以上
製造業: 10% 以上
加工業: 15% 以上
国別報告書は以下のいずれかにあてはまる場合、提出義務がある(政令 20 号 10 条 4.c 項)。
①納税者の最終親会社がベトナムにあり、連結で18 兆 VND以上の場合
②納税者の最終親会社が居住国(例えば日本)の税法に基づいて国別報告書を準備している場合
原則として暦年です。例外的に、長期滞在者の場合、ベトナムにはじめて入国した日から数えて暦年中のベトナム滞在期間が183日未満の場合には、当該入国日以降12か月間が最初の課税年度となります。
ベトナム居住者とは、以下のいずれかの要件を満たす個人です。
・ 暦年若しくはベトナムにはじめて入国した日から12か月間のベトナム滞在日数が183日以上である
・ ベトナムに居所(登録された住所、外国人の場合には居住者カードに記載される住所)を有する
・ 課税年度内に合計日数が183日以上の一つ又は複数借家契約を締結している。なお、「借家」にはホテル、ゲストハウス、旅館、勤務する事務所等を含みます。
居住者については、全世界所得、すなわちベトナム国内外で得た全ての所得に課税されます。非居住者については、ベトナム源泉所得、すなわちベトナム国内を源泉とする所得のみに課税されます。その際、支払地(国、地域)が国内か国外かは問われません
ベトナム居住者の給与所得に対しては、累進税率(5~35%、5%刻み)が適用されます。非居住者の課税所得や居住者の給与所得以外の所得の税率は、所得の種類に応じて異なる税率が定められています。
納税者は、申告及び納税に当たり、事前に税務コードを取得する必要があります。
給与所得については、原則として、雇用主(会社等)が毎月申告及び源泉徴収により納税し、年度末に確定申告をします。申告及び納税期限は、月次申告は翌月20日、確定申告は年度末日以後90日です。
給与所得以外の所得については、原則として所得を得る都度申告及び納税することとなります。
特定の物品やサービスに適用される税金です。課税対象は、タバコ、酒類、24席以下の乗用車、航空機、ガソリン、カジノ、ゴルフ場利用等が含まれます。
資本譲渡税とは、ベトナム企業の出資持分(株式は含まれません)の譲渡益に対し課せられる税金です。適用税率は、法人税率と同率です。譲渡人が外国投資家の場合、ベトナム国内の譲受人が税金を源泉徴収して申告・納付します。また、譲渡人及び譲受人ともに外国投資家である場合、投資対象であるベトナム企業が代わりに申告・納税手続きを行います。
石油、鉱物、森林資源、水産資源等、ベトナムの天然資源の採掘・採取に課せられる税金です。課税標準は、各物品の単位当たりの課税価額と産出高を基に算定されます。税率は物品により異なり、各物品の課税価額の算定方法も含め法令で規定されています。
外国企業が使用する土地使用権(現物出資されたものを除きます)の使用料(賃料)に対し課せられる財産税の一種です。通常は土地使用料として認識され、その料率は所在地、インフラ整備状況、当該企業の業種により異なります。また、家屋及びアパート所有者には、非農地使用税法に基づき、土地税が課せられます。特定の地区に所在する土地が課税対象とされ、㎡当たりあたり0.03~0.15%の累進税率が適用されます。
2012年より施行された税金で、石油製品等特定の物品の生産及び輸入に対し課せられます。石油、石炭、その他化学製品等物品ごとに税率が法定されています。
シンガポールの法人税率は居住法人もしくは非居住法人を問わず、一律17%の税率が適用されます。
シンガポールの居住法人及び非居住法人が納税義務者となります。
居住法人・非居住法人の判定は、法人の経営上の意思決定がシンガポール国内で行われるか否かを基準に行われます。
そのため、シンガポールの会社法に基づき設立されたか否かを問わず、取締役会がシンガポールで行われ、取締役が法人の管理・運営をシンガポール国内で行っている場合には、シンガポールの税制上、居住法人とされます。
外国企業のシンガポール支店は、通常、海外本店により経営と管理が掌握されていることから、一般的には非居住法人とされます。
シンガポールの課税対象は、シンガポール国内に源泉がある所得およびシンガポール国外に源泉がある所得のうちシンガポールで受領する所得(国外源泉所得のうちシンガポールに送金される金額)に限られています。
納税者は、各会計年度の終了日から3カ月以内に推定課税所得申告書(ECIフォーム)を、また毎年11月30日まで(電子申告の場合は12月15日まで)に賦課年度の確定課税所得申告書(Form C)を内国歳入庁(IRAS)に提出することが求められます。Form Cを税務当局が確認した後、実際の課税所得に基づく賦課決定通知(Notice of Assessment)が発行されます。賦課決定通知により予定納税額との差額が精算され、追加で納付をする必要がある場合には、賦課決定通知から1ヶ月以内に納付が必要です。なお、申請すれば最高10回までの分割納付が認められます。
シンガポールにおいてすべての会社は、会計年度終了後3ヶ月以内に税務当局に対して見積課税所得(Estimated Chargeable Income(ECI))の申告をしなければなりません。ECIの申告後に見積課税所得に基づく課税通知書が発行されます。この課税通知書日付から1ヶ月以内に予定納付が必要です。
シンガポールでは、法人の会計年度は各社選択が可能です。選択した会計年度の末日の翌年が賦課年度(Year of Assessment)となります。
シンガポールでは、資本取引はキャピタルゲインが非課税であることと同様に、減価償却についても税務上の損金にはならないのが原則です。
しかし、投資の奨励という政策的な配慮から、一定の固定資産については税務独自の減価償却費制度(Capital Allowance)を認めています。
そのため課税所得の申告計算において会計上の減価償却費については全額損金とせず、税務で計算した減価償却費(Capital Allowance)を損金とします。
シンガポールでも日本と同様に過年度に生じた税務上の損失である欠損金を繰越し、所得が生じた事業年度に所得と相殺する制度が認められています。
また、シンガポールでは日本とは異なり、株主の50%以上に変動が無い場合には、無期限に欠損金を繰越し、課税所得から控除することが出来ます。
シンガポールの税額から控除が認められる外国税額控除の制度は、租税条約に基づくもの、および租税条約を締結していない国からの特定の所得について認められるものがあります。
租税条約に基づく外国税額控除は居住法人に対してのみ認められ、その限度額はシンガポールにおける実効税率の範囲内となります。
また、すべての外国の税額を一括して限度額を算定する日本とは異なり、国ごとに控除額を計算します。
シンガポールは、自国の競争力向上のために、知識集約型経済構造の確立を目指し、先端技術部門、高付加価値産業部門、研究開発部門、ビジネスハブ機能の強化に資するサービス部門などへの投資を奨励しており、補助金給付や税制優遇といった財政面のみならず、ビザ発給における政策など、様々な優遇措置が設けられています。
従来の移転価格ガイドライン等を基礎として、IRASは移転価格ガイドライン第5版(FifthForth edition)が公表されています。
この移転価格ガイドラインでは、所得税法に基づく移転価格文書義務化の要件や、独立企業間価格に関する詳細な取り扱いが定められています。
税務当局であるIRASが行う税務調査は、一般的には日本のように直接納税者を訪問する形での調査は行わず、書面で質問状を送り、各納税者または納税者がタックスエージェントとして任命した会計事務所が書面で回答・対応することで進められます。
書面でのやり取りの結果、税務調査に長い期間が必要となり、最終的な賦課決定まで数年かかるケースもあります。
物品サービス税(Goods and Services Tax(GST))は、納税義務者により国内でなされる財貨またはサービスの提供、あるいはシンガポール国内への財貨の輸入に対して課されます。
各納税義務者は売上げ等に対して受け取ったGSTと仕入等に対して支払ったGSTの差額を税務当局に納税することにより、消費者が負担したGST相当額が納税されます。
GSTの課税期間は原則として3ヶ月毎で、1年に4回申告します。課税業者は各課税期間終了後1ヶ月以内にGSTの申告・納付を行わなければなりません。
シンガポールでは、シンガポールの滞在が合計183日以上の場合は原則として居住者です。
居住者の場合は、シンガポール国内源泉所得と国外源泉所得のうちシンガポールに送金されたものが課税対象です。
非居住者の場合は、課税対象はシンガポールの国内源泉所得のみです。また、非居住者のうちシンガポールでの滞在期間が60日以下の場合、シンガポール源泉の給与所得は免税されます。
0~22%の累進税率とされています。
シンガポールでは、暦年基準を採用しているため1月1日から12月31日の1年間を基準として課税されます。
個人は1月1日から12月31日の1年間分の所得を翌年4月15日まで(電子申告の場合は4月18日まで)に申告します。
シンガポールでは、個人の給与所得に対して源泉徴収制度がありません。
したがって、居住者及び非居住者とも、所得の種類を問わず、毎年シンガポールでの所得を申告し納税する必要があります。
暦年基準を採用しているため1月1日から12月31日の1年間を基準として課税されます。個人は1月1日から12月31日の1年間分の所得を翌年4月15日まで(電子申告の場合は4月18日まで)に申告します。納税額の通知(賦課決定通知)を受け取ってから1ヶ月以内に納付します。
なお、申請により最高で12回まで分割納付が認められています。
産業用、商業用および住宅用の土地と建物に固定資産税が課されます。
また課税の対象となる不動産価額は年次評価額(Annual Value)であり、毎年固定資産税局(Property Tax Department)から公表されています。
税率は原則10%ですが、住宅用不動産で所有者が居住している場合には、不動産の資産価値により累進課税(0~16%)が行われています。
シンガポールで不動産または株式を取引する際に印紙税がかかります。
具体的には、不動産譲渡契約書、株式譲渡契約書、不動産賃貸契約書等に課税されます。
納税義務者たる内国法人もしくは外国法人、さらに課税所得により実効税率が異なります。
2019年9月に法人税の改正があり、従前は内国法人の法人税率30%(一定の中小企業は25%)でしたが、一定の要件を満たす新設製造会社については法人税率15%、既存の内国法人については税務控除およびインセンティブを利用しないことを条件に、法人税率22%が選択できるとされました。
前年度の申告期限は、9月末となりますが、移転価格の対象となる取引がある法人については11月末となります。2020年度Budgetにおいて、9月末の申告期限が10月末に改正されることが提案されています(11月末は変更なし)。
移転価格の対象となる取引がある法人は、①法人税申告書に加え、②Form3CD(税務監査に係る会計士による証明書)、及び対象法人の場合は③Form3CEB(移転価格に係る会計士による証明書)となります。
これらの提出期限は、法人税申告書と同じ11月末ですが、2020年度Budgetにおいて1か月前倒しの10月末に改正されることが提案されています。
当該会計年度に1万ルピー以上の納税義務のあるすべての法人は、当該年度の課税所得を見積り、四半期ごとの予定納税をしなければなりません。
期限は6, 9, 12, 3月のそれぞれ15日となります。
インドにおける課税年度は、4月1日から翌年3月31日となっています。
一方で会計年度は、旧会社法においては原則自由に会計年度を決定することができましたが、現在の新会社法(The Company Act 2013)においては、原則課税年度と同様、4月1日から翌年3月31日にしなければなりません。
ただし、裁判所の許可を得ることで、上記と異なる会計年度とすることができるとされています。
イ、貸倒引当金
会計上は費用として含まれる貸倒引当金繰入額ですが、税務上は損金算入できません。当該引当がなされた債権(売掛金等)が実際に回収見込がなくなり、貸倒損失として計上されたときに損金算入できます。
ロ、その他引当金
会計上、その発生が将来的に見込まれることから、保守的に費用として取り込んでいる引当金は、税務上は損金として通常算入できません。
損金算入できるのは、当該引当に係る支払が実際になされた年度においてです。
ハ、棚卸資産
棚卸資産の評価ベースは低価法となるところ、帳簿価額と正味実現価額との差異である評価損は一定要件のもと損金算入できます。
二、減価償却費
所得税法において定められた償却率等により計算された限度額までを損金算入できます。よって、会計上計算された減価償却額が税務上の限度額を超過していれば、当該超過分は損金不算入となります。
ホ、交際費
ビジネス拡大のための支出であれば損金算入可能です。個人的な支出は損金不算入となります。
繰越欠損金は8年間の繰越が認められています。また、前提として、事業所得の計算における欠損は、同一年度においては、キャピタルゲイン等の事業所得以外の所得とも相殺が可能ですが、翌年度以降においては、事業所得との相殺しかできません。
なお、当該事業年度における申告期限内の提出がなければ、繰越欠損金の適用、及び修正申告は認められません。非公開会社では、新規株式発行や売却、自己株式の取得・消却等によって、51%超の株主移動があると、翌年度以降の繰越欠損金と課税所得との相殺につき制限があることに留意が必要です。
インドにおいては、計算された法人税額が、調整後の会計上の利益の15%を下回る場合、当該15%の金額を納税額とするものです。
最低代替税を支払わなければならないケースとは、通常会計上の利益は生じているものの、税務上の減算項目が多いため、結果課税所得が会計上の利益を下回っている場合です。なお、ポイントしては、最低代替税は繰越欠損金があっても調整項目としてその計算に影響を与えないことに留意しなければなりません。ただし、最低代替税は法人税の前払いという性質をもっているため、一定の条件がありながらも、10年間にわたって繰越、将来の法人税と相殺することができます。
インドにおける移転価格税制は基本的にOECDガイドラインに準拠しています。
しかしながら、他国に比してインドの税務当局は積極的な課税姿勢を見せており、例えば企業が示した独立企業間価格、いわゆるALP(Arm’s Length Price)の算定方法を否認し修正申告求めたり等、税務訴訟を含めた当局との対応に苦慮している企業も多く、リスクヘッジを含めた対策が必要といえます。
なお、そのリスクヘッジの一手段として、インドにおいても税務当局との事前確認制度(APA Advance Pricing Agreement)が採用されており、Unilateral(インド国内のみでの合意)、Bilateral(2国間合意)、Multilateral(3か国間以上での合意)の3種から選択できます。当局との合意は将来5年間とロールバック(遡及)4年間の最長9年間で認められます。
2017年7月1日からGST(Goods & Service Tax)が導入されました。
これにより、一部の物品に対する付加価値税等を除き、旧法でのさまざまな州税および中央税がGSTとして課税されることになっています。
税率は5~28%の4段階に分けて規定されています。
GST評議会により税率のアップデートが不定期に発表されるので留意が必要です。
原則として物品販売事業者または役務提供者は、当該課税年度(Financial Year:4月~翌年3月)の総売上高がINR200万ルピー 超(一部の州を除く)の場合、GST事業者の登録が必要となります。
事業として使用する物品・サービスの提供(特定の物品またはサービスを除く)を受けるGST登録者は、当該仕入品・サービスに支払われた税額分について税額控除を受けることができます。
当月分を翌月20日迄に納付します。
次のいずれかの要件を満たすとインド居住者となります。
・当該会計年度に182日以上インドに滞在した場合
・会計年度中に60日以上滞在し、かつ当該会計年度前の過去4年間(会計年度)で365日以上滞在している場合
ブラックマネー法には、インドの通常の居住者(本人、配偶者や扶養家族を含む)を対象として、国外所得や国外財産について無申告や申告が十分でない場合の罰則規程が定められています。罰則の内容としては、高額な罰金に加えて10年以下の禁固刑という非常に厳しい罰則が科せられるます。
課税所得に応じた累進税率が適用されます(最高30%)。
2020年度Budgetによって、新個人所得税制度が導入されました。これにより、個人は従来の制度もしくは、新制度のどちらか一方を選択することが可能になりました。
新制度を選択した場合、所得税率が軽減される一方、旧制度のもとで利用可能なほとんどの税額控除、免税が利用できなくなります。
4月1日から翌年3月31日です。
申告期限は翌年7月末日です。なお、申告の遅延があれば、Penaltyに加え、延滞金利支払のリスクがあります。
営利所得税として20%が課税されます(課税所得120千NTDまでは非課税、200千NTD未満は課税所得の2分の1に課税)。ただし、未処分利益がある場合、5%の追加課税が行われます。
台湾では、統一発票という専用領収書に基づいて記帳が行われます。発票は全て国が管理しています。発票がないと原則として損金算入できないため、発票の入手が必須となります。ただし、給与や交通費、減価償却費など特定の項目については、統一発票ではなく、それを証する資料等によって損金算入します。
12月決算会社は、5月1日から5月31日間に申告・納税を行う必要があります。特殊会計年度の届出により事業年度末が12月末以外の営利事業は、事業年度終了後5か月目に申告・納税を行います。たとえば、3月末決算の営利事業は8月1日から8月31日までの間に申告・納税を行います。
例えば、交際費、出張日当、寄付金などには損金経理の上限が設けられています。
事務所、商店(鉄筋コンクリート)…50年、駐車場、車庫(鉄筋コンクリート)…35年、器具備品、複写設備…5年、自動車(送業用以外の業務用乗用車)…4年、電子計算機(コンピュータを含む)…3年などのように定められています。
10年の繰越控除が可能です。なお、欠損金の繰越は青色申告または税務監査を受けている会社で、かつ申告期限内において申告している場合のみ可能です。ただし、実務上は青色申告が認められるケースは少ないため、税務監査を受けることがほとんどです。
営利事業所得税の確定申告書の提出前に、台湾公認会計士が税務規定に準拠した課税所得となるよう調整項目を付して税務当局宛てに監査報告書を提出するものです。
「関連者」とは、主に以下のものをいいます。
・営利事業が他の営利事業の議決権を有する株式総数または資本総額を直接または間接に20%超保有している
・営利事業と他の営利事業の取締役の半分以上が同じである
・営利事業が他の営利事業の人事、財務または業務経営を直接、間接に支配している
・営利事業が他の営利事業と合弁契約または経営協力契約を結んでいる
年間収入総額が3億台湾ドル以上かつ関連者との取引が2億台湾ドル以上となる場合、基本的に移転価格文書の作成が必要となります。これには企業の組織図や関連者間取引の関係図等に加え、移転価格報告書と呼ばれる資料も含まれることになります。
個人所得税は、6段階の累進課税制度がとられていて、最高税率は40%です。
源泉徴収義務者(代表的には会社)は毎月源泉徴収と納付する義務があり、翌月の10日が期限となります。毎月納付書を作成し、銀行等で支払うことになります。また、日本のような年末調整制度はなく毎年5月に個人が確定申告を行います。
個人が台湾内で稼得した所得は、基本的に個人所得税の課税対象となりますが、一部の項目については免税として扱われます。食事手当が代表的で、一人当たり月額2,400台湾ドルまでであれば免税扱いになります。また、他にも一定の基準を満たした出張旅費や日当、労働基準法に準拠したうえでの一定の残業手当については免税扱いとなります。
①台湾滞在日数が「年間1日~90日/暦年」で、給与が日本負担の場合
日本法人が負担した給与については、台湾における納税は不要です。この場合、台湾の個人所得税に関しては基本的に問題となることはありません。
②台湾の滞在日数が「91日~299日/暦年」で、給与が日本負担の場合
日本法人が負担した給与については、台湾滞在日数での按分計算により、台湾における給与額をみなし計算し、確定申告をする必要があります。すなわち、出張ベースにより台湾で業務を行っていた場合、たとえ台湾負担の給与が無かったとしても、台湾滞在日数が90日を超えた時点で、台湾における個人所得税の納税義務が発生することになります。この場合、確定申告を行うことになりますが、この申告時に日本で支払われた給与の証明書を取得するか否かを検討する必要があります。この証明書を提出する場合には、日本の公認会計士の署名もしくは税務署の証明が必要となります。ただし、当該証明書を提出しない場合には、税務局の査定を受けることとなり、所得額が低いと判断された場合、所得額を調整される可能性があります。なお、日本負担の給与に関して、日本と台湾で二重課税となる場合がありますが、これに関しては、日本において外国税額控除を受けることが可能です。その場合、日本の税務署に台湾に申告納付した際の「納税証明書」を提示することになります。
③台湾の滞在日数が「300日以上」で給与が日本負担の場合
日本法人が負担した給与については、確定申告において全額台湾での給与として申告する必要があります。
④台湾滞在日数が「183日未満」の場合
上記とは別に日台租税協定の適用により、免税となる可能性があります。
日本の消費税と同じような税金で、台湾国内で行う物品の販売、役務の提供および物品の輸入には、5%の営業税が課されます(業種により税率が異なる場合あり)。奇数月の15日までに直前2ヶ月分を申告・納税する必要があります。仕入税額が売上税額より多い場合は、次回の申告に繰り越されます。
産業創新条例では、特定の業種に関する優遇ではなく、研究開発や中業企業の雇用促進が奨励されています。優遇措置には以下のようなものがあります。
1)租税優遇
研究開発に対して、支出金額の15%を上限として当該年度の営利事業所得税から控除することが可能です。ただし、控除額は営利事業所得税の30%を限度とします。
2)低金利融資
(1) 産業研究開発促進融資(対象:インターネット産業や技術サービス産業の研究開発等)
(2) 中小企業高度化補助融資(対象:中小企業による自動化機器設備やソフトウェアへの投資等)
(3) 省エネ設備への投資融資(対象:一定の条件を満たす省エネ設備への投資等)
(4) 伝統産業振興優遇融資(対象:研究開発や運転資金等)等
3)科学工業園区等の優遇
(1) 一般工業区(台南科技、花蓮和平、彰化濱海、宜蘭利澤、雲林科技、斗六広大)
(2) 輸出加工区(台中パーク、中港パーク、高雄パーク、臨廣パーク、屏東パーク等)
(3) サイエンスパーク(新竹サイエンスパーク、中部サイエンスパーク、南部サイエンスパーク)
(4) 環境保護テクノロジーパーク(桃園環保科技園区、台南環保科技園区、高雄環保科技園区等)
4)自由経済モデル区
2013年8月より、以下の特定エリアを自由経済モデル区に設定し、現在は第一段階として、産業や経済の自由化の取組みを試験的に実施しています。しかし、台湾人労働者の雇用確保や医療機関の営利事業化等に対する問題が残っているため、第二段階に入るために必要な「自由経済モデル区特別条例」は立法院での審議も進まず、停滞しているのが現状です。
(1) 桃園航空自由貿易港区
(2) 台北港自由貿易港区
(3) 基隆港自由貿易港区
(4) 蘇澳港自由貿易港区
(5) 台中港自由貿易港区
(6) 安平港自由貿易港区
(7) 高雄港自由貿易港区
(8) 屏東農業生技園区
25%の税率が適用されています。上場企業で払込資本額の40%以上を公開している会社の税率は20%となります。また、総売上高が500億ルピア以下の法人に対しては総売上高の48億ルピアまでに相当する課税所得に対しては税率を50%縮小する(12.5%の税率とする)事が出来ます。なお、恒久的施設を除く、個人、法人とも年間48億ルピア未満の売上の納税者に対しては源泉分離課税となる、売上に対する0.5%の外形標準課税が課せられます。
課税対象者とは個人、法人、恒久的施設です。
課税対象所得はインドネシア国内および国外の以下の所得が対象となります。
① 役務の報酬として受け取る給与、賃金、手当、手数料、ボーナス、年金等
② 報奨金、奨励金、宝くじの賞金
③ 事業から発生する利益
④ 資産の譲渡、組織再編から生じた利益、贈与、寄付等から得た利益
⑤ 税金の還付金(過年度損金処理済みのもの)
⑥ 利子所得
⑦ 受取配当金
⑧ ロイヤルティ、技術支援料などの収入
⑨ 定期的な支払いの受領
⑩ 賃貸料収入
⑪ 債務免除益
⑫ 保険料収入
⑬ 為替差益
⑭ 資産評価益
納税は納税書 ( SSP = Surat Setoran Pajak ) により翌月の10日まで(PPh25、小規模企業に関する外形標準課税については15日まで)に銀行を通じて納付します。
年次納税申告は会計期間終了後4カ月以内に申告を行わなければなりません。納税者は年次納税申告書の提出について、所定書式に暫定納税額計算書または納税額不足査定通知書を添付して、税務局長宛てに最大2ヶ月間延長申請することが出来ます。
法人所得税の課税期間は会社の会計期間とされており、会社が自由に設定できます。一度設定した課税期間を変更する場合は税務総局長へ申請が必要となります。
減価償却は以下の手順で行います。
(1) 事業のために使用される資産で、支出効果が1年を超えるものは土地を除き毎年定額で減価償却出来ます。
(2) 減価償却は簿価を基準に耐用年数に応じて全額償却されます。
(3) 償却はその支出があった月から開始されますが、税務局長の許可があれば使用を開始した月、または収益を計上した月から開始できます。
(4) 再評価を行った資産については再評価後の価額を基準に減価償却を行います。
(5) 有形固定資産の耐用年数と償却率は通達により定められています。
損失は翌年度から5年間繰り越され、利益と相殺することが出来ます。
2015年4月6日付の法律( No.18 Year2015)で特定分野への投資に対する所得税優遇措置(タックス・アローワンス)が与えられています。また、2010年に大型投資案件(パイオニア企業)に対する法人税の免除、軽減措置(タックスホリデー)が発表され、2018年4月4日付で優遇拡大が行われました。
所得税法18条に「税務局長は同族関係にある納税者に係わる収入、経費等について特殊な関係がない場合の慣習に従い独立企業間価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、その他の方式により修正することが出来る。」と規定されています。
2017年の財務大臣規定(No.234Year2017)において、マスターファイルおよびローカルファイルの文書化義務が規定されています。なお、(7) 納税者の年間連結売上が11兆ルピアを超えるグループ企業の親会社は、マスターファイル、ローカルファイルおよび国別報告書を作成しなければならない(2条3項)とされています。
所得税法18条で「財務大臣は企業の債務と資本と比率に関する規定を定める権限を持つ」として、過少資本税制を導入しています。2018年2月1日付税務総局長規程(NO.25/PJ/2018)で資本の4倍を超える借入コストは費用算入出来ないとされました。
付加価値税の税率は10%です。
有形物品、無形資産および課税サービスの輸出取引に対しては0%となります。
課税期間に支払ったINPUT付加価値税は同期間に収受したOUTPUT付加価値税と毎月の申告手続きで相殺し、超過分を納付します。
税務調査が行われるのは以下のようなケースです。
① 年次納税申告において過払いの状態にあり、還付請求をした場合
② 月次予納、年次納税申告が期限内に提出されていない場合
③ 会計年度の変更、企業組織再編、会社清算、解散が行われる場合
④ 数年にわたり年次納税申告が損失計上して、納税が発生していない場合
⑤ 納税者が自らのリスク分析において納税義務が果たせないと表明した時① 納税番号を取得していない、または抹消した場合
⑥ 異議申し立てが行われた場合
⑦ 納税者が納税申告書を提出できず、税務署裁量の納税額を算定する必要のある場合
⑧ 付加価値税に係わる納税額算定を調査する必要がある場合
日イ租税条約第15条に規定される「短期滞在者免税」の条件を満たしている個人については所得税は発生しません。短期滞在者とは以下の条件をすべて満たす個人になります。
① 課税期間(暦年)を通じて合計183日を超えない期間、他方の締結国(インドネシア)に滞在すること
② 報酬が他方の締結国の居住者でない雇用者(日本の雇用者)から支払われること
③ 報酬が雇用者の他方の締結国に有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでないこと
個人所得税税率は5~30%累進課税となっています。
個人納税義務者の全世界所得に対して課税が行われます。
個人納税者の月次納税は翌月の10日まで、月次申告は翌月の20日まで、個人納税者としての年次納税申告は暦年終了後3カ月以内に行わなければなりません。
財務大臣により指定された奢侈品の以下の取引に対して課税されます。
①関税地域で営業目的のため物品を引き渡す時
②課税対象物品を輸入した時
奢侈品販売税の税率は最低10%、最高200%に設定することが出来るとされています。奢侈品の輸出に対する税率は0%となっています。
印紙税は以下のような書類を作成した時に納税しなければなりません。
① 契約書、事実、行為などの証拠となる書類
② 公正証書、およびそのコピー
③ 土地の権利証書、およびそのコピー
④ 金額が記載された以下の書類
*金銭領収書
*銀行の預金残高証明書
*銀行口座の残高証明書
*ローンの全額または部分返済の領収書、計算書など
⑤ 支払手形、約束手形、引き受け証書など
⑥ 裁判所において証拠として使用される書類
(1) 土地建物の権利移転が行われた時にその権利を受けたもの(物件の買い手)が不動産取引税を支払わなければなりません。ジャカルタではRp.60,000,000以下の取引は免税基準価格から控除となります。
(2) 土地建物の権利移転には売買、贈与、相続、寄付、入札、事業統合等が含まれます。
(3) 課税標準は実際の取引価額か不動産評価額(NJOP)の高いほうの額となります。
(4) 税率は2.5%となり、購買者が支払います。売却者も5%のファイナルタックスを支払います。
(5) 納税時期は権利移転証書の作成日、事業統合の場合は当該契約の締結日となります。不動産取引税を支払わないと土地登記は出来ません。
毎年全ての土地、建物に対して課税されるいわゆる固定資産税になります。税率は0.5%となっており、政府が決定した不動産評価額(NJOP)に対して、NJOPがRp1,000,000,000未満の場合は20%、Rp1,000,000,000以上の場合は40%を掛けた金額を課税標準(NJKP)とし、税額を計算します。NJOPは原則3年ごとに見直されます。税務署は毎年課税通知書を被課税者に送り、被課税者が確認後、不動産税納税通知書が発行されます。納税通知書受領後、被課税者は6カ月以内に納税しなければなりません。
標準税率は20%となっています。その他、タイ投資委員会(Board of Investment:BOI)からの減免税恩典をはじめとした税務恩典・時限立法が用意されており、現状では、中小法人(払込資本金が500万バーツ以下、かつ、当該年度の収益が3,000万バーツ以下の法人)では軽減税率が適用されます。
次の組織や団体には、法人税の納付義務が課せられます。
イ) タイの法令に基づき設立された
・会社
・パートナーシップ
・合弁企業(ジョイント・ベンチャー)
・営利事業を営む社団または財団
ロ) 外国の法令に基づき設立された法人で、
・タイ国内で事業活動をする(支店等)者
・タイ国内では事業活動をしていないが特定の収益をタイ国内で得ている者
ハ) 外国政府の機関やその代理機関により事業活動をする者
ニ) 財務大臣の認可に基づき歳入局長官によって指定されたその他の法人
タイの法令に基づき設立された会社、パートナーシップ、その他団体等については、全世界所得が課税所得となります。
外国の法令に基づき設立された法人がタイ国内で事業活動をしている場合(支店等)、タイ国内での事業活動から得られた所得、すなわちタイ国内源泉所得が課税所得となります。
外国の法令に基づき設立され、タイ国内で事業活動を行っていない法人は、タイ国内で特定の所得を得た場合、当該特定の所得につき課税されます。
なお、特定の所得には、ロイヤルティ、利息、配当、賃貸料、専門家への報酬などが含まれます。
タイでは申告納税制度が採用されており、納税者は自主的に税金を計算し、所定の様式により申告及び納税します。タイミングとしては、中間申告及び確定申告の年2回です。
イ)中間申告
年度の課税所得の見積額を基礎として算定された法人税額の半分相当を基礎として算定された法人税額を、事業年度開始後6か月を経過した日から2か月以内に申告及び納付します。
ただし、法人の新規設立もしくは解散等で、事業年度が1年未満となる場合は中間申告は不要です。
ロ)確定申告
年度末以降150日以内に、課税所得及び税金を計算し、申告及び納税します。
なお中間申告における推定課税所得が、年度末の確定申告における実際の課税所得額を25%以上下回る場合、適切な理由が認められない限り当該不足所得分にかかる税額の20%を追徴課税されますので、留意が必要です。
法人税の課税年度は、各法人の事業年度と一致します。
設立時、決算期変更時、もしくは清算時など特別な事情がある場合を除き、事業年度は12か月でなければなりません。
なお、タイでは、法人の決算日を任意に設定することができますが、決算日を変更する場合には歳入局及び商務省に申請し承認を得る必要があります。
税務上、資産の種類に応じた償却率が規定されています。減価償却の方法としては税法上の定めより定額法が一般的ですが、それ以外の方法(級数法や定率法等)を使用することも可能です。
1,000万バーツを上限として、総売上高の0.3%もしくは払込資本金の0.3%のいずれか大きい方を限度として損金算入が認められます。
交際費として損金算入するには、当該費用につき法人の権限者による承認と領収書等の客観的な証拠が必要です。
税務上の欠損金は、欠損金が発生した年度の翌年度から5年間繰り越すことができます。
タイには、大きく3通りの税務調査が行われます。
納税に関する定期的な適正性調査(指導調査)、不審・疑念点がある場合の不正摘発調査(更正調査)および還付額決定のための還付調査(還付調査)です。
通常行われるのは、指導調査であり、3~5年に一度程度の頻度で実施されます。
また全ての税金についても還付申請を行った場合には、還付調査が入ります。還付額は、当該還付調査によって確定することになっています。
いずれの税務調査においても歳入局の担当官が広い裁量権を有しているのが特徴といえます。
2018 年 11 月 22 日より改正歳入法が施行されており、移転価格文書作成義務が定められております。
関係者がある会社で、その事業年度の収益(売上高)が2億バーツ以上となる会社は、2019年1月1日以降に始まる事業年度より移転価格文書を作成し、法人税申告書に関連者及び関連者間取引の状況についての別表を添付する必要があります。
別表提出後5年以内に、歳入局は移転価格文書の提出を要求することができるとされ、要求があった場合は60日以内(120日まで延長可能、ただし初回は180日以内)に移転価格文書を提出する必要があります。関連者の範囲は国外のみならずタイ国内の関連者が含まれている点に留意が必要です。
付加価値税(VAT)は日本の消費税に相当する間接税で、タイ国内での物品の販売、サービスの提供及び輸入取引に課せられます。
標準税率は10%ですが、時限立法により現行7%が適用されます。
タイ国内で物品販売やサービスの提供を継続的に行う者で、年間売上高が180万バーツを超える場合、VATの納税義務を負います。
VAT登録事業者は、売上VATから仕入VATを控除した額を課税当局に納付しなければなりません。
仕入VATが売上VATを上回る場合、還付請求をするか、もしくは、翌月以降の売上VATから控除することができます。
VAT登録事業者は、月次でVAT額を計算し、原則として発生した月の翌月15日までに申告および納税する必要があります。
ただし、サービス料等を国外に支払う場合、支払者が対価を支払った月の翌月7日までに、VATを申告及び納税します。
タイの税法に相当する歳入法では、1暦年中にタイ国内に滞在した日数が累計で180日以上となる者は、居住者として扱われます。
居住者の場合、タイ国内源泉所得と、タイ国外源泉所得のうち当該年度中にタイ国内に持ち込みもしくは送金された金額が、課税対象とされます。
他方、非居住者の場合、タイ国内源泉所得のみが課税対象となります。
課税所得に対し35%を上限とした累進税率が適用されます。
課税期間は暦年(1月1日~12月31日)とされます。
給与所得その他につき源泉徴収制度も採用されますが、基本的には自己申告により徴税されますので、納税者は各年度ごとに確定申告を行う必要があります。
申告及び納税期限は翌年の3月31日で、所定の申告書(PND90又はPND91)により課税当局に申告します。
歳入法に規定される文書及び証書を作成する際に、印紙税が課されます。
印紙税の対象となる主な文書及び証書は以下となります。
・不動産賃貸契約書
・金銭消費貸借契約書
・請負契約書
・パートナーシップ契約書
・為替手形
・約束手形
・船荷証券
・株券・社債券
・小切手・トラベラーズチェック
・保証契約書
・保険証書
2020年1月1日より改正土地家屋税法が施行され、従来の土地家屋税法(Land and building tax act)や地域開発税法(Land Development tax act)は廃止とされました。
新法においては、保有する土地建物の用途に応じて、土地法上の査定価格に下記税率(上限)を乗じた額の課税がなされます。
・農業用:0.15%
・住宅用:0.3%
・商業用:1.2%
・空地/遊休地:1.2%
2020年1月1日より改正土地家屋税法が施行され、従来の土地家屋税法(Land and building tax act)や地域開発税法(Land Development tax act)は廃止とされました。新法においては、保有する土地建物の用途に応じて、土地法上の査定価格に下記税率(上限)を乗じた額の課税がなされます。
・農業用:0.15%
・住宅用:0.3%
・商業用:1.2%
・空地/遊休地:1.2%
看板税は、広告、商品もしくは事業に関する情報提供を目的として、その名称や商標もしくは商品等を掲示した看板や広告版に課される税金で、看板の所有者が看板税の納税義務を負います。
看板に記載される言語及び看板の大きさによって税率が異なります。
標準税率は24%ですが、2017、2018賦課年度は、事業所得が前年度より増えた場合には、その増加率に応じて増加部分にかかる税率が20~23%に軽減されます。なお、一定の要件を満たす中小法人(Small and Medium Enterprise: SME)に対しては、軽減税率が適用されます。
企業、信託、法人以外でない団体(パートナーシップを除く)に法人所得税の納税義務が課せられます。法人所得税上の企業とは以下の組織と定義されています。
イ)マレーシアの法令に基づき設立された公開企業(Berhad)
ロ)マレーシアの法令に基づき設立された非公開企業(Snedirian Berhad)
ハ)外国の法令に基づき設立された上記イ)、ロ)と同種の企業
法人所得税上は国内を源泉とする所得が課税対象となっており、国外を源泉とした所得は、銀行業、保険業、航空・海運業を営む法人を除いては課税対象となりません。(銀行業、保険業、航空・海運業を営む法人は、全世界所得が課税対象になります。)
原則として、収益取引のみを課税対象としており、資本取引(資本金の払込、増減資、配当、土地および設備の購入、資金調達とその返済などの取引)は課税対象となりません。また、キャピタルゲインは不動産取引を除き、課税対象となりません。
法人は、当該事業年度の見積税額を事業年度開始の30日前までに内国歳入庁に申告します。そのうえで、事業年度の2カ月目より毎月10日までに、見積額を会計年度の月数で等分(通常12カ月で按分)した金額を納付します。会計年度の6カ月目と9カ月目に見積額を修正することが認められています。見積額は、前年度の見積税額または修正見積税額の85%を下回ってはならないとされています。
法人は、期末日から7カ月以内に課税所得及び税金を計算し、内国歳入庁に申告します。確定税額に対して月次納付累計額が不足している場合には、その差額も7カ月以内に納付する必要があります。期限までに納付しない場合にはペナルティが課せられます。また、月次納付累計額に比べて確定税額が30%を超えて超過していた場合には、超過部分について10%のペナルティが課せられます。
課税所得は、会計監査済みの財務諸表の当期利益に、特定の税務調整を加えることにより計算されます。事業収益を獲得するために全面的かつ専属的に貢献していると認められる支出および費用は、所得税法によって特別に禁止されている場合を除いては課税所得計算において控除対象(損金)となります。 控除可能な費用には、事業費、賃貸料、修繕費、人件費、社会保険料および公的基金への拠出金などが含まれます。 他方、資本取引や事業収益の獲得に関連のない費用は損金算入が認められないほか、政策的に一部の費用も損金算入が制限されています。
マレーシアでは法人は決算期を任意に設定することができ、その事業年度が課税対象期間となります。但し、実際には大部分の法人が事業年度を1月から12月としているため、課税対象期間も、通常は1月から12月の1年間になっています。年度について注意すべき点として、税制の適用時期の判断に用いられる賦課年度(Year of Assessment :Y/A)は、法人の期末日の属する年を基準として判断される点が挙げられます。つまり2018年3月末を決算期末とする法人の場合は、2018賦課年度の税率が2017年4月より開始する事業年度から適用されます。
マレーシアの法律では、租税条約による二国間外国税額控除と片務的外国税額控除の双方が認められています。マレーシアでは一般的に外国源泉の所得に対して課税されないため、銀行業、保険業、海運業または航空輸送業に携わる例外的に全世界所得に対して課税が行われる企業を除いては国際的二重課税が生じるケースは多くありません。
外国税額控除の上限はマレーシアと租税条約を締結している国かどうかにより変わります。マレーシアと租税条約を締結していない国の外国源泉所得について課税される外国税については、対象となる所得に対して課税されるマレーシアの税金とその所得について課税される外国税の50%のいずれか低い方を上限に控除できます。他方、マレーシアと租税条約を締結している国で課せられた外国税については、その外国税の対象となった所得に対して課税されるマレーシアの税金を上限として控除することが認められています。
税務上の欠損金は、年数の制限なく繰越すことができます。現行の事業年度の事業損失は全ての課税所得から控除することができますが、繰越欠損金は事業を源泉とする課税所得からのみ控除することが認められます。なお、欠損金の繰り戻し還付制度はありません。
キャピタルアローワンスの超過額が同年度のその他の課税所得と相殺することはできませんが、無期限に繰越し、当該キャピタルアローワンスを生じさせた事業により発生した所得と相殺することができます。
※2019年賦課年度より、繰越欠損金及びキャピタルアローワンスについて最大7賦課年度までの繰越制限の設定が行われる予定です。
休眠会社など特定の条件を満たす場合を除き、マレーシア国内で営業する全ての会社と外国法人の支店は、免許を有する監査人の財務諸表監査を受ける必要があります。事業年度末から原則として6カ月以内に監査済み財務諸表を株主に回覧しなくてはなりません。この回覧後1カ月以内に、承認済み財務諸表を会社登記所に提出することが必要です。
マレーシアでは、タックスオーディット(Tax Audit)とタックスインベスティゲーション(Tax Investigation)の2種類の税務当局による税務調査があります。定期的にタックスオーディットが実施されますが、租税回避の疑いがある際にはタックスインベスティゲーションが行われます。
タックスオーディットは、調査開始にあたって事前に納税者に対して通知が行われます。一般的に調査対象年度は1年のみですが、税務当局は賦課年度末から5年以内について更正賦課を行うことができます。但し、詐欺や故意の不履行、納税者の怠慢や裁判所が決定を下した場合はこの限りではありません。
納税者が故意に租税回避を行おうとしている場合や、税法などで規定されている意図的な租税回避行為を行ったことを疑う明らかな証拠がある場合に、タックスインベスティゲーションが実施されます。実施にあたっての事前の通知はありません。タックスインベスティゲーションにより発見された過少申告のペナルティはタックスオーディットよりも高いペナルティ率になります。
2003年7月に初めて移転価格ガイドラインが公表され、移転価格税制の執行手続きが明確化され、内国歳入庁が2004年より税務調査を開始しました。その後、ガイドラインの根拠規定を所得税法第140条A(2009年1月1日施行)に設け、同時に、移転価格調査を専門に行う多国籍企業税務部が内国歳入庁に設置されました。ガイドラインについては2012年7月に改訂版が発行されています。また2012年5月には移転価格ルール(Income Tax (Transfer Pricing) Rules)およびIncome Tax (Advance Pricing Arrangement) Rulesが公表され、2009年1月1日に遡って適用されることになり、同年7月に公表されたガイドラインとともに所得税法の規定の解釈に用いられることになりました。
所得税法自体には文書化の義務の定めはありませんが、その下位規則にあたる移転価格ルールにおいて移転価格同時文書化が義務付けられています。納税者が関連者取引に関して保管する必要のある情報、文書の項目はガイドラインに定めがあり、通常は各年度の申告書提出時(事業年度終了後7カ月以内)までに作成・更新することとされ(その際、提出する義務はない)、また内国歳入庁から提出の要請があった場合は30日以内に提出しなくてはなりません。
ガイドラインの対象企業は、総売上が2,500万リンギ以上で、かつ関連者間取引の合計金額が1,500万リンギ以上の企業、または金銭貸借取引が5,000万リンギ以上の企業とされています。この条件に満たない小規模企業は、負担を軽減する措置として、簡便な移転価格文書である限定文書の作成が認められていますが、ガイドラインに完全に準拠することが推奨されています。
マレーシアの源泉税の特徴として、請負契約及びプロフェッショナルサービスを除いて源泉税をもって最終税としていること、源泉徴収を怠った場合には、その対象となった対価の損金算入が否認されるということが挙げられます。
2018年5月10日にマレーシアの政権が交代し、マハティール現首相が選挙公約で掲げていたGST(Goods and Services Tax)撤廃の方針に従い、2018年6月1日からすべての取引に係るGSTの標準税率が6%から0%に引き下げられることとなりました。
2015年4月よりGSTが導入されておりましたが、2018年6月1日から税率が0%となり、2018年9月1日にGST法が廃止されました。政府歳入の約2割を占めるGSTに替わる税制として、2018年9月1日からSST(Sales and Service Tax:売上税、サービス税)が導入されました。SSTは、売上税とサービス税の2つからなる税制となります。
売上税の対象外となる品目リストに掲載されていない全ての商品が、売上税の課税対象となります。売上税法における税率は5%、10%もしくは特定の税率となります。売上税は流通の一部に対してのみ課税される仕組み(一段階課税)となっており、仕入税額控除の適用を受けられないのが特徴です。
サービス税は、以下の全てに該当するサービス提供を行った場合に課税される税金です。基本税率は6%となります。
課税対象サービスの提供
事業において提供されたもの
課税対象者によって提供されたもの
マレーシア国内で提供されたもの
なお、サービスの輸入、輸出に対しては、サービス税は課税されません。
サービス税は流通の一部に対してのみ課税される仕組み(一段階課税)となっており、仕入税額控除の適用を受けられないのが特徴です。
居住者の個人所得税は、基本的にマレーシア国内の源泉所得について課税され、国外源泉所得は、マレーシアに送金され、かつ居住者が受領する場合のみ課税対象となります。個人所得税の課税対象期間は暦年です。
マレーシアでは居住者と非居住者の区分は基本的にその滞在期間により税務上の居住者、非居住者に分けられます。下記の要件の一に該当する場合には、税務上の居住者とみなされます。
税務上の居住者とされる要件
・暦年で182日以上マレーシアに滞在している場合
・1暦年中でマレーシアに滞在している日数は182日未満であるが、前の暦年の下半期または翌暦年の上半期中に182日以上連続してマレーシアに滞在した場合(*)
・1暦年中のマレーシア滞在日数が90日以上あり、かつこれに先立つ4年間のうちの3年間に90日以上マレーシアに滞在していたか、居住者であった場合
・直前の3暦年度および直後の暦年度に居住者である場合
(*)臨時的な出国期間は、その出国がマレーシアにおける当該個人の役務、本人の疾病、家族の疾病、または14日以内の社交訪問に関連する場合には、連続し滞在期間の一部とみなされます。
居住者の課税所得に対しては1~28%の累進税率が適用されます。
給与所得その他につき源泉徴収制度も採用されますが、基本的には自己申告により徴税されます。納税者は暦年とされている賦課年度の翌年4月末月までに税務申告書を当局に提出しなければなりません。賦課通知は税務当局に税務申告書を提出した時点でなされたものとみなされます。不服申し立ては税務申告書を提出した日から30日以内に行わなければなりません。
従業員の給与所得については、納税は月次税徴収制度(MTDS)に基づく月次の源泉徴収を通じて行われます。全ての雇用主は、月次報酬から内国歳入当局が公表する税率表に基づいて計算した税金を源泉徴収し、各月末から15日以内に税務当局に納付しなければなりません。
夫婦については、それぞれ個別の個人として課税されます。しかし、個人の選択により自身の所得を配偶者の所得と合算し、配偶者名義で合算の課税を受けることもできます。
不動産譲渡益税は、マレーシア国内にある不動産及び相当な不動産持分がある非公開会社の株式売却から生じるキャピタルゲインに対して課されます。ただし、1万リンギもしくは譲渡益の10%のいずれか高い金額までは免税になります。
マレーシアでは不動産保有に関する固定資産税が2種類あります。クイットレント(Quit Rent)と呼ばれる土地に関する固定資産税とアセスメント(Assessment)と呼ばれる建物に関する固定資産税で、物件の位置する土地の地目や場所により基礎となる評価額が変わります。クイットレントは通常年1回、アセスメントは毎年1から6月分と7から12月分の年2回に分けて地方行政当局より請求されます。
マレーシアで製造された特定の製品には物品税が課されます。たばこ、酒類、自動車、二輪車などが課税対象となっています。税率は品目によって異なります。物品税は対象品目が工場から出荷された際に支払いますが、自動車に関しては、車両が道路交通局に登録された時点で支払います。なお、輸出入品には物品税は課せられません。
印紙税は特定の証書や文書を作成する際に課せられます。税率は証書、文書の種類や取引価格により異なります。マレーシア国内で作成された文書に関しては、契約発効日より30日以内に支払う必要があります。国外で作成された文書に関しては、マレーシアで初めて受け取った日から30日以内に支払いが必要です。期限までに納税できなかった場合には遅延期間に応じてペナルティが課せられます。
フィリピンの法人税率は、30%です。
納税義務者は、課税所得を有する内国法人、居住外国法人及び非居住外国法人です。内国法人とは、フィリピンの法律により設立・登録された法人です。外国法人とはフィリピン以外の国の法律に基づき設立された法人をいいます。そのうち居住外国法人とはフィリピン国内で恒久的施設を有し事業を営んでいる外国法人であり外国法人の支店などが含まれ、非居住外国法人とはフィリピン国内に恒久的施設を有さない法人のことをいいます。
課税所得の範囲は、内国法人、居住外国法人、非居住外国法人の分類ごとに異なります。
内国法人…全世界所得
居住外国法人…フィリピン国内源泉所得
非居住外国法人…フィリピン国内源泉所得のうち、貸付金利子、配当、ロイヤルティ、株式売却益など特定の項目
課税年度は原則として暦年とされますが、会社が定める12か月間の事業年度を課税年度とすることも可能です。ただし、一課税期間が12か月を超えることは認められません。
フィリピンでは自己申告制度が採用されており、法人には四半期申告と年度末の確定申告とが求められ、それぞれ所定の様式により行います。納税も申告と同時期に行います。
第1四半期から第3四半期まで、各四半期終了後60日以内に四半期申告を行います。四半期申告では当該課税年度の開始日から各四半期末までの税額を計算し、その税額から前四半期まで納付した税額を控除した額を納付します。そして各事業年度終了後の4か月目の15日までに年度の確定申告を行って通年での税額を確定させ、四半期の予定納税額と確定税額との差額を精算します。監査済みの財務諸表の添付は確定申告時には必要ですが、四半期申告の際には必要とされません。予定納税額が確定税額を上回る場合は、還付請求若しくは税額控除証明書(Tax Credit Certificate)の発行申請をするか、又は次年度以降の予定納税額と相殺するか、いずれかを選択することができます。次年度以降の予定納税額との相殺を選択した場合、先述の過納税額を当該法人の存続期間に渡り永久に繰越すことができます。
なお、通常は法人税が発生しない駐在員事務所にも申告が求められる点に注意が必要です。
法人税の課税所得は、通常の所得、源泉分離課税所得及びキャピタル・ゲイン等別途課税される所得に区分されます。通常の課税所得とは、売上高から返品、値引、割戻し及び売上原価を控除した事業所得のほか、事業用資産の売却益や受取利息から成る総所得から事業経費を差し引いた正味の課税所得をいいます。
事業経費のうち、事業との関連性があり、証憑による客観性を具備するものは総所得から控除(損金算入)することができます。源泉徴収が必要な支払項目を損金算入するには、先述の要件に加え、源泉徴収及び納税がなされていることが必要です。
フィリピンの法人税制では、課税所得の多寡にかかわらず、最低でも売上総利益に2%を乗じて計算される最低法人所得税(Minimum Corporate Income Tax(MCIT))の金額の納税が必要です。すなわち、通常の所得にかかる正味課税所得に税率30%を乗じて計算された税額が最低法人所得税額を下回る場合、最低法人所得税額の納税が必要となります。最低法人所得税は、いわゆる外形標準税と位置付けられるもので、事業開始から4年度目の課税年度から適用されます。ただし、最低法人所得税として支払った金額は、支払の翌年度以降3年間に渡り通常の法人所得税から控除することが認められます。
法人が剰余金を配当せず、合理的な理由もなく払込資本の100%を超えて社内留保していると不当留保とみなされ、当該払込資本の額を超過する金額に対し税率10%で課税されます。不当留保金の対象となるのは、発行済み株式総数の50%以上を20名以下の個人株主によって保有される、いわゆる同族会社です。
付加給付税は雇用者に対し法人税の一部として課税されるもので、雇用者から従業員に支給される基本給以外の物品、役務、金銭等の付加給付が対象となります。付加給付には、例えば住宅や車両の手当、扶養家族の教育補助費、カントリークラブ等の会費といった給付手当が含まれます。ただし、年額90,000ペソまでの賞与や、業務の遂行上必要な手当ては付加給付税の対象とはされません。対象となる従業員とは、労働法等に規定されるマネージャーやスーパーバイザーの職位を持たない(一般従業員といわれる従業員以外の従業員)で、概ねのところ管理職に就く従業員です。
付加給付税の課税標準は、付加給付の評価額を基に算定される付加給付の貨幣価値額をグロスアップした金額となります。税率は通常は35%が適用されます。付加給付税は四半期申告及び年度末の確定申告が求められます。
欠損金は、発生年度の翌年度から3年間繰り越すことができます。ただし繰越が認められるのは、法人の発行済み株式の額面金額又は払込資本金額の75%以上が同一の者又はその代理人によって継続的に保有されている場合です。また、投資優遇措置を受けている法人や同措置の適用により法人税免除期間中の法人には欠損金の繰越は認められません。なお欠損金の繰り戻しは認められません。
租税条約に基づく軽減税率又は免税を適用するには、課税当局に対し、所定の様式(租税条約軽減申請書:Tax Treaty Relief Application(TTRA))の提出により租税条約適用申請を行う必要があります。この申請は通常、所得の支払、未払金の発生、若しくは未払費用の計上のいずれか早い時点までに行うことが求められます。また申請は取引の都度行うことが求められ、申請すれば租税条約の適用が有効となります。なお、2017年3月28日にフィリピン内国歳入庁は配当、利子、ロイヤルティ―については租税条約適用申請手続きの簡素化に関する新しいルール(Revenue Memorandum Order No.8-2017)を公表しました。これによると、所定のForm(CORTT:Certificate of Residence for Tax Treaty Relief)を提出することで自動的に租税条約上の減免措置が適用されることとなりました。
申告・納税は月次で行い、原則的な期限は源泉税支払時から30日以内となります。
フィリピンでは2013年に出された移転価格ガイドライン(Revenue Regulation No.2-2013)で移転価格の文書化義務が規定されたものの、移転価格調査に関してのガイドラインはその後長らく公表されていませんでしたが、2019年8月27日に内国歳入庁(BIR‐Bureau of Internal Revenue)から移転価格調査ガイドライン(RAMO No.1-2019)が公表されています。この調査ガイドライン導入の目的として、納税者と関連者との間の取引について標準的な手続きと手法を定め、移転価格に係る調査の質を担保することが示されています。
調査ガイドラインでは、移転価格調査の流れについて大きく
a) 準備フェーズ、
b) 調査実施フェーズ、
c) レポート作成フェーズ
の3つのフェーズに分け、それぞれのプロセスが規定されています。
納税者は移転価格文書を作成及び保持し、課税当局の要求があった場合には提出することとされ、移転価格文書は原則として毎期作成すること、すなわち同時文書化が必要であるとされます。ただし、税金申告時に当該文書を添付することは求められていません。
フィリピンの投資優遇措置は、投資が奨励される分野、場所及び組織形態の指標に基づき、要件を満たす投資案件に適用されます。例えば、オムニバス投資法では、特定の産業分野や国内の雇用機会の創出、生産性の向上、技術力向上等の効果が期待される分野を投資奨励分野として定め、フィリピン国内法に基づき設立された法人のうち投資委員会(Board of Investment、以下BOI)に登録された会社等に対し優遇措置の適用を認めています。
BOI登録企業はパイオニア企業と非パイオニア企業とに分類され、パイオニア企業とはオムニバス投資法で定められる以下の要件のうちいずれかに該当する企業であり、パイオニア企業以外が非パイオニア企業となります。
A) 商業的規模でフィリピンで従来生産又は製造されていない財貨、製品、原材料の製造、加工又は生産に従事している
B) 原材料等をフィリピンでは従来なかった別の原材料や完成品に製造又は加工するための設計、製法、方式、方法、プロセス又はシステムを使用する
C) 農業、林業及び鉱業活動及び/又は食品加工の産業的側面を含むサービスの実施に従事する
D) 非在来の燃料を生産するか、非在来のエネルギー源を利用する装置を製造し、その製造又は処理作業において石炭又は他の非在来の燃料又はエネルギー源を使用するかそれらに転換する
上記のような分野が優先分野と位置付けられ、BOIにより作成される投資優先計画(Investment Priority Plan(IPP))で対象となる事業などが具体的に示されます。
フィリピン国内で生み出された付加価値に対し課される税金で、事業者による物品及び資産の販売や交換、リース及びその他のサービス提供の最終消費者が負担する間接税です。日本の消費税と類似する税金といえます。
原則として、フィリピン国内における事業者による物品及び資産の販売及び交換、リース等サービスの提供並びに輸入取引が対象となります。
ただし、特定のサービス、未加工状態で輸入される輸入される農産物や海産物、パーセンテージ税の適用対象となる取引は非課税です。非課税となる特定のサービスで主なものは、電気・水道など公共サービス、金融・保険サービス、医療・教育関連サービス、国際輸送サービスなどが挙げられます。
年間売上高が3,000,000ペソを超えるサービス事業者及び輸入業者はVATの課税事業者となり、納税義務を負います。
税率は通常12%で、国外で消費されるサービスの提供や物品や資産の輸出取引には0%(ゼロレート)が適用されます。PEZA登録企業は、ゼロレートの適用が可能です。
月次及び四半期ごとに、それぞれ所定の様式により申告及び納税を行います。月次申告は各月末から20日以内、四半期申告は各四半期末の翌25日以内に実施することが求められます。
輸出売上等ゼロレート取引にかかる仕入VATや会社清算時に超過VATが生じる場合、当該VATの還付を請求することができます。請求可能期間は、ゼロレート取引が生じた四半期の期末から起算して2年間です。還付は、現金によるか税額控除証明書(Tax Credit Certificate(TCC))の発行による税額控除という形で行われます。
外国籍の者の居住ステータスは、基本的にフィリピン国内での住所の有無で判定されます。すなわち、フィリピンに住所を有する場合は滞在日数にかかわらず居住者と判定されます。また、2年以上フィリピンに滞在する予定であれば、居住者と判定されるのが一般的です。
個人所得税率は、0~35%の累進税率とされています。(外国籍の非居住者は25%)
給与所得については、給与支払者(すなわち雇用者)が毎月末から原則として10日以内に税額を計算し、所定の源泉徴収申告書を提出するとともに納税します。
源泉徴収税以外の所得については、課税年度の翌年4月15日までに所定の確定申告書を提出するとともに納税します。その際、給与所得の源泉徴収税額との差額を精算します。
雇用者は翌年1月31日までに、被雇用者に対しては居源泉税徴収証明書を発行し、国内歳入局に対しては被雇用者一覧及び源泉税徴収証明書を添付して年次申告書を提出する必要があります。
キャピタル・ゲイン及び配当や利子など源泉分離課税対象の所得については、源泉徴収された時点で申告及び納税が完結します。
印紙税は、商業取引を裏付けるために作成される契約書や証書に課されます。具体的な課税対象として、株式譲渡契約書、金銭消費貸借(ローン)契約書、不動産売買契約書、リース契約書、社債、株券、債務証書、銀行小切手といったものが挙げられます。なお印紙税は、たとえ当該文書がメモベースであったとしても課税されます。
税率は契約や取引の種類ごとに定められていますが、例えば株式譲渡契約やローン契約の場合、それぞれ株式価値や契約金額に対し0.75%の税率が適用されます。
印紙税の申告及び納税期限は翌月の5日までとされます。
フィリピン国内での販売又は消費目的の、国内で生産又は製造される物品や特定の輸入物品に対し、VATや関税とは別に課される税金です。課税の対象となる主なものとして、アルコール、タバコ、石油製品、鉱物、自動車、宝石などといったものが挙げられます。
国産製品にかかる物品税は、当該製品が輸出されてフィリピン国内に戻らない場合、輸出されたことを証明する書類及び外貨代金の受領書を課税当局に提出すると還付されます。
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